第16話 - サドンデスタイム前のひととき
友人らと広島(この世界の片隅に)→呉(この世界の片隅に)→尾道(蒼穹のファフナー)の順で2泊3日の聖地巡礼をしていました。
遅れた原因は、その旅行と旅行による筋肉痛です。…鎖修行、マジきつかった。
─ 2012年4月20日(金) 13:05 ─
「とりあえず、色々補足説明をする…とは言ったけど、まずは腹ごしらえをしようか。 ってわけで、いただきます」
「「「「「いただきます」」」」」
あのあと、学園の人々の好奇の視線を視線を集めつつ寮の2Fに上がった俺たち一行は、各自好きなメニューを選んで学食のテーブルに着いていた。
テーブルは会議室などでよく見かける長机を二つくっつけたほどの大きさで、綺麗な木目が印象的な長方形の木製テーブルである。飾り気はないが、落ち着きのある色合いで個人的には気に入っている。900人が余裕をもって食べられるようにするというコンセプトのため、町で見かける食堂のようなテーブル配置となっている。
しかし、テーブルも椅子も木目の主張が強すぎない落ち着いた雰囲気なので、大量に配置されているのにどことなく優雅な感じがする。
一つのテーブルに対して、辺の長い方に3人ずつ計6人が座れるように椅子が置かれており、現在はテーブルを二つくっつけて12人が座れるように合体させている。もちろん、ノーマンの力技によるものだ。見かけによらず地味に重たいテーブルなので、いくら大人数でも普通はくっつけようとはしない。
ちなみに現在の配置状況を説明すると、片方の列に理事長、俺、ノーマン、マージちゃんの4人が座り。それに向かい合う形で、俺からみて左から順に美希姉、関口、莉穂姉、滝川、篠山ねーちん、妹尾という配置になっている。
美沙都さんが、大講堂の出入り口で別れる際「渉君たちのエピソードが聞けるんなら、ランチをご一緒したい」と言っていたのだが、まずは幼馴染たちだけのプライベートな話に留めておきたいとしてご遠慮頂いた。
幼馴染ではないマージちゃんが居るのは、ノーマンの相棒として活躍してきたからという理由もあるが、篠山ねーちんのライバルになる女性なので、ここで互いに見知って頂こうという意図も多分に含んでいる。まぁ、さっきからノーマンを挟んで互いに牽制していたので、もう十分に見知った間柄な気がするが。
理事長に関しては…一応、俺の幼馴染と言えなくもないんだよな。何にせよ、呼んでもいなかったのについてきてしまったので、ついでに莉穂姉たちにも俺と理事長との関係を説明してしまおうと思った次第である。
ではここで、登場人物をまとめて紹介させて頂こう。ノーマン、滝川、マージちゃん、莉穂姉、理事長に関しては既に紹介しているので割愛させて頂く。
まず最初に、先ほどからマージちゃんと無言の戦闘を繰り広げている篠山ねーちんこと“篠山 楓”から。俺とノーマンの一学年上、要するに莉穂姉と同い年の幼馴染のお姉ちゃんで、3-Bに在籍している。
昔から近所でも活発な女の子として有名で、運動が大好きというスポーツ少女であった。現在は籠月学園の陸上部に所属しており、「高校生女子100mハードルでは並ぶものが居ないのでは?」と囁かれるほどの実力の持ち主である。今月で三年生になったので、「年内の活躍がどうなるのか」、「オリンピックに出る気はないのか」などの話題が尽きない。
幼少の頃から運動神経抜群のノーマンを気にかけており、何かに付けてはノーマンと張り合っていたのだが、思春期を迎えたあたりから男性として意識するようになっていたようだ。
髪は茶髪のショートヘア。2本のヘアピンでおでこの左右の髪を止めており、ノーマンとお揃いのおでこ強調スタイルにしている。ノーマンが表向き“留学”に行ってからこの髪型をするようになったあたり、少しでもノーマンを身近に感じたかったのだろう。そういうところ、実に乙女らしくて良いと思います。
尚、走るときには右側に短いサイドテールを作るようにしている。これは、幼少の頃にノーマンを捕まえる事ができた時の髪型であり、今では験担ぎとして行っているらしい。確かに、篠山ねーちんがノーマンと追いかけっこした際、一度だけだがノーマンに追いついて押し倒した事があった。実は、ノーマンに一泡吹かせてやろうと、俺が篠山ねーちんに身体強化魔法を掛けたせいだったのだが、まさか験担ぎの髪型になるとは思ってもみなかった。
