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オタクウィザードとデコソルジャー  作者: 夢見王
第一章 テロリスト襲来
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第12話 - 警備員棟奪還(後半)

投稿すると、アクセスが10PV以上表示されるけど…どうやってこんな作品にたどり着いているのだろう。

   ─ 2012年4月20日(金) 10:08 ─


「遅いな…」


 BBと別行動をとって早8分、見張り役らしきテロリストを伴って廊下に出て行った警備員のお姉さんもそうだが、モニタールームにBBがまだ来ないのだ。タイミング的に廊下でかち合った可能性は高いが、だとしてもBBが後れを取るとは思えない。確実に倒してからモニタールームに入ってくるはずだ。


 ひょっとして、警備員のお姉さんとの間でトラブルが発生したとか?


 テロリストをぶちのめしたは良いが、警備員のお姉さんがパニックを起こして騒ぎそうになり、口をふさいだりする内におっぱいに手が触れちゃって、余計に騒がれそうになっているとか……ありる。

 そして、すったもんだの末に和姦わかん…じゃねぇ、和解して妙なフラグを立てちゃって、莉穂姉、滝川、警備員のお姉さんによる三つ巴の戦いが開始されたりしちゃって……ウホッ!み・な・ぎ・って・き・た!

 ちょっとコレは、マチュアに監視カメラの映像を見せてもらうよう交渉しないとな。BBが慌てふためく姿とか面白そう。


 カチャ──


 などと考えていたら、音は聞こえなかったものの天窓越しにモニタールームのドアが開くのが見えた。

 危ねぇ、アホな事を考えていてタイミングを逃したらBBに怒られちまう。

 注意深くドアから入ってくる人物を確認すると、さっき出て行ったお姉さんだった。肩透かしを食らった感じだったが、次の瞬間入ってきたのは紛れもなくBBだ。良かった、無事和解できたんだな。

 俺は右手に力を込め、いつでも突入できるよう気持ちを切り替えた。



   ▲▽△▼△▽▲


   ─ 2012年4月20日(金) 10:05 ─


「…なんてね。精神感応魔法テレパシーなんて、私が使えるわけないじゃない。 もし使えてたら、今頃は凄腕の教員として一目置かれてたわよ」


 おどけた感じで美沙都さんが「テヘペロ♪」をしてくる。まったく、こんな状況だというのに俺にドッキリを仕掛ける余裕があるなんて、アンタ大物だよ。


「…ですよね。ってことは、さっきのは全部『なんとなくそう思った』ってだけ?」


「うん。 ほら、今朝からまるで映画みたいな出来事のオンパレードじゃない?そこに渉君が来て『助けに来た』なんて言ってくれるもんだから、『じゃあもしかして、お約束な設定もあったりするのかな?』なんて思ってね」


「…驚異の正解率ですよ、まったく。 でも、だったら話は早いか…じゃ、さくっと仕上げちゃいましょう。アイツも待ちくたびれてると思うんで」


 特に今後の手筈なども説明することなく、モニタールームのドアの前まで移動する。頭に「(ハテナ)」を浮かばせている美沙都さんをよそに、ドアを開き「どうぞ」とジェスチャーをして先に通らせる。

 ドアを開いた際、モニタールームからテロリストたちの緊張した雰囲気を感じたが、美沙都さんを見て警戒を解いたようだ。そんな中、想定外の侵入者である俺が美沙都さんの前まで踊り出し、全員の注目を集めさせる。入ったと同時に目線だけを斜め上に上げ、天窓の外を確認すると、スタンバイしていたノーマンがしっかりと俺の姿を捕えてくれているのが見えた。


 テロリストたちが慌てて俺にAK-47を向けるが、相手が発砲するよりも先に頭の中で組んでいた魔法式を同時に二つ展開させる。一つは俺の正面に防御壁魔法シールドを通常魔法として縦長の楕円状に展開。もう一つは、教職員室内で使った防御壁魔法シールドの魔法陣を、テロリストと警備員たちの間に壁状に展開する。

 通常魔法として展開する場合と魔法陣として展開する場合の違いは、展開時に消費される魔力量の多さである。通常展開の場合、使用時間に比例して魔力が消費されるため展開時の消費量は少なくてすむ。対して魔方陣展開の場合、展開時の消費量は大きいものの、魔法陣消去を行われない限りは長持ちするので、通常展開し続けるよりも単位時間当たりの消費量は少なくてすむのだ。ただし、魔方陣として刻んだ場合、そこから動かせなくなるといったデメリットもあるので、魔法の効果によっては魔方陣展開しても意味がないものは割と存在する。


 こちらも防衛準備が整ったのでノーマンへ合図しようと天窓をあおいだが、既にノーマンの拳が強化ガラスに当たる瞬間だった。拳を中心に細かい蜘蛛の巣状のひびが入り、一瞬にして無数の亀裂が天窓全体に走り抜ける。


