第04話 - 獣耳(けもみみ)美少女とデコソルジャー
良いですよね。
猫耳、犬耳、狐耳、狼耳、うさ耳…みんな違ってみんな良い。
特に、尻尾を触った時に「ひゃうん…」とか言われたら、前かがみ待ったなしですわ。
─ 2012年4月2日(月) 17:16 ─
「“マージ”、日本での俺らの拠点が決まった。BBが居る学園の寮だ。 来月には、俺たちは晴れて学生の身分になるぞ」
BBとの交信が無事終わって、今後の行動方針も決まった。あとは帰国して、籠月学園への転入手続きが完了するのを待つばかりだ。
まだ入れると確定したわけではないが、BBなら成功させてくれるという確信がある。
BBはいつも俺の無茶振りを叶えてくれるし、無ければ創ってくれる。痒いところに、簡単に手を届かせてくれる凄いヤツだ。
「私、学校って初めてなんだけど大丈夫かな? 俊之に教えてもらったから、日本語を喋るのは大丈夫だけど…勉強は自信ないかも。定期的に、記憶力テストさせられるんでしょ?」
「あ~。正直、俺もアレは苦手なんだが、BBが居る限り心配要らないぞ。 中学時代も、BBのおかげで上位成績者に居れたからな。BBに任せておけば安心だ。 マージの日本語が早く上達したのも、BBが創ってくれた学習装置が凄く役立ってくれたろ?」
「……ぶぅ~。俊之は何かにつけて、BB、BBって言う! 確かにあの機械にはお世話になったけど!日本語を覚える努力をしたのも、俊之を一番近くでサポートしてたのも、全部私なんだからねっ!」
「ウホッ…きゅんきゅん来ること言ってくれるじゃないの」
俺の説明を聞いて、嫉妬で頬を膨らませているのは“マージ”。一年半前、フランス郊外にあった過激派テロ組織の研究施設で保護した少女だ。
組織からは「実験体」と呼ばれていた彼女だが、保護した時にマージという名前を教えてくれたのだ。
研究記録を調べた結果、俺と同い年だという事も分かり、マージとはすぐに仲良くなれた…のは良かったが、トイレ、風呂、簡易ベッドにまで潜り込もうとしてくるのはキツかったな。
危うく、俺の野獣先輩がおっきしてしまうところだった。
防衛軍内の女性兵士も数人がかりで必死に止めてくれたようだが、マージに歯が立たなかったらしい。
ありがたいことに、俺が拒否すれば素直に言う事を聞いてくれたので、別行動させるのに苦労しなかったのが救いだった。
本音を言うと、かなり残念でもあったが。
それにしても、鍛え上げられた女性兵士らが、ガチムチでもない少女相手に力負けした…という事が気になった俺は、マージと出会ってから五日後、BBに連絡を取ることにした。
『何故、出会ったその日の内に連絡を寄越さないんだ、お前はっ!報告・連絡・相談は大事!古事記にもそう書いてある』
…怒られた。
けど、古事記にゃそんなこと書かれてないだろうよ。詳しくは知らないけど。
お叱りを受けた後、BBに言われた通り防衛軍が使っているメディカルマシンを使ってスキャン開始。ついでに血液を一滴と毛髪を一本採取し、それぞれ分析器にかけた。
その結果、マージは狼の遺伝子と融合した獣人であることが確定した。錬金術とかでいう合成人間というやつだ。
通りで頭に黒っぽい三角形の耳が、お尻から銀色をしたフサフサの尻尾が生えてるわけだ。
ちなみに、狼耳だと知ったのはこの時だ。研究記録の方は、当初は名前と年齢くらいしか読んでなかったから狐耳だと思ってたのだ。
尚、マージにはずっと狐耳だと勘違いしていたことはいまだに黙っている。
もし狼であることにプライドを持っていたら可愛そうだし、何より嫌われたら俺が立ち直れそうにない。
というわけで、マージは見た目だけで言えば、獣耳と獣尻尾を生やした獣っ娘コスの少女と言った風貌である。
組織に居た経緯だが、孤児院で過ごしていたところを組織の人間が発見し、実験体として選ばれたらしい。
研究記録によると、マージは元々アルビノで、頭髪も皮膚も真っ白だったそうだ。
獣人になった時に頭髪の色が変化し、毛根から毛先にかけて黒から銀のグラデーションに変色。皮膚も、真っ白から色白と言える程度の肌色になっていったと記録されていた。
顔立ちは整っていて、フランス人形っぽい雰囲気だ。
BBが一時期ハマっていた“ローゼンなんとか”に登場する“きら…なんだっけ?”に近い顔立ちかもしれん。
髪の毛もウェーブがかってるし、薔薇の模様が描かれた眼帯を着ければ2Pカラーと言い張れそうだ。
関係ない話だが、2Pとか3Pって、単体で聞くと卑猥に感じるよな。
…マージの話に戻すか。
身体のつくりは、俺と同じく体内の筋組織が圧縮された状態になっているらしい。
そのため、見た目からは想像がつかないレベルの膂力があり、それに比例する形で体重も重くなっている。
女性兵士らが歯が立たなかった原因はコレだ。
外見だけなら、ボンッキュッボンッな獣っ娘美少女なのだが、体内の密度は凄い事になっているとのこと。
エロい事をした時も、締りが凄いのだろうか…ゴクリ。
…本当に申し訳ない。戦い続きの毎日の中で、ちょっと気を抜くと性欲を持て余してしまうのだ。
思春期男子なら、俺の気持ち、分かってくれるよな?
