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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第二章 ドキッ!女の子だらけのGW~修行もあるよ!~
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第10話 - マチュア、大地に立つ

意外と早く書けた…。

「あぁ、そうだ。ノーマン、出入り口の魔法陣を無力化させてから戸締りしたいから、一発本気で扉を殴ってみてくれる?」

「本気でいいのか? 扉が歪んでも知らんぞ?」


 扉を操作するプレートの前で俺が頼むと、ノーマンが「正気か?」と言った感じで確認してきた。


「大丈夫だ、問題ない。ここに刻まれてるのは、“衝撃を感知してから10秒間だけ、あらゆる衝撃を無効化する”というチートレベルの魔法陣だ。核爆弾の爆発すら発動中は完全無効できた代物だから、ノーマンの全力パンチにも耐えきれるハズ! まぁ、仮に扉が歪んだとしたら、お前のパンチはTNT換算22キロトンを余裕で超える威力ってことになるな。扉が歪んだ暁には、連合防衛軍の歩く核兵器って呼ばれるように、俺が軍上層部に掛け合ってやるよ」

「嫌がらせかっ!」

「とんでもない。相応しい評価を持ってもらいたいという、俺の親切心だよ……3割くらい」

「低っ!? はぁ…、もういいや、じゃあ殴るぜ?」


 もう少し文句を言いたそうだったが、どこか諦めたような表情で扉の魔法陣と対峙するノーマン。たぶん、さっさと昼飯を食いに行きたいのだろう。


「OK。どーんとやっちまいな! …マージちゃんはご存知どころか、真横で一緒に体験していたことだろうけど、皆は初めて見るよね? 凄い衝撃と音だから、耳塞いで覚悟しといた方がいいよ…まぁ、俺も間近で見るのは今日が初めてなんだけど」


 念のため、全員をカバーできるほどの防御壁魔法シールドを展開しながらノーマンにGOを出す。

 ノーマンが大きく足を開いて左の拳を魔法陣に、右の拳を胸の横辺り引き、甲を下向きにして構えた。正拳突きの構えである。

 これを見るのは、リダクションアーマーを展開した状態で攻撃した際の破壊力測定以来となる。

 …ノーマンが神力製リダクションアーマーを編み出した直後になるから、およそ2年ぶりか。あの時は、ビデオチャット用のカメラが一台御釈迦になったっけなぁ。

 ちなみに、破壊力測定の対象として持ち出したのは、敵から鹵獲した戦車だ。

 既に装甲のあちこちがノーマンの拳によってボコボコになってはいたが、一番頑丈に造られている正面装甲は割と無事だったので、そこ目掛けてぶちかましてもらった。


 結果、正面装甲は見事に陥没し大破、戦車自体も十数m吹き飛ぶことになった。

 残念ながら、殴った際に発生した衝撃波でカメラが壊れていまい結果を見ることは出来なかったが、報告によると吹っ飛んだのは戦車だけで、ノーマンは質量の差を無視して平然と立っていたらしい。

 自分より遥かに重たいものを吹っ飛ばしておいて、なんで本人が動かずに済むのか本当に謎である。

 間近で観察していたアニオタのグレッグが、「少年漫画みたいだった! 流石ジャパニメーションの国出身!」と何やら興奮して走り回っていたそうだが、どうでもいい話だったな。


「スゥー…ふんっ!」


 ──パゴォォン!


 ノーマンの掛け声が聞こえ、腰の回転が乗った正拳突きが繰り出される。直後、とんでもない衝撃波が演習場に広がり、まるで巨大な爆弾が爆発したかのような音が耳だけでなく体全体を揺らした。


「ハッ! ホッ! おりゃっ!」


 ──ガッ! ガッ! ガゴォォォン!