スポーツ少女なだけあって、肌は健康的な感じに焼けている。小麦色ほどではないが、この集団の中では明らかに肌の色が違う。漫画などでは確実にトーンが張られるレベルである。
俺とノーマンは篠山ねーちんと呼んでいるが、莉穂姉は楓と呼び捨て。滝川や関口、妹尾は楓お姉ちゃんと呼んでいる。
お次は“関口 加奈子”、2-A在籍の幼馴染だ。
標準体型に、成績も平均的といった感じで、幼馴染の中でもこれと言った特徴がない少女である。まぁ、この学校で言う“平均的”は世間一般のイメージに例えると“10段階評価中の8”といった感じなので、その辺の高校であれば模範的な優良生徒と言えるレベルだろう。
さらに言うと、顔立ちも文句無しの美少女である。他の幼馴染連中が妙に際立った特徴が多いだけで、関口はその辺のアイドル顔負けの容姿を持ってはいるのだ。あまり自己主張をしないため、目立つことが少ないだけで…。
黒髪セミロングのおかっぱ頭をしており、左耳の上だけヘアピンで止めている。どことなく眼鏡を掛けていない仁科先生といった風貌である。今はマージちゃんと篠山ねーちんの険悪な雰囲気を心配して、あわあわとおかっぱ頭を右に左に行ったり来たりさせている。…なんか、見ているだけで申し訳ない気分になってくるな。
全体的に大人しい雰囲気を醸し出していることもあってか、図書委員に所属している。最近では、子育ての本に興味を示しており、将来は保育士を目指しているようだ。…ノーマンがトチ狂って子作りについて熱く語ったりしないか、セクハラ発言には注意するようしっかり釘を刺しておこう。
続いて“妹尾 久恵”、1-A在籍の一学年下の幼馴染である。
まだまだ子供っぽさが抜けておらず、中学一年生といった方がしっくりくるくらいの可愛らしい女の子だ。俺やノーマンのことを、渉お兄ちゃん、俊之兄ちゃんと慕ってくれており、ついつい頭をナデナデしてあげたくなってしまう妹キャラである。尊い。
明るめの茶髪を肩よりやや下くらいの長さで垂らしており、これといってリボンなどの飾りもつけていないストレートヘアである。この素朴な感じがまた良い、是非ともそのピュアな感じを忘れずに良いお婿さんを捕まえて欲しいものだ。
チャラ男なんかに目を付けられた日には、俺とノーマンが全力を持って排除してあげよう…と思えるような守ってあげたくなっちゃう系美少女である。お目目もくりくりで、今も関口と同じように篠山ねーちんとマージちゃんの無言のにらみ合いを涙目になりながら慌てている。俺の中に眠る嗜虐心が、芽を出しそうな勢いで尊い。
余談だが、幼馴染メンバー唯一の貧乳担当だ。とはいえ、Cカップにギリギリ届かないといった感じなので、菜月先生に比べれば圧倒的な大きさなのだが。
最後に、幼馴染の中で一番の年上キャラである“姉崎 美希子”。現在大学二年の19歳。
いつもニコニコとしたおっとりオーラを出していて、俺は言うに及ばず、莉穂姉ですら「美希子お姉ちゃん」と慕うほどお姉ちゃん然とした女性である。叱ってくる時も、基本的には怒るという事はせず、悪い事をしたという点を悲しそうな顔で諭してくるものなので、こちらの罪悪感に訴えてくる方法を取ってくる。狙ってやっているように思えるだろうが、実際のところ素でやっているという恐ろしい人物でもある。
身長は理事長よりやや低めだが、バストサイズはなんと99cmのIカップ。アンダーとの差が32cmなので、Jカップでもおかしくはないダイナマイトバディである。実は、この学園一の巨乳の持ち主だと俺は思っている。
髪型は、アッシュグレーに染めたゆるふわロング。肌は色白で、普段着も白を基調としたワンピースを好んで着ることが多い。バストサイズがアレなので、何もしないと腰回りが太く見えてしまうという点からリボン状のベルトで腰のラインが出るようにしている。おかげで胸部装甲の凶悪さが目に見えてわかってしまうのが、男として嬉しいやら目のやり場に困るやら…。
ちなみに、美希姉はシェイプアップ効果を期待して白いガーターベルトを装着しているらしい。素足がもともと色白なのでわかりづらいが、よく見ると白いストッキングを履いているのだ。…寸止めエロ漫画みたいな展開になった日には、興奮してそのまま18禁な展開になってしまいそうな装備品である。
特に会話を挟むこともなく、一部牽制し合いながら黙々と食べ続けること約10分。食器も片付け終わり、お茶を手にテーブルへ戻ってきた俺たちは、ようやく本題に入ることにした。
「それじゃ、昼食も食べ終わったので、まずは一言。 今まで隠してきて、本当にすまなか──」