“ぴんくのもうそうしたっていいじゃない ししゅんきなんだもの としゆき”
むしろ、妄想で止めているだけなんだから、俺は偉いと思うんだ。
確かに俺はエロい事を考えているが、助平なだけで紳士だよ。Yes エロ、No タッチ。
たびたび話が逸れてしまっているが、目の前に魅力的な美少女が居るのだからしょうがない。
俺は声を大にして言える「思春期男子として自然な事だ!」と…。
嗚呼、中学時代にエロトークしていたクラスメイトらと、思うさま下卑た話に花を咲かせたい。
兄貴が居る連中からAVを持ってきてもらい、密かに鑑賞会を開いて“無修正真理派”と“モザイク原理主義”に分かれて熱く語った日々が懐かしい。
…とにかく、マージはそんなエロい身体……じゃねぇ凄い身体能力を持っている。
今では、俺の本気の動きに付いてこれる唯一の相棒だ。
戦闘中におっぱいぷるんぷるんするから、非常に手強い強敵でもあるがな。
そういや、BBはマージの分も手続きしてくれると言っていたが、耳や尻尾はどうするんだろう?
髪色も独特ではあるが、これらは確実に悪目立ちする。
隠したままで制服採寸なんてできないだろうし、クラスメイトからも奇妙な目で見られると思うのだが…。
ひょっとして、事前に一度会っておきたいと言っていたのは、光学迷彩で隠す装置でも手渡してくれるからだろうか?
BBの事だから、きっとそうだな。流石、抜かりない男だ。
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─ 2012年4月5日(木) 16:45 ─
なんやかんやで無事、日本に到着した。
とは言え、ここは成田空港。まだ千葉県だ。最終目的地の伊豆…しかも南端部分まではかなり遠い。
ちなみに今、マージの耳と尻尾はというと、女性兵士らの知識を総動員した結果、次のような服装で誤魔化させている。
まず耳だが、常にキャスケット帽を被って隠している。
次に尻尾、ロングのフレアスカートをお腹あたりで穿いてもらい、その中に無理やり収納している。
尻尾の付け根部分だけは少し膨らんでしまうので、「デニム地のシャツを腰に巻いて誤魔化すように!」と女性兵士からは念を押されたようだ。
上半身は薄手のトレーナー一枚だけとなっている。
時々、尻尾が足に触れるのか「ひゅん!」みたいな声を漏らしている。
顔を赤らめながらくすぐったいのを我慢する表情が、すごく…エロいです。
普段はTシャツにホットパンツといった肌の露出が多い服装ばかりだが、こうやって隠すことで感じるエロティシズムというのもなかなか良いと思った。
今ならモザイク原理主義の連中とも分かり合える気がする。
さて、ここまでは軍用車両か、ビジネスクラスでの飛行機の乗り継ぎだけだったから、長時間の移動も少しは気を抜けた。
だが、ここからは帰宅ラッシュの在来線を利用した移動になる。
予定としては横浜で一泊した後、下田に移動。
残り三週間は必要物資の準備と、予習と復習に時間を割くといった流れになる。
「よし、マージ。 これから、日本の戦場に赴くぞ!覚悟はいいか!」
「イエッサー!」
そして一時間後…そこには、京浜東北線内で涙目になるマージの姿が!
