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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第二章 ドキッ!女の子だらけのGW~修行もあるよ!~
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第14話 - 大乱闘スマッシュ幼馴染ズ(後半戦)

やっと模擬戦終結。

「ところでBB。対物理攻撃に定評があって、魔法にも効果のある防御壁魔法シールドがあるのに、抵抗魔法レジストって存在する意味あるのかね?」

「人が反撃のチャンスを窺ってるってのに、いきなりなんだよ!」


 美希姉、関口、マジカルゆかりん、妹尾の4人が多方向から同時に攻めてくる中、誰から先に無力化しようかと悩んでいる所にノーマンが話しかけてくる。ゲームでマジになってる最中に、話しかけられた気分だ。

 振り返りながら文句を言うと、頭の後ろで腕を組み、凄く余裕そうなポーズをしたノーマンが目に映る。


「くそっ、いかにも『暇~』って感じのポーズしやがって…」

「実際暇だしな。…で。BB、俺の疑問に対する答えを教えてもらえないかね?」

「なぁ、それって今じゃなきゃダメなのか? 俺の状況見えてるでしょ? 目の前なんだし!」


 莉穂姉達に比べれば、幾分か威力の弱い攻撃の連続ではあるが、手数の多さと連携は今の4人の方が良い。

 さっきまでは、「我先にクリーンヒットを与えたい」という願望が見えていたので、それぞれが好き勝手に動いていたためにフレンドリーファイアになりかける事がしばしばあった。

 おかげで、一発一発の威力はデカいのだが、素人目の俺ですら反撃に転じ易いくらいには隙を窺えたのだ。

 だが、今の4人はその教訓を活かした上で戦い慣れたノーマンを完全に無視し、俺一人に集中攻撃している。


「って、そんな事より、見てないで俺の手助けしてくれてもいいんじゃないのっ?! 皆も、なんでノーマンの足止め役を用意せずに俺に集中するかな?!」


 防御壁魔法シールド内に響く衝撃音に負けない様に大声でノーマン達に問いかけると、マジカルゆかりんが氷結魔法フリーズによる氷塊を連射しながら口を開いた。


「さっきからそこのグラサンを見てたけど、どうも個人個人の技量を測るって雰囲気の戦い方をしていたわ」

「渉ちゃんは必死そうだったから気付けなかったと思うけど、としちゃんは渉ちゃんの戦闘方法を確認しつつ、皆の成長を見守ってる雰囲気があったの。だから、私達が渉ちゃんにターゲットを絞っても、ちょっかいを出して来ることは無いだろうな…と考えたわけ」


 マジカルゆかりんの言葉を繋ぐように、美希姉が話を続けてきた。もちろん、ノーマンから教えられた神力による身体強化を使い、防御壁魔法シールドを連打しながら。

 運動しても問題ないように、魔法による遠距離攻撃組以外はパンツスタイルだったのに対し、美希姉だけは長めのフレアスカートという出で立ちだ。

 どうにも美希姉は、スカートとブラウス或いはワンピースというゆったり系の服しか持っていないようで、その中でもスカートが翻り難そうなものを着用したらしい。

 それでも、神力を駆使した動きは激しいため、先ほどから太ももがチラチラ見えて自然と目がそっちに行ってしまう。…まさか、それを狙った罠か?!

 ……んなわけないな。


「それに、ノーマンにはかすることすら難しそうな攻撃でも、渉相手になら何とか一撃は入れられそうな気がしたから、自分の成長を見てみたいっていう気持ちが勝っちゃってね」

「私も。この前のテロリスト事件の時に、皆に守ってもらってばかりだったのが悔しかったから…。自分がどこまでできるか試してみたくなっちゃったの」


 美希姉のチラリズム攻撃に目を奪われていると、反対方向から攻撃してきた関口と妹尾が言葉を続けてくる。

 ずいぶんと向上心の高い幼馴染達を持ったもんだ。…ただの戦闘狂にならないように注意しておこう。


 皆の覚悟というか言い分を聞き、ノーマンの方へ視線を向ける。

 暇そうなポーズのままではあるが、確かに俺たちの動きから実力を測っている雰囲気は感じ取れた。

 さっき俺が戦ってた時も、篠山ねーちんとマージちゃんを相手にしながら実力を測っていたんだろうなと思うと、ヤツの人外っぷりを嫌と言うほど感じるな…。


「…なるほど、皆の言い分はわかった。俺も戦闘なんてこの前が初めてだったから、ノーマンにおんぶに抱っこ状態だったしな…。このままじゃ、俺が皆に守られる側になっちまいそうだし、いっちょ全力を出してみることにしよう!」