 バリィィイン──


 金属とも陶器とも異なる音質の破砕音が、モニタールームに響き渡る。割れると同時に粉々になって降り注ぐ強化ガラスの欠片かけらが、太陽光を反射しながらキラキラと舞い落ちる様は実に幻想的で、つい集中して見入ってしまった。

 頭上からの奇襲であることに気づいた数名の冷静なテロリストが天井に向けて発砲し、残りは俺を向いた姿勢のまま乱射してくる。太陽光で輝くガラス片に、銃口から出る火花(マズル・フラッシュ)が彩りを添え、さながら映画のワンシーンのようで実にかっこいい。

 そして、ガラス片が降り注ぎ終わるか終らないかといったタイミングでノーマンが天井から降ってきた。着地と同時に、ノーマンの両手がそれぞれ別方向にうねる。それぞれの手の延長線上に居たテロリストが、二人いっぺんに気絶して倒れた。


 そこからはまさにノーマン無双というゲームのプレイ動画のようで、二人が倒されたことを感じて振り返った人物から順に、一撃のもとに倒されていく。ノーマンが狙うのは、ただ相手の顎のみ。まるで吸い込まれるかのように自然な軌道を描いてノーマンの拳がテロリストの顎に命中する。

 ノーマンが着地してからわずか3秒足らずで、テロリストの数は半数以下になってしまっていた。トイレの前で催眠状態で倒したまま放置の1名、ノーマンの奇襲に気づいてしまったせいで瞬く間に倒された5名。立っているのは、今頃になってノーマンの存在に気づいた鈍感な奴ら4名だけである。

 ノーマンが「ニヤッ」という音が聞こえそうなくらいイイ笑顔をする。次の瞬間、ノーマンが4人をすり抜ける様に移動しており、一拍遅れてテロリストたちがまとめて倒れた。


「フッ…また、つまらぬものを倒してしまった」


「すげぇ…『目で追うのがやっとだぜ』をリアルで言う日が来るとは思わなかったわ」


 素直にノーマンへ拍手を送りつつ、展開していた防御壁魔法シールドを魔方陣の消去と併せて解除する。

 次いで、テロリストをスズ○ン○ープで縛り上げていく俺をよそに、ノーマンが「和解できて良かったな」などと語りかけてくる。意味の分からないことをのたまってないで、お前もさっさと縛り上げてくれよと物言いたげな目で見上げ、初めて気づくノーマンへの違和感。そう、何かが足りないのだ。頭が足りてなさそうなのは平常運転として…もっとこう、手に持ってなきゃいけないハズの物が無いというか…。


「おいノーマン。スズ○ン○ープはどうした?」


「殴るときに邪魔だから、屋上に置いてきちゃった♪」


 美沙都さんに引き続き、本日2回目の「テヘペロ♪」を頂いてしまった。当たり前だがちっとも可愛らしくない。そもそもサングラスをかけてるせいで、ウインクが見えないから「テヘ」要素がねぇんだよ、お前は。


「…ったく。ホレ、俺の持ってるもう1巻を渡すから、ちゃっちゃと縛り上げてくれ。 それが終わったら、警備員のお姉さんたちを引き連れて大講堂で説明会だ。 …だいたい、邪魔だったら空間拡張バッグに入れれば済む話──」


 バッと振り返り、テロリストを縛り上げ始めたノーマンを観察する。


「──無い」


 本来だったら、肩掛けなりウエストポーチ状態にするなりして携帯しておくべきバッグが無いのだ。そうだった、コイツが迷彩ジャケットを羽織ってなかった時点で、フル装備じゃないということに違和感を持つべきだったんだ。予期せぬ心強い助っ人の登場で、完全に舞い上がっていた俺の失態である。


「…なぁ、ノーマンや。 激しく今更だが、空間拡張バッグはどうしたんだね?」


「ん? マージの武器庫用に、開放状態で置いてきたけど?」


「…やっぱりか。残念だけどノーマン、今頃空間拡張バッグはただのバッグに成り下がってるよ」


 お前が持っている限りは神力を魔力に変換できる仕様にしてたから、例え開放しっぱなしだったとしても問題はなかったが、置いてきてしまった以上供給量が足らなくなっているだろう。いやまぁ、魔方陣をちゃんと説明しなかった俺が悪いんだけどさ。


「はぁ…詳しくは今晩じっくりと話すわ。お前もここの生徒になる以上、ちゃんと魔法関連の知識を知っておくべきだからな。 ところで、ソイツで縛り上げるのは最後か?」


「あぁ、これで最後だな」


 ノーマンの返事を聞いて、「ふぅ…」と息を吐きながら立ち上がって辺りを見る。太陽光を浴びてキラキラと光るガラス片が敷かれた床の上に、白目をいてチャーシューみたいに縛り上げられている目出し帽の男たち9名。


