第08話 - 修行1
ごめんなさい。タイトル詐欺になりました。
まだ修行っぽい修行やってないっす。
そして、こんな作品をブクマしてくれた方がまた一人…ありがとうございます。
総合評価って、ブクマ一人に付き2pt追加されるんですね…知らなかった。
第二章・第01話に書いてしまった前書きの内容が恥ずかし過ぎる…。(悶え中)
─ 2012年4月29日(日) ─
「学園で知られていない魔法知識? …渉君、それって私も知らない事かしら?」
「由子お姉ちゃんでも知らないと思う。なんせ、俺と師匠しか知らないハズの内容だからね」
「ということは、歩さん直伝の秘蔵知識ってやつ? 凄い! 本当に魔法効果が高まりそうねっ!」
キラキラした瞳でマジカルゆかりんが乗り出してくる。
ちょ…顔近いって。鼻息が…興奮はしないけど、なんか背徳感に訴えかけてくるものがだね…。
「ねぇ、渉君。その知識、今後学園でカリキュラムに入れても良いかしら? 大学部の魔法研究が、ここ何年も行き詰っていて、新しい知識を入れてあげたいの…」
「う~ん…ちょっと考えさせて。GW中には返事するから」
マジカルゆかりんを押しのけていると、由子お姉ちゃんが真面目なお願いをしてきた。
念のため、師匠からのGOサインを聞いてからにしたかったので、一度保留にしてもらう。
それに、話を聞いたあとで、由子お姉ちゃんの方から辞退する可能性もあるしな。
なんせ魔法の自由度は上がるけど、構築する魔法式が面倒になっちまうから…。
「えぇ、色良い返事を期待してるわ。何だったら、お礼として添い寝してあげても良いわよ?」
何? その、俺が添い寝してもらいたがってるみたいな言い方。
是非お願いしたいです!
「大変魅力的な話ではあるけど、俺も若い男の子だからね? 欲望に負けて押し倒しちゃうかもしれないから、他のお礼でお願いします」
…が、辛うじて残った理性で本音を隠すことができた──いや、隠しきれてないか。チラ見えしちゃってるわ。
「寧ろ襲って欲しいと思ってるのに…」
やめてよね。俺に莉穂姉が居なかったら、喜んで抱き着いちゃうところだったよ?
「もういい加減、俺の事は諦めてアラサー男子から良さげな婿候補を選べばいいのに…」
そうすりゃ俺も、莉穂姉の射抜くような視線に戦々恐々としたり、由子お姉ちゃんの色っぽい誘惑に負けそうにならなくて済みそうだし…という本音を胸中でつぶやく。
「それは私が、アラサーしか釣り合わないオ・バ・サ・ンって言いたいのかしら?」
由子お姉ちゃんが、胸ぐらを掴んで凄味のある笑顔を近づけてくる。
やばい、超良い匂いがする──じゃなくて、早く誤解を解かなくては!
