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2 きちんとおかたずけ
TLLLLL...
「もう……あと……5分」誰にともなく、携帯電話の着信音に対し話しかけるのは高磯。
依然変わらず、電話の音は鳴り続ける。
「……仕方、ないなぁ」寝ぼけまなこをこすりつつ、やっとの思いで携帯を握りしめ通話ボタンを押す。
「カナミちゃん、起きてるよね!」電話口から大声。
「朝から大声は勘弁してよ、トモちゃん」ゲッソリした声で高磯は返答する。
「もしや今日何の日か忘れてるの?」心配そうな声が帰ってきて、思わず高磯は考えこむ。
「今日は……何の日……みどりの日とか?」
「小説仲間の人が来るって言ってなかったっけ」
「…………ッ!」眠気が吹っ飛び、がばっと起き上がる高磯。
「部屋大丈夫だよね!?」仲林、怒涛のツッコミ。
「大丈夫じゃない!」
「どうなってるの!?」
「床の踏み場がない!」
「何やってん!?」
「ルーズリーフ散らしてるとこうなって!」
「アンタどうやって生活してるのよ……」仲林が頭を抱える様子が、高磯には見えるようだった。
「分かった、急いで片付けるから一旦切る!」