「うむ。実に酷い絵づらだ」


「同感だな……ところでBB、やっぱわざわざ割って入る必要なかったんじゃないか?無駄な犠牲・・にしか思えなかったんだが」


「なんだよ、犠牲・・っつっても強化ガラス一枚(・・・・・・・)だぞ?…ちょっと…いや、かなりサイズがデカいけど、死人が出たわけじゃないんだ。 それに、俺とお前が稼いだ金額から考えれば、端金はしたがね……だと思うから心配すんなって」


「BBが言い切ってくれなかったところに不安を覚える件」


「でも、ガラスの替えが来るまではビニールシートとかで養生ようじょうしないと困るわね…」


 俺たちの会話を聞いていた美沙都さんが、あまり困った感じのしないトーンで話しかけてくる。


「あぁ、そこだったら大丈夫。さっき壁状に展開していた防御壁魔法シールドの魔法陣を、天窓の枠にピッタリはまるように展開します」


 説明しながら早速防御壁魔法(シールド)の魔法陣を天窓の枠に刻み、たっぷりと魔力を注いで展開する。ガラスのような光の反射はないものの、魔力を感知できる人間が見ればしっかりとガラスの代用ができていることがわかるだろう。


「とまぁ、こんな風にね。ちゃんと、丸一日以上展開できるようたっぷり魔力込めてるんでご心配なく。…ただ、毎日俺が補充しにくる事になるんで、仕事中お邪魔することにはなりますが…」


「さっきも見てたけど、魔法陣って丸型じゃなくてもちゃんと機能するのねぇ…初めて知ったわ。…でも、理事長に怒られるんじゃない?」


「まぁ…そこは、もう素直に謝るしかないですな」


「なぁ、BB。ひょっとしてそのお姉さんと知り合いだったりしたの?」


 俺と美沙都さんが普通に会話しているのを見て、ノーマンが驚いた風な様子で問いかけてきた。


「あぁ、この人は美沙都さんといって──」


「ミサトさん?! ひょっとして苗字は“○”だったり?」


「──ねぇよ!フルネームは“大隈美沙都”! 名前は片仮名かたかなじゃなくて、ちゃんと漢字です。…ったく、最新作が11月公開だからって…」


 「ホラ!」とスマホを取り出して電話帳を見せながら強調してやったら、あからさまにがっかりしやがった。


「…とりあえず、去年から色々世話になってて、警備員さんの中でも一番俺と仲が良いお姉さんだったわけだ。 俺が侵入した時にも、ちょうど廊下に出てきたもんだから、テロリストをぶっ倒したあと協力してもらったんだよ」


「なんだぁ…じゃあこれと言ったハプニング展開とかもなく、すんなり話がついてたのか。 ん?じゃあ、なんでしばらく戻ってこなかったんだ?」


 「少し考えれば分かるだろ。生理現象だっての…」と言ってやりたいが、美沙都さんからすれば初対面の少年だし、どう誤魔化──


「あぁ、それは私がトイレに行ってたからよ。 さすがにこんな連中の前で漏らしたくないじゃない?」


 ──わぁお。この姐さんすげぇや、一切の躊躇なく説明してくれてる。逆に、自分の事でもないのに他の警備員のお姉さんたちの方が少し恥ずかしそうにしてるし。俺らくらいの年齢相手だと、弟と話してる感じで恥じらい成分が薄いのだろうか。


「わかります!美沙都さんみたいな長身美女のお漏らしシーンなんて、こんな連中にはもったいないですね! 今度別の場所でじっくりと見せてもらっていいですか?」


「おい自重しろよデコ助野郎!」


「あら?私は安くはないわよ?」


「ちょ…美沙都さん?!」


「さっきBBが言った通り金はいっぱいありますから宜しくお願いします」


「おいこら拾うなよ、お前も」


 キリッとした表情で、ブレスなしで言い切ったノーマンが必死過ぎる。


「えっ!?本当に!? どうしよう、冗談だったのに魅力的な話に感じてきちゃったんだけど…ねぇねぇ、渉君。こういう状況で私がOKした場合、売春防止法とかに引っかかっちゃうかしら?」


 ノーマンの話を聞いて目を輝かせ始めた美沙都さんが、俺を揺すりながら確認してくる。ちょっと勘弁して欲しい、ツッコミが追いつかなくなりそう。


「美沙都さん、落ち着いて。売春防止法云々以前に、俺たちが“未成年”って時点でアウトですから!」


「くっ…そうよね、どうかしてたわ。 ごめんなさい、今回はご縁が無かったということで…」


 苦渋の表情でノーマンに断りを入れる美沙都さん。普段明るい人がこんなにもお金で葛藤する姿を見ると、笑顔の裏に闇を感じてしまうんだが…。何か力になれる事があるかもしれないし、今度調べてみるか。


「美沙都さん…バレなきゃいいんですよ。 BBが自分の素性を隠していたようにね」


「個人レベルの特殊性癖と、組織レベルの特別規則を引き合いに出してんじゃねぇ。 それに、俺たちの前で交渉した時点でバレてるんだから諦めろ」


「くっ…無念!」

楽しみにしてくださっている方が居るかは不明ですが、一応…次回更新は2017/4/16予定です。

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