「ちょ…違っ、『今のご時世、その世代の男性じゃないと結婚を前提に付き合ってくれないんじゃないか?』と思っての話っ!」
「なら許してあげます」
途端に手が離されたため、尻餅をつく羽目になった。
ふぅ…、色々な意味で危なかった。
あんな姿、莉穂姉に見せられ…遅かった。既に凍てつく視線でこちらを見ておられる。
「ちょっと渉。理事長とイチャイチャしてないで、さっさと魔法知識を教えなさいよ!」
「やだ、菜月さんったら正直なんだから。やっぱり私達お似合いに見える?」
「…そうだな。茶番はいい加減切り上げて、本題に入ろう」
由子お姉ちゃんが何か言っているが、マジカルゆかりんの提案にしれっと乗ることにした。
これ以上莉穂姉の視線が冷たくなったら、精神的に死ぬことになりそうだもん。
「もぅ、渉君の意地悪っ!」
マチュアといい、由子お姉ちゃんといい、流行ってんの? それ…。
▲▽△▼△▽▲
「そんじゃ、まずは魔法式ができ上がった経緯について話そうか…」
本来、この世界の住人であれば、消費量にもよるが魔法を発動させることは可能である。
“どのように魔法を発動させるか”、“どのような効果を出させるか”、“どのように終了させるか”、最低限この三つをしっかりとイメージした上で意識を集中させれば魔法は発動できるのだ。
身も蓋も無い言い方をすれば、鮮明な脳内妄想を繰り広げて強く念じれば魔法は使えるのである。
厨二病患者が得意そうな分野の話ではあるが、彼らの場合は自身の魔力保有量をオーバーしたイメージをしているために発動できていないのが現状だ。
稀に、「鎮まれ! 俺の右腕!」みたいなことを言って右腕に意識を集中し過ぎたせいで魔法が発動し、本当に右腕を鎮める羽目になることもあるようだが、大抵の場合は驚いて集中を解いてしまうので大事には至らない。
「そういうわけで、本来であれば強く妄想しなくちゃならないところを、均一化した威力の魔法を確実に発動できるようにしたのが、師匠の開発した魔法式ってわけ。
例えば、火炎魔法をイメージだけで発動させた場合に、イメージ規模を間違えると大惨事になってしまうだろ? そういった“万が一”が起こらないように…という配慮だね」
「確かに初耳だったわ…。まさか、イメージして意識を集中させれば魔法が使えただなんて…。ひょっとして、渉君を意図的に惚れさせる魔法も、強くイメージすれば可能ってこと?」
「それは理論上可能だけど、事実上不可能と言えるかな」
それに、由子お姉ちゃんの場合は、余裕で俺のストライクゾーンだから、物理的に押し倒されれば拒否できる自信がないけどね。
寝取り、寝取られは好きじゃないから、理性が持てば誘惑を振り切れるだろうけど、俺も思春期男子だからどこまで耐えられるか自信がない。
「あら? どうしてかしら?」
「師匠が打った保険があるからね。由子お姉ちゃんだって使われてるでしょ? 初めての魔法の授業の際にさ…」
「制約魔法…、本人の道徳観に訴えかけて、邪な目的で魔法を使う事ができないようにするアレね。確かに私も使われてたわ。はぁ…、厄介ね…」
胸の下で腕を組み、溜息を吐く由子お姉ちゃん。
目のやり場に困るし、溜息の吐き方や表情が色っぽいしでドキドキするなぁ…。
こういう場合は──秘儀、ツルペタリセッター!
説明しよう。ツルペタリセッターとは、幼児体型の女の子や、無垢な少年を見ることで、年上巨乳美人の誘惑に負けそうになった性欲を落ち着かせるために生みだした、俺のオリジナル技である。
俺は由子お姉ちゃんから目を外してノーマンたちの様子を窺うようなそぶりをしつつ、マジカルゆかりんを視野に入れて落ち着きを取り戻し、由子お姉ちゃんが王道に戻れるよう促す。
「でも、仮にそれが無かったとしても、由子お姉ちゃんはそんな魔法を使わないでしょ? 正々堂々と、自分の魅力を使って勝負してくるはずだもん」
というか、危なく魅了されかかってたもん。
大人の色香…恐ろしい。
「…もぅ、そうやって真っ直ぐに信用してくれるなんてズルいわよ。惚れ直しちゃうじゃない…」
「イチャついてないで、早く私がナイスバディになるための方法を教えなさいよバカ弟子!」
マジカルゆかりんが、俺の耳を引っ張って怒る。
「アッハイ…。えっと、どこまで話したっけ?
…あぁ、そうそう。魔法式の事なんだけど、実は籠月学園で教えている式ってかなり省略されてるんだよね。本来は、もっと詳細な設定をアレコレ構築する必要があるんだ。
マジカルゆかりんご所望の、老化魔法の効果を上げる方法は、その詳細な構築方法を理解しておく必要がある」
籠月学園で教えている魔法式は、先ほど説明したイメージによる魔法使用を例に挙げると“どのような効果を出させるか”のみを式として構築しているだけである。
つまり、魔法の“発動”と“終了”を省略している形になるのだ。
ではなぜ省略しても魔法が正しく発動し、終了できるのか?