 防御壁魔法シールドという殻に閉じこもるのはこれで終わりだ。

 師匠曰く、「攻撃は俊之、防御は渉が担当した方が効率は良い」との事だが、全く攻撃できない要塞よりも、攻撃もできた要塞の方が柔軟に対応できるというもの。

 俺は意を決して防御壁魔法シールドを解除し、皆の動きに注意を向け──


「よし、その意気だBB! ついでに、抵抗魔法レジストの存在価値を説明しながら戦闘できれば尚良し!」

「──いい加減しつっこガハァッ!」


 つい癖でノーマンにツッコミを入れた瞬間、美希姉のパンチが腹部にめり込み、盛大に吹っ飛んでしまった。

 不覚…戦いの中で戦いを忘れた…。


「……わ、渉ちゃん、大丈夫?」


 美希姉の動きを追うようにたなびいていたアッシュグレーの髪が垂れ下がり、いつも笑顔が絶えなかった顔からは血の気が引いている。

 他の皆も、不安そうな表情を貼り付けたまま動きを止めていた……ノーマン以外は。


「ったく、BBは本当に緊張感無いんだから。俺へのツッコミより、目の前の害意に集中しろっての。美希姉も心配する必要ないって。いくら戦闘童貞とはいえ、BBの神力精製能力は常人よりも桁違いに高いから頑丈だ。そう簡単に死にはしないよ。ってわけで皆、固まってないで追撃追撃」

「いや、お前は鬼かっ! 確かにディフェンスには自信があるけどな、痛いものは痛いんだぞっ!」

「ほっ…無事で良かった」


 俺が立ち上がりながら文句を言うのを見て、美希姉がほっとしながら胸を撫で下ろ……いや、美希姉の胸がデカすぎて胸に手を置いてるだけになっている。

 さっきから生足チラリに目が行っていたが、考えてみればこの人もとんでもねぇスタイルしてるんだった。

 莉穂姉を始め、滝川も美希姉も由子お姉ちゃんも全員バストサイズが大きいから、気を抜くとすぐに揺れるものに目が行って──ハッ、まさか、ノーマンはそれを克服させるために、わざと俺だけに攻撃を集中させているのか?!

 この俺に、「実戦で大切な集中力を養え」と、その訓練をさせるつもりでこんな模擬戦を言い出したのでは?!