どうしてこうも、美少女が涙ぐんでいる姿というのはエロく、そそるものがあるのだろう。
とてつもない哲学を感じる。
…BBに言われた通り、二時間くらい時間をつぶしてからの方が良かったか?
いや、今更後の祭りだな。このまま一気に、横浜までイこう。
品川、大井町あたりで人が減り、マージが嬉しそうな顔で「ふぅ…いっぱい出たね(人が)」と言い出した時は、危なく前かがみになるところだった。
無自覚にエロ発言するなんて、マージ…おそろしい子!
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─ 2012年4月13日(金) 09:20 ─
想定外の事が起きた。
物資調達がほぼ終わってしまい、言われていた予習と復習の範囲も八割方終わってしまったのだ。ちゃんと覚えているかどうかはともかくとして。
観光地巡りも考えたが、どこへ行くにしてもマージを連れて歩くのが大変であることが発覚した。
尻尾を無理やり隠ているせいか、ちょいちょいマージがくすぐったそうにするからだ。
顔を赤らめて何かを我慢するような表情をし、内股歩きする美少女。
しかも、俺の手をギュッと握ってきたりするもんだから、そりゃもう…色々とたまらない。
まるで、俺がいかがわしいプレイをさせているように感じてしまうのだ。マジで勘弁して欲しい。
股間の大鴉を隠すため、何度前かがみになりかけたことか。性欲を持て余す。
マージも思いっきり体を動かしたくなっているようだし、何かイイ方法は無いものか?
このままでは、俺のパンツが大変な事になりかねない。
こう、大自然でのびのびと、人目を気にしないで済むような場所は…そうだ、キャンプをしよう。
サバイバル用セットは、BBが作ってくれた“空間拡張バッグ”に入っているし、森林の奥に入れば人目に付きにくいから思いっきり動ける。
“空間拡張バッグ”とは、俺が防衛軍の出張サービスに行くことが決定した際、BBに創ってもらった四次元ショルダーバッグである。
「こんなこといいな♪ できたらいいな♪」と駄々を捏ねたら餞別として創ってくれた代物だ。
神力を通しながら開ける事で、縦4m×横4m×高さ2.5mの空間へ荷物を出し入れ可能になる。
明らかにバッグの口に入らないサイズの物すら、簡単に出し入れが可能だ。
理屈を聞いてみたところ、口周辺の空間が漏斗の役割をするように、魔法陣を組んだとか何とか…。
はたから見るとどうなるか気になったので、俺がバッグを開き、他の兵士に出し入れしてもらうというのを試したことがある。
まるで“○ィバ○ディ○グドラ○○ー”を食らった地面みたいな感じに、空間が歪んで見えるという事が分かった。
だが、そう見えるというのが分かっただけで、俺にはイマイチ原理の理解できない謎の技術でしかなかった。
さて、キャンプの候補地だが、籠月学園周辺の森が良いだろう。学園の敷地から北北西あたりが、ちょっとした山になっていると事前に調べがついているからな。
学園の様子や、建物の詳しい配置を見れるだろうし、一石二鳥というやつだ。
「なぁ、マージさんや。 人目を気にせず、思いっきり体を動かしたくないか?どうだろう、久々にキャンプ、や・ら・な・い・か?」
「やりたい!」
輝くような笑顔で答えるマージを見て、俺は“○る○るね○ねのCM”を思い出してしまった。
駄菓子屋を探してバスを一本見逃す羽目になったが、反省はしていない。
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─ 2012年4月20日(金) 08:17 ─
「ねぇ、俊之。学園の様子が変」
BBが設置しているであろうセンサー類に引っかかりやしないかと、ドキドキなキャンプを続けること早一週間。
観察しただけとは言え、学園での生活サイクルもほぼ覚えてきた矢先、それは起きた。
マージも言っていたが、確かに様子がおかしい。
いつもであれば教員が歩いている頃合いだが、今日は全くその気配がない。
俺らが潜伏している地点と、校舎との間にはやけにデカイ学園寮が建っているが、高等部校舎はほぼ全て目視できる状態だ。人の動きも容易に把握できる。
俺らから見て左側に存在するはずの大学校舎だけは、寮に隠れて見えない状態だが、大学校舎と高等部校舎を繋ぐように建っている教職員棟は、半分くらいは目視可能だ。
教員の動きだって、ある程度確認できるくらいには見えている。
