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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第二章 ドキッ!女の子だらけのGW~修行もあるよ!~
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第11話 - ランチタイム攻防戦

投稿時間遅れました。すんません。

そして、マチュアがどんどん変態発言をしていきます。すみません。

でも、変態発言のためのR-15指定なんで許して下さい。

「はぁ~…。あなどっていた…」


 食堂のカウンターでランチを頼み、席に着いて自然と口から出た言葉がこれである。


「いきなりどうした、BB?」


 俺の斜向はすむかいに座ったノーマンが不思議そうに問いかけてくる。

 その両サイドには、篠山ねーちんとマージちゃんがそれぞれ座っており、両者ともにノーマンに「あ~ん」をしようと殺気立っている状態だ。

 なんでコイツは、両サイドが殺伐とした雰囲気を出してるのに平然として居られるのだろうか?

 もしかして、神力コントロール機能が高いと泰然自若たいぜんじじゃくの構えが得意になるの?

 教えて、ノマえもん。


 …ちなみに、ノーマンだけでなく俺の方も割と不穏な状態になっている。

 なぜなら、俺の対面に莉穂姉と滝川が座らされており、左右には由子お姉ちゃんとマチュアが陣取っている状態だからだ。

 そんな俺達の横では、我関せずというか我が道を往くといった義母さんが、義父さんにしだれかかりながら「あ~ん」したり、「あ~ん」させたりしている。

 うむ。実に砂糖を吐けそうなバカップルぶりだな。

 義父さんの方は「可哀想に」と思えるのだが、義母さんの方は年を考え──めっちゃ睨まれた。

 さっきも思ったけど、魔力とは別のエスパー的な能力でもあるのか?

 怖いから余計な事を考えないように見るの止めとこ。

 そんな義母さんの横には、これまた我関せずといったマジカルゆかりんがマイペースにランチを嗜んでおり、その対面には美希姉、関口、妹尾の3人が座って割と平和にランチタイムしている。


 さて、どうしてこんな状況になってしまったかというと、話は10分ほど前に遡る。



  ▲▽△▼△▽▲



「そういえば、食事と言えば…」


 俺の小脇に抱えられていたマチュアが、思い出したかのように言い出した。


「ん? なんだ? マチュアも何か食っときたいか?」

「はい。できれば渉のオチン──」

「食い物の話をしろ!」

「──私にしてみれば御馳走ですよ! ネットで調べた限り、食べザーという文化もあるみたいですし!」

「ねぇよ! そんな文化!」

「でもでも、私の場合は確実にエネルギーに変換できますよ!」


 学園に居た時は、「俺以外の連中と話せない事にフラストレーションを溜めこんでいた」のかと思ったが、もしかして「単なる欲求不満か?」と思えてしまってならない。

 体を得たマチュアが、さっきから性的な方向で色々とフリーダム過ぎる。


「何にせよ、そんな不埒なもん食わせられるか! 食堂のメニューから選べバカ!」

「ぶぅ…じゃあ、普通のランチメニューで我慢します。その代り、先週莉穂達にやってたように、私にも『あ~ん』で食べさせて欲しいです」


 “ピシリッ”という音が聞こえた気がした。

 いや、完全に気のせいなのだが、間違いなく俺の動きは完全停止してしまっている。

 そして、後ろの方で二人ほど同じように固まった気配がするが、たぶんそれは莉穂姉と滝川に違いない。


「マ…マチュア、何を突然?」

「私…見てたんです、学園の食堂に設置されているカメラから、ずっと…」


 ストーカー案件過ぎる言い方だが、そんな機能を持たせたのは俺という事実。

 でもお父さん許しませんよ、そんな私欲にまみれた使い方!


「渉君? ちょっと今の話を詳しく聞かせてもらってもいいかしら?」


 振り返ると、凄味の入った笑顔の由子お姉ちゃんが真後ろに居た。

 俺は、逆らえなかった…。



  ▲▽△▼△▽▲



 とまぁ、そんなこんなで由子お姉ちゃんとマチュアに「あ~ん」しながらご飯を食べるという流れが決まり、篠山ねーちんとマージちゃんがその提案をノーマンに持ちかけたら、ヤツは一瞬で了承。

 義母さんに至っては、最初から義父さんに「あ~ん」させるつもりでいたらしい。


 まぁ、決まっってしまったものはしょうがない。

 先ほどのノーマンの問いに答えるとしよう。


「…いや、どうしたも何も、マチュアの話だ。まさか、ここまでフラストレーションが溜まってたとは思ってなかったなぁ…とね。……てか、お前は両サイドがそんな『位置について、よーい、ドン』状態なのに、なんで落ち着いてられるのさ? 最終的にどう収拾したもんか…みたいに悩んだりしねぇの?」

