抽選会
思いついたネタを、書き上げてみました。
どうか優しく見守ってください
「残念‥…外れです♪」
目の前に並ぶ人、人、人
また一人抽選落ちした奴がとぼとぼとその場から去っていく。
「さーて、この会場での招待券ももう少なくなってきました~。いったい誰が勝ち取るんでしょうね?」
司会者が楽しそうに解説している。
俺の前にはまだ数十人が抽選を待っていた。
今、この会場で行われているのはとあるVRゲームの第一次解放権の抽選である。
VRゲームが市場に浸透して早10年。
近年まれに見る超大作とうたわれているのがこの『Another choicesーもうひとつの選択ー』(以下ACと略)だ
このゲームの凄いところはNPC全てに感情があり、最初のキャラメイク時にその世界に存在するどんなものにでもなれると言うものだ。
スライムやゴブリンなど所謂魔物達やドワーフ、エルフといったファンタージー王道まで。
しかし制約もある。
このゲーム復活がない。
一度死んでしまえば二度とそのキャラは使用不可となりまた新しく作り直さなければならないのだ。
公式で発表されてるのはこれぐらいだが魔法や剣のファンタジー世界で現実と同じような生活を夢見る物は少なくない
それがこの人気を表している。
「はい、次の方どうぞ~」
とうとう俺の前の人までやって来た。
この会場での招待券は残り一枚になりせめて引くだけでもと思っていたのだが‥…
「はーい!おめでとうございまーす♪」
どうやら目の前の男がそれを引き当ててしまった。
会場ではおめでとうの歓声と当たらなかったことによる悲鳴が入り交じっている。
「‥…帰るか。」
もう此処に居ても意味がない。
帰ろうと振り返ったとき係員に止められる。
「はいっ、おにーさん次回の優先抽選券♪」
「あ、ありがとうございます。」
「次回の抽選の時に最初の方に挑戦できるから忘れないで持っててね。あと、その番号大事だから!無くさないでね」
ばいばいと手を降る係員と分かれ俺は会場を出ようとする
が、何故かまた係員に止められ
「今夜のニュースはちゃんと見た方がいいよ」
「え、は、はいっ‥…」
意味深なことを言われたものの帰ったら見てみるかぐらいにしか思わず帰路についた。
家に着くとネットでAC解放権を検索をしてみた。
AC解放権 1,000,000円 140人が参加中
出てきたのはネットオークションでのビックリ価格だ。
転売屋だろうか?
こういうやつを見ると折角抽選行ったのにやらないやつに持っていかれたのかとイライラする。
と、そんな事してても何かできるわけでもないので画面を閉じベットに飛び込む。
引いてもないのに疲れた‥…
ーーーーーー
ピピピピーー
携帯の着信音で俺は目を覚ました。
どうやら寝てしまっていたらしい。
「おい、ニュースみたか?」
電話に出ると同時に聞こえてくる友人の声。
「ん、寝てて今起きた」
「そうか、ならいいもん送ってやる。」
そういって直ぐに切られてしまった。
とりあえず友人の言っていた通りにニュースを見てみると‥…
抽選券の転売など不正行為により127名分の解放権の再抽選を行います。
抽選方法は優先抽選券に記載されている番号で‥…‥…
「マジか!!」
思わず声を上げてしまう。
そして友人から送られてきた当選者番号には俺の番号があった。
「いっ、やったぁぁぁああああ!!!」
こうして俺はACの第一次解放者の一人になったのだ。