視線を更に左側に移動させると学園の出入り口に建てられている警備員棟が目視できるが、こちらにもこれといった動きが無い。
異常が無いからなのか、俺らですら気付かない方法で警備員棟も押さえられた後なのか…。
「マージ。俺は念のため、いつでも行動できるようにしておく。 マージは引き続き、ここに待機。学園全体の観察を続けてくれ。 無線周波数は、AM999Mhzにセット。バッテリーチェックを頼む」
「ラジャー。ここに待機し、学園の動向観察を継続。 無線周波数、確認良し。通信チェック、アー…ア、ア…テステス…送受信良し。バッテリー、残量十分。 オールグリーン」
マージに装備品チェックを行ってもらいつつ、俺は主武装のチェックを行う。
空間拡張バッグから、BBに頼んで魔改造を施した無骨なデザインの回転式拳銃を二挺取り出す。
普通ならバレル部分は細くなるようデザインされるものだが、この銃は逆に太く頑丈にしている。
近接格闘する際に殴るためだ。
右手に、30口径の銀色の銃を。左手に、22口径の黒色の銃を持って戦うのが俺のスタイルである。
弾丸は、7.62×51mm NATO弾、5.56×45mm NATO弾をそれぞれ使用。
回転式弾倉を替えることで、AK-47用の7.62×39mm弾、AK-74用の5.45×39mm弾を扱う事も可能になる。
「BBなら、ついでに“法儀式済みの水銀弾頭”を用意できるんじゃない?」
「お前、何と殺り合うつもりなんだよ! 無駄に水銀をばらまくことになるから環境破壊にしかならんし、食らった相手に至っては水銀中毒になって痛々しい最期になる。環境にも人間にも優しくないからダメ、絶対! 黒と銀を左右逆に持って、赤い外套でも着て、気分だけにしとけ。 …あ、ちゃんとサングラスも丸型で赤いレンズのやつにしろよ?似合うかどうかは別として」
というやり取りの末、殺傷力過剰化を断られたこともあったな。
「用意できない」とは言わないあたり、流石だよなBB。
戦闘準備も終え、魔改造リボルバーを受け取った時の事を思い出していると、高等部校舎から複数の銃声が上がる。
確認すると、アサルトライフルを持った人物が各教室に押し入る瞬間だった。
おかしい。確かに俺らが準備をしている間、学園側から目を離してはいたが、数分も掛かっていないはずだ。
学園全域が見えるわけではないが、この短時間でいきなり現れるなんてあり得ない。
まさか光学迷彩か?
いや、テロリストがそう簡単に手に入れられる代物ではないはずだ。
となると、見ている側の認識を誤魔化すといった魔法の類だろうか?
くそっ!状況が不明瞭すぎて迂闊に攻め込んで良いものか判断に困るな。
やきもきする気持ちを抑えながら、BBが居る2-Bの教室を詳しく確認する。
扉が閉まる瞬間見えたのは、教卓の横に立っているBBの姿だった。
…なんで、あんなところに立ってるんだ?BBは。
閉まったドアの窓部分から、後ろ姿ではあるがテロリストの動きが確認できる。
暫く見ていると、テロリストがBBに近寄ったらしいことが確認できた。
そして、テロリストの動きが一瞬止まったと思った時には、BBとテロリストの位置が入れ替わっていた。
BBの様子を見るに、どうやらテロリストを倒したようだ。
「よし、BBがテロリストを一体倒した。今のうちに合流する。 何かあったら、連絡してくれ」
「ラジャー。気を付けて」
本来なら明後日の予定だったけど、ずいぶん劇的な再会になっちまったな、BB。
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─ 2012年4月20日(金) 08:39 ─
「──とまぁ、こんな感じで今に至るわけだが…どうした、BB?」
バツの悪い顔をしている俺を見て、ノーマンが“?マーク”が見えそうな雰囲気で首を傾げる。
「あぁ、その…俺が教卓の横に立っていたのは、先生がなかなか来ないから、様子を見に廊下へ出ようとした矢先だったからなんだが…」
「なるほど。調度そこでテロリストが入って来たわけだな。 で、『だが…』の続きは?」
「…ごめんノーマン。 マージちゃんの獣耳と獣尻尾の件、すっかり忘れてた。マジでごめん」
「なん…だと…?!」
ちなみに吾輩、動画だったら断然アニメ派です。
意味が分からないって人は、こんなアホな作品読んでないで、もっとまっとうな作品を読んで下さい。穢れてはいけない!