「ったく、BBはこういったところでチャレンジ精神がねぇよな。普段は無茶振りもいいところな魔導具をぽんぽん開発してるくせに」

「いや、あれって割と苦労して魔法陣組み込んでるから、“ぽんぽん”とは言い難いんだけど…」

「いいか? 魅力的な女子がやりたがっているんだ。男だったら、その思いを真正面から受け止めてやるのが義務ってもんだろ。収拾するタイミングなんて、その時その時の己の直観を信じればいいんだ」


 おぉ、なんという堂に入った発言…と言いたいところだが。


「要するに、行き当たりばったりなだけじゃねぇか」

「臨機応変と言って欲しいね。つーか、BBは尻の穴が小さすぎるんだよ。俺が広げてやろうか?」

「…お前の場合、物理的な意味で広げてきそうだから全力で遠慮させてもらう!」


 全く、恐怖でお尻がキュッとしちまったじゃないか。

 妹尾せのおなんて恥ずかしそうにうつむいて真っ赤になってるし……ごめんな、食事中なのにデリカシーのない会話をするようなデコ助野郎で。


「尻の穴で思い出したけど、私にも一応“無機物混入時における緊急排出用の管”があるから、アナルセ──」

「ほーらマチュアご飯だぞー、たーんとお食べなさいっ!」


 真横で不穏当な発言をしそうだったマチュアに、ヤツのランチである熱々のリゾットを無理やりねじ込んで黙らせた。

 普通の人間なら口内火傷しそうなもんだが、コイツの場合は常に魔力による自己修復が掛かっているので大事にはならない。

 さらに言うと、一定以上の熱に関しては過度に感知しないように上限が設定されているので、仮に煮え湯を飲ませたところで「結構熱かったですね」の一言で済まされてしまうのだ。

 凄く便利な体質(?)だとは思うが、しばらく黙ってて欲しいと思える状況……要するに今に至っては、悩ましいパッシブスキルである。


「──ん♪ もぅ、渉ったら…。いきなり熱くてドロっとしたものを中に流し込んでくるなんて…そんなに溜まってたの?」

「くっ…セクハラ発言を止めるつもりで行動した結果、別のセクハラ発言を誘発する事に繋がってしまったという酷い虚脱感を感じる…。もう、いっそ清々しいレベルの変態っぷりだな、マチュア。そこまで頭のおかしな状態になってたとは思わなかったぞ、マジで」


 激しい脱力感の中、俺もランチを食べようとしたら、マチュアの手が伸びてきてスプーンを強奪されてしまった。

 すかさず俺のランチであるハヤシライスがスプーンに掬われ、口元に寄せられる。

 悔しいかなマチュアが掬ったハヤシソースとライスの割合は丁度良い感じになっており、非常に美味そうだ。くそっ、無駄な所で高性能っぷりを発揮しやがって。


「はい、渉。あ~ん……うふふ。美味しい?」

「……ああ、うん。まぁ、そりゃ美味しいよ」


 なんてったって、ここの食堂は籠月学園のOGが居たりするしな。味付けや見た目に関しては、お値段の割に素晴しい仕上がりになっている。

 それにしても、つい先週も似たような事やってた気がするなぁ…非常にデジャヴュ。


「もぅ、渉ったら、間接キスしちゃったからって照れなくてもいいのに」

「そういうんじゃねぇよ……えぇい、しだれかかるなっての! あと、スプーン返せっ! …ったくもう、気を抜けねぇな」


 普通に腹が減ったので、少しばかり自分の意思で食べておこうとハヤシライスを掬ったら、マチュアとは逆方向から由子お姉ちゃんの手が伸び、俺の手を掴んで自分の口に運んでしまった。


「んなっ!?」

「うふふっ…これで私も間接キスしたことになるわね。御馳走様♪」


 髪を掻き上げながら食べる仕草と、食べ終わったあとの唇に軽く指を乗せた仕草に、妙なエロスを感じてドキッとしてしまった事はバレないようにしておこう。

 まったくこの人ときたら、今まで彼氏も居た事ないくせにどうしてこうも艶っぽいんだ。詐欺ではないか!