その理由は、師匠が大気中のエーテルに、魔法式という概念を融合させたから…らしい。
「は? エーテルに概念を融合させるってどういう意味よ?」
「まぁ、そう言いたくもなるわな。俺も実際に言ったもん、それ」
そして、その時の師匠の反応が次の通りである。
「プログラムにライブラリって付き物じゃない? 魔法式を創る上で、そういった機能をエーテル自体に持たせられないかな? って思ったんだよね。
毎回毎回、発動と終了の式を考えるの面倒だし。魔法陣として展開する時なんて、更に面倒な式を織り込まないといけない。この辺の処理なんて、ぶっちゃけ誰がやったって共通の魔法式になるんだし、できれば省略したくならない? なるよね?
だったら、どうすれば省略できるか?
魔力の素であるエーテルに、魔法式の概念を融合させればできるんじゃね? って考えたわけよ。
…で。これらの魔法式が大気中のエーテルに溶け込んでいくイメージを必死に考えてたら、とんでもない量の魔力が抜け出てさ。6~7時間ほど気絶しちまったのよ。そしたら、翌日には魔法式の省略ができる様になってた」
尚、それ以降も籠月学園の魔法教師をやりながら、「あ、コレ省略した方が楽だわ」と思った式を逐次エーテルに融合させていき、現在の形に落ち着いたそうな…。
「……ママが昔、『彼は規格外よ…。全ての魔女が束になったって敵う様な方じゃないわ…』って言ってたけど、本当に無茶苦茶ね…。まさか、魔力の素そのものに手を加えるなんて…」
「ちょっと待って、渉君。籠月学園の創立は80年前よ? 歩さんが教師をやっていたのは、最初の数年間だけ…。その頃のコンピューターやプログラムは、今みたいに便利じゃなかったハズじゃない?
今の口ぶりだと、そんな昔から歩さんには現代的な考えがあったという事になるのだけど…?」
神妙な顔で驚くマジカルゆかりんの横で、由子お姉ちゃんがまたもや気付いてしまった。当時にしては考え方が未来的すぎるという事実に…。
「まぁ、あの人、未来の日本から転生した人間らしいからねぇ──“異世界の”って但し書きが付くけど…」
元々、師匠の正体については教えるつもりだったので、あっさりと開示する。
「…どうしましょう。荒唐無稽な話なのに、妙に納得できてしまうわ」
「なんかもう、話を聞いただけでお腹一杯な感じだわ…。
だけど、私が理想のプロポーションを手に入れるには、省略された部分を含め、フルで魔法式を構築する必要があるのよね?」
疲れた表情で呟く由子お姉ちゃんとは対照的に、マジカルゆかりんが気合の入った表情で俺を真っ直ぐに見てくる。
少年漫画の主人公が、意を決して修行に挑む時の様な雰囲気だ。
その意気や良し。……ただ。
「さっきも突っ込もうと思ったけど、老化魔法はあくまで成長の促進だから、マジカルゆかりんが想像している“ナイスバディ”やら“理想のプロポーション”やらになれるかは保証しかねるぞ?」
「……何が言いたいのかしら?」
漫画みたいな青筋を立てながら、笑顔でマジカルゆかりんが問うてくる。
うむ。由子お姉ちゃんと比べると、迫力が足らんな。
「必ずしも、身長とスリーサイズが成長するとは限ら──」
「シャラーップ!」
「──ゴフッ! ごめ…、冗談が、過ぎました…。魔力保有量高いから、ほぼ確実に、ナイスバディに、なれ、ます…」
息も絶え絶えな感じなりながら、からかった事を謝罪する。
幼女体型から繰り出される頭突きボディブローの威力、舐めてた…。
なるべく早めに書き上げて、修行っぽいことさせたいです…。
投稿日が七夕なんで、短冊代わりに願い事をば…『二次元に行きたい』