「あ~あ、もう立っちまったか…。ツマンネ」

「…おい、ノーマン。ひょっとしてお前、単に俺をからかって楽しんでるだけか?」

「テヘッ♪ バレちゃった?」

「殴りたい、この笑顔──っぶね!」


 美希姉達そっちのけでノーマンのおでこを引っ叩いてやろうと思った矢先、隙を突く様に関口と妹尾が懐に飛び込んできたのが視界の端に映り、辛うじて避けることができた。

 美希姉といいこの二人といい、神力による身体強化を覚えたせいでインファイターな戦い方が上手くなった気がする。素人目線だから気のせいかもしれないが…。

 にしても、魔法使いとして授業を受けてるんだから、ちゃんと遠距離攻撃を織り交ぜて戦ってほしいなぁと思ってしまう。

 もしかしたら、「クリーンヒットさせた場合、魔法だと大火傷とかの怪我を負わせそうだから…」と考えての肉弾戦という線もあるが…。


「くっ…流石に避けられちゃったか…」

「私じゃ、美希お姉ちゃんみたいには無理かぁ…」

「いや、危ないところだったよ。だから、今のうちに脅威を取り除かせてもらう!」


 攻撃が通じなかったと見るや否や、すぐさま後退しようとする二人。良い判断だとは思うが、俺だって射程内に入った相手をむざむざと逃す気はない。

 引き戻される途中だった二人の手を取り、あまり意識せずに構築できるようになってきた気絶用雷撃魔法(サンダー)を発動させ、素早く戦闘不能リタイヤさせる。

 この数分間で、何度も使ってきただけに慣れたものよ。


「さて…と、美希姉からは言い逃れできないほどのクリーンヒットを貰っちまったわけだが…ノーマン、この場合は美希姉は模擬戦続行しなくていいのか?」

「ん~…まぁ、これ以上BBがクリーンヒットを受けたら可哀想だし、動きも分かったからそれでいいかな」

「オイ、俺が攻撃を食らう前提で話すの止めろ」

「じゃあ、私は邪魔にならないよう下がっておくわね。菜月さん、頑張って」


 そう言うと、いつものふんわりとした笑顔を取り戻した美希姉が、戦闘不能リタイヤコーナーになりつつあるベンチに下がって行った。


「ふふふ…しくも、師弟対決という形になったわね、渉」

「そうだな、マジカルゆかりん。だが、俺はもうこれ以上油断はしない! 精神系魔法以外では、俺の方に一日いちじつちょうがあると証明してみせる!」

「ふっ、それは…どうかしらねっ!」


 気合の入った声と共に、マジカルゆかりんが左右の手から火炎魔法ファイア氷結魔法フリーズを交互に発動させ、遠距離の連撃を仕掛けてくる。

 どちらも魔力消費は少ない魔法ではあるが、魔法式のフル構築に慣れたのか、発射速度や大きさ、着弾後の爆発規模などを変化させながら発動させているため、非常にさばきづらい。

 しかも、火球を三連撃で飛ばしてきたかと思ったら、その影から氷塊がカーブして飛び出させて危なくクリーンヒットさせられそうになったりと、地味に鬱陶しく油断ができない。

 防御壁魔法シールドを前面のみに展開して真正面から懐に入り込もうと思っていたのだが、カーブさせた魔法を回り込ませてくる可能性もあったため、フットワークを駆使しながら接近する羽目になった。


「へぇ…てっきり、全方位型の防御壁魔法シールドを張りながら突貫してくるものかと思ってたわ。普通にやるじゃないの」

「あれは普通の魔法使いができるようなものじゃないし、関口達の向上心に対していささか卑怯な気がしてね。研究所の関係者からは、通称“無敵要塞モード”と呼ばれているんだが、それは使わずに真っ向勝負をしてみたくなったのさ! …それに、もう美希姉からは一発もらっちまってるから、ノーコンティニュークリアにはならないわけだし」

「ふはは! その意気や良し! かかって来なさい! 弟子1号!」


 俺の答えに気を良くしたマジカルゆかりんが、大仰に台詞を言うと共に魔法を激化させてくる。


「そういう台詞を言った師匠ってのは、基本的に『弟子にやられて免許皆伝』って流れがお約束なんだよ! ……ってわけで、もらったぁ!」


 攻撃が苛烈になる中、あと数歩という距離に着いた俺は、空中浮遊魔法エリアル・フロートを発動させ上空からの奇襲態勢に移り、雷撃魔法サンダーを待機状態にして一気にマジカルゆかりん目掛けて飛び込んだ。

 あと数cmで触れられるという距離になった瞬間、マジカルゆかりんが“ニヤァ”と笑った。


「タイガーアッパカッ!」

「ゴハァッ!」


 マジカルゆかりんが拳を上げると同時に腕が伸び、俺の顎を捉えた。

 いや、違う。腕が伸びたのではない。

 フル構築の魔法式による強化型老化魔法(エイジング)で、一気に体を成長させたのだ。

 恐らく、俺が空中から来るようにわざと魔法を連発し、魔法式構築後に対空迎撃の手段として待機状態にしていたのだろう。

 俗に言う“車田飛び”を体感しながら、俺は「美希姉はともかく、マジカルゆかりんには一体どんな無茶振りをされてしまうのやら」と悟りの境地の様な心境で空中を舞った。


「勝負あり! 勝者、ロリっ──マジカルゆかりん!」


 “ゴシャァッ!”というえげつない音が自分の頭から聞こえたのを最後に、俺は意識を手放した。


 魔力でも神力でもいいから、ちゃんと身体強化を使っておけば良かったと思ったのは、数分経って目が覚めたあとである。

次回もまた金曜日投稿予定。

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