 正拳突きのみで終わるかと思っていたが、スイッチが入ったのかノーマンのヤツが連撃を全力で繰り出す。

 拳が当たるたびに、正拳突きほどではないが物凄い音が木霊し続けていた。


「ちょ…! ノーマン、もう十分だから! うっさいから止めて!」

「10秒は無敵なんだろ? 勿体ないから時間調度まで全力の連撃を試してみたくてさっ!」

「そんな方向で“MOTTAINAI精神”を出すんじゃねぇっ!」


 その後、きっかり10秒で連撃は終わり轟音が鳴りやむ。代わりに演習場内に扉の魔力切れ及び、内部に人がいる状態を示すアラームが鳴り響いた。

 さっきまでとんでもない打撃音を間近で聞いていたせいで耳が慣れてしまったのか、鬱陶しいくらいうるさいはずのアラームが今は遠くから聞こえてくる感じがする。


「じゃ、じゃあ食堂に案内するよ。付いてきて」

「は~い」「「「「「? ごめん、よく聞こえないんだけど…」」」」」


 マージちゃん以外の全員が、一時的な難聴を示していた。

 こうならないために耳を塞いでもらっていたのに、身体を通してダメージになっていたようだ。とんでもない音波兵器(物理)になりやがったな…。

 というか、マージちゃんは頭頂部に大きな狼耳を持っているのに、なんで平気なんだか…。


 大声を上げてコントみたいなやり取りをするのもアレだったので、素直にスマホに“食堂に案内するから付いてきて”と打ち込んだ画面を見せることにした。

 なぜか皆まで声を出さずに、スマホに“OK”と打ち込んだり、親指と人差し指で丸を作って口パクで返事していたのが印象的だった。



  ▲▽△▼△▽▲



 食堂に向かう道すがら、マチュアのインストール作業をしていた部屋の前を通りかかった際のことだ。


「あら? 渉達もお昼かしら?」

「や…やぁ皆、お疲れ様。良かったら皆も一緒にお昼でもどうかな?」


 心なしかツヤツヤした感じの義母さんと、弄繰り回されて疲れ果てたハムスターみたいになった義父さんが襟首を掴まれた状態で部屋から出てきた。

 義父さんの目が、「お願いだから一緒に来てくれ!」といった感じに俺達を見ている。

 …まさか、本当に義理の弟妹が増えるような事してたんじゃねぇだろうな?


「丁度今さっき、マチュアのインストール作業が終わっ──」

「渉~! ようやく抱き着くことができるわ──ブベッ!」

「──たから、皆を迎えに行こうと思っていたところなんだ」


 義父さんが話している最中に、某アニメのプラグスーツみたいな出で立ちをした金髪碧眼の巨乳美女が突然部屋から飛び出し、俺に抱き着いてきた。

 避けてやろうかと考えたのだが、右も左も後ろも人だらけだったので二次災害を防ぐべく迎撃する。


「渉、酷い! 私だって、莉穂達みたいに渉に抱き着きたいのにっ! このままじゃ、渉成分が足りなくてエネルギー不足になってしまいますよ!」

「嘘つけ! お前の根本的なエネルギー源は電力だろうが! プラグ差し込みしなくてもいいように、有機物の摂取及び分解で人間同様充電できるってだけだ。そんな謎成分をベースに回復するような造りはしとらん!」


 目に涙用の液体を溜めて俺に抗議する金髪美女こそ、義父さんにインストール作業を任せたマチュアのボディである。

 研究所の技術力を、無駄な方向に全力投球して作り上げられた珠玉の一品。粘性の高い人工唾液に、消化・エネルギー変換機能を持たせた魔方陣を刻んだ金属製の胃袋を持ち、省エネのための睡眠機能まで有したオーバーテクノロジーボディである。

 どう頑張っても、こんなに滑らかに動いたり表情を変えたりという事はできないハズなのだが、その辺は師匠と義父さんが無駄に知恵を使い、電力から神力に変換する魔法陣と、電力から魔力に変換する魔方陣を駆使し、二足歩行におけるバランス調整するためのマニュピレーター強度を調整している。


 魔力が伝導性の高いものと相性が良いのは、魔方陣が金属プレートにはしっかりと残るというあたりから推測できていたが、神力も同様に伝導性の高いものであれば力を通しやすいというのは、当時の師匠も義父さんもまさかの発見だったらしい。