 ただでさえ、俺の対面に座ってる莉穂姉と滝川から睨まれてる状態だってのに、そんなのがバレた日にはテーブルの下から蹴られそうだ。


「ちょっと渉! そんなあからさまな色仕掛けにドキッとしないの!」

「なぜ見破られた?!」

「やっぱり…」


 しまった、莉穂姉と滝川の視線が更に厳しくなってきた。

 しかも、神力を使える様になったからか、手の中におさめられたスプーンがメキメキと音を立てて変形していく…。

 ……またテロリストが攻めて来た場合の自衛手段になるから、修行させてもいいかな…と思ってやらせたことだったけど、もしかしたらその前に俺がどうにかされちゃいそうな雲行になってきたぞ。


「あ、そうだBB。午後の修行だけどさ、皆の実力を測るために『俺とBBチーム』VS『残った皆チーム』で実戦バトルしてから修行って流れにしねぇか?」

「え? 何ソレ、さっき話し合ってたカリキュラムと違う」

「「ノーマン、良いアイディアだと思うわ! それやりましょう!」」


 俺の切ない呟きを余所に、莉穂姉と滝川がやる気を見せていた。

 くそぅ、ノーマンのやつ「面白い事になりそう」みたいな表情しやがって。


「あぁ、ついでに俺やBBにクリーンヒットを当てられた人に対して、『俺達が何でも言う事を聞く』っていう報酬システム付きでやったら、皆のモチベーションも上がりそうだな」

「おいノーマン! いくらなんでもソレは──」

「「「「「…今、『何でも』って言った?!」」」」」

「──ちょっと、今反応した皆落ち着いて! 『倫理に反さない範囲で』だからね!」


 情操教育的にアウトな事を願われたら大変だからな。

 今のうちに上限は設定しておかないと…。


「別に、俺はどんな願いでもどーんと来いなんだが」

「シャラップ! ノーマン!」

「BB、ひょっとして『エロい事お願いされるかも』とか考えてる? まったく、そーゆーとこだけは自意識過剰なんだから、もうちょっと皆の良識を信じてあげなさいよ」


 でた、「俺は別にエロい事考えなかったのに、お前エロいなぁ」みたいな他人に責任をなすりつける中学生みたいな言い方。

 言われた側が変態扱いされ、言った側が優等生っぽい空気を作り出すという、いわゆる“言ったもん勝ち理論”だ。

 だが──


「──さっきからマチュアの発言の数々を聞いてりゃ、不安にもなるだろうがヴォケッ!」

「大丈夫だ、BB。当たらなければ、どうという事は無い」

「どこぞのエースパイロットみたいな事をぬかしおって! 俺はな、ディフェンスにはそこそこ自信はあるが、回避にはあんま自信がねぇんだよ! …ったくもう!」


 殴りたい、このドヤ顔。

 距離が遠いから無理だし、魔法も危なっかしいから撃てないのが腹立たしい。


「あら、渉も俊之くんも、人気あるのね。美希子ちゃん達はあの競争の中に参加しないの?」

「「「「いえ、私たちは平和にいきたいので…」」」」


 義母さんが、落ち着いてランチを嗜む四人に問いかけるが、彼女らからはまったりとした回答が返っていた。

 俺だって、できれば平和に暮らしたかった…。

 そう。平和に、お姉ちゃんとキャッキャウフフしたかっただけの人生だったのに、どうしてこの世から争いはなくならないのだろうか…。


「俊之くんはあの性格だからいいとして、渉は大変そうだなぁ…。血は繋がってないのに、昔の僕を見ている気分だ…」

「あら? タカ君がそんなにモテてたなんて、私聞いてないわよ?」

「え? …あぁ、違うよ則ちゃん。単にこう、巻き込まれてオロオロしてる感じが似てるなぁ…って思っただけで──いや、ホントだって! だから、そんな怖い笑顔しないで…」

「ふぅん? あ、そういえば高校の頃、タカ君って後輩の女の子からラブレター貰ってなかったかしら?」

「なっ?! 気付かれる前に即お断りしたはずなのに! ……ハッ! まさか、誘導…尋問…」

「へぇぇ、やっぱり貰ってたんだ…。あとで詳しく聞かせてもらうわね♪」

「お…お手柔らかにお願いします…」


 ふと俺の方を振り返った義父さんと目が合ったが、お互いに何かを悟ったような表情で頷き合うしかなかった。

 言葉にはしていなかったが、お互い思っていた事は同じだろう。「健闘を祈る」そう目が語りかけていたのだから…。


 ちなみに、このあと俺は、由子お姉ちゃんとマチュアに無茶苦茶「あ~ん」させられた。

 逆に、二人からも無茶苦茶「あ~ん」されまくった。

 ノーマンのヤツは、普通に楽しみながら篠山ねーちんとマージちゃんを相手に「あ~ん」したり、「あ~ん」されたりしていた。

 俺は、そんなノーマンに恨みの視線を向けつつ、午後のバトルを考えては胃を痛くする羽目になった。

次回も金曜日に間に合わせられたらいいな…。

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