「その前に渉! そこの犬耳コスプレ女が、俊之とどういった関係なのか教えてもらいたいんだけど? さっき、二人が紛争鎮圧の功労者みたいなこと言ってたけど、それ以上の関係ってことはないわよね?」
俺の言葉をぶった斬って、篠山ねーちんが俺に食って掛かってくる。
「──いや、俺に聞かれても…。それに訂正させてもらうと、マージちゃんは犬耳ではなく狼耳であって、更に言うと魔法実験による遺伝子レベルの融合体…要するに合成人間だから、決してコスプレというわけでは──」
「そんな些細な事はどうでもいいのよっ! 今一番重要なのは、そこの二人が男女の仲になっているのか、いないのか! 私が知りたいのはその一点よっ!」
ヒートアップした篠山ねーちんが、必死の形相で前のめりになってくる。些細な事とバッサリ斬り倒したが、遺伝子の融合に成功するなんて歴史に名を残すレベルの凄い事なんだけどな。特に医療技術の面で見れば、悪性腫瘍を始め不治の病に属する病気を完治可能にできるかもしれないほどの技術になるのだが…。
「ちょっと楓、私の渉を責めるのは止めてちょうだい。渉を苛めるのも甘やかすのも、やって良いのは私だけなんだから」
「異議あり! 莉穂姉、渉がまだ誰のものにもなってないというのはさっき本人から聞きました。これはつまり、私にもまだ苛めたり甘やかしたりする余地があるということ! あ。あとついでに、ノーマンもまだらしいから、楓お姉ちゃんは安心して」
「──話、進まねぇ…。というか莉穂姉も滝川も…皆、俺たちに対してその…キモイとか得体が知れないとか、そういった忌避感はないの?」
かなり脱線してしまったが、皆をここに集めて話す場を設けたのは、人造人間として忌避感を持たれてしまった場合の措置をするためである。さすがに今の流れを見ていれば俺たちを避けることは無いだろうと思うが、念のため本人の口から答えを聞いておきたい。
「「「「「「…ないわね」」」」」」
俺の質問を聞いた皆がそれぞれ視線を合わせて一度頷くと、声を揃えて否定してくれた。もしかしたら、今まで黙ってた事を理由に嫌われてしまうかもしれない…と、万が一の場合を想定していた反動から椅子に崩れる様に脱力してしまった。
ノーマンが来てくれた時もそうだったが、こういった形での脱力ってのは悪くないな。“スパ○ボ”では気力が-10されるところだが、今の俺なら逆に増えそうだ。いや、決してMだからという訳ではない。
「ふぅ~…良かったぁ。 皆に怖がられたりされるんじゃないかと、気が気でなくてさ~。軍の上層部と会議するより遥かに緊張したよ。いやぁ、気分がすげー軽くなったわ」
「BB、だから言ったろ? 心配する事なんてないって」
「いや、テメーは何も言ってねぇよ。したり顔で何をしれっと『俺は皆を信じてたぜ』みたいに言ってんだ。 だいたい、ノーマンの場合は“心配してない”んじゃなくて“考えてない”だけだろ」
「いやぁ、強いて言うならハーフ&ハーフってとこかな」
「ピザかよ…」
「あの、渉お兄ちゃん?」
ノーマンと俺の軽口合戦の中、おずおずと手を挙げながら妹尾が声を掛けてくる。小動物みたいで可愛いから、ついつい撫でたくなってしまった。今の位置からじゃ手が届かないからやらないけど。
「ん?どうした、妹尾?」
「あの…大講堂に移動する時、先生たちが話してるのを聞いてたんだけど、丸くない魔法陣を刻んだって本当なの?」
「そういえば、警備員の美沙都さんも、BBが魔方陣を使ったときに『丸型じゃなくても機能するのね』とか言ってたな。普通は丸くないと起動しないもんなのか?」
「ノーマンは、俺が渡した空間拡張バッグで知ってたから、丸くない魔法陣に違和感はないんだな。 そう、普通であれば必要魔力量が増えるから、効率面を重視して“丸くしないと上手く発動しない”と教えているが、実は丸くなくても魔法陣は発動させることができる。 まだ魔法の授業も始めたばかりだというのに、早速知識を深めようとは…妹尾は良い子だなぁ」
「え…えへへ…お兄ちゃんに褒められちゃった」
うむ。その嬉しそうな表情も、実に愛嬌があってほっこりするわ。
さて、肩の荷も下りたことだし、サドンデス説明タイムに移るとしますか…。
次回も説明回です。2日以内に更新します。
2017/4/25 23:20修正
終盤部分の“関口”となっていた部分を“妹尾”に修正。自分で考えた設定の癖に、何故か妹尾と書くべきところを、関口と書いていた不思議。