 まぁ、そういう発見もあったので、基本骨子や関節部に該当するマニピュレーター周りの耐久力は電力から変換した神力で賄い、人工皮膚の表面にも変換した魔力を使った身体強化を行う事でマチュアボディのベースは完成した。

 その代り、電力消費もかなりのものとなったが、通称“胃袋発電”と呼ばれる師匠によるオーパーツ魔法陣によって有機物を分解したエネルギーからリアルタイム充電しているという仕組みである。

 要するに、胃袋に有機物があれば、常に発電し続ける事ができるわけだ。食べ物を溜めこむというあたりバッテリーの様なイメージだが、実際は超小型発電機である。

 あとは、研究所員の悪乗りとこだわりが暴走し、人工唾液分泌機能、涙腺・汗腺に該当する機能などなどを盛り込み、ほぼ人類と言えるアンドロイドが完成した。


「でも、ベロチューも出来るしオナホだって付いて──ゴハッ!」

「ほんっと、お前はボディにインストールされると性欲を持て余すな! 破廉恥な発言は慎めっての! PCに入っていた時の大人しさを少しは出せよ! つか、そんなもんが付いてるなんて初耳だぞ、オイッ!」


 青少年にはある意味夢のようなダッチワイフ発言をしやがったので、とりあえずチョップでツッコミをいれといた。

 妹尾みたいなピュアピュアな女の子がいるんだから、変な単語を言うんじゃないよ、まったく。

 エロい事に興味はあるけど、こんなあけっぴろげな状態で性癖をぶちまける趣味は無いぞ。


「フッ…そりゃあ人間、身体が自由に動けるのなら三大欲求に正直になるってものですよ」

「いや、ドヤ顔で言ってるとこ悪いけど、お前は人工知能(AI)だから人間じゃねぇっての。人間レベルの複雑な思考はできているけど」

「それに、オナホだって将来的には莉穂のためと言えなくもないですよ? お互い初めて同士だと苦労するって聞きましたから。莉穂の両親から──ガハッ!」

「全くマチュアちゃんたら、余計な事を言うんだから。貴女のデータベースには記録されてないのかしら? “口は災いの元”って」


 魔力による身体強化を伴った義母さんの一撃が、綺麗にマチュアの頭に決まった。

 だが、流石は機械といったところか、ダメージは入っているようだが気絶する気配が無い。

 とりあえず、サムズアップで義母さんのファインプレーを労っておこう。


「義母さん、ナイス」

「ところでマチュア、お前に装着されているオナホって“どこ製”の“何”を使ってるんだ?」

「お前も自重しろよ、ノーマン!」


 不貞腐れ気味に座り込んでいたマチュアに、ノーマンがアホな質問をしていたので、卑猥なやり取りが行われる前にさっさと移動することにした。

 マチュアのボディを小脇に抱え、先頭を歩く。


「渉。私はお姫様抱っこを所望します」

「断る! …ほんじゃ皆、変な時間を食っちゃったけど、食堂に行くよ~」


 皆が付いてくる気配を確認しつつ移動を開始すると、背後から話し声が聞こえてきた。


「母さん。“初めて”の時について、後学のために詳しく」

「じゃあ、今晩私のラボに来なさい。じっくりたっぷり教えてあげるから」

のりちゃん、僕としては娘にそれ(・・)を教えるのはちょっと勘弁して欲しいんだけど…」

「あら良いじゃない。減るもんじゃなし」

「僕の精神が擦り減るよ…」


 義父さん、相変わらず義母さんの押しに弱いんだな。

 ご愁傷様ですと思うと同時に、なんか落ち着くわ。


「ねえ、加奈子お姉ちゃん。オナホって何?」

「…もうちょっと大人になったら、久恵ひさえちゃんも分かると思うわ。だから、決して検索エンジンで調べてはだめよ?」

「え? う、うん。わかった…」


 ナイスブロックだ、関口。

 妹尾よ、もう数年はそのままでいてくれ。


 関口のファインプレーに胸を撫で下ろしつつ、今度こそ食堂に向かうのだった。

次回はまた来週の金曜日を予定してます。

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