12 闇夜のDecision
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「Hey妹よ、土曜日暇しているでしょ」
『私が非リア充だと何故分かったのだ……!』烏丸一家、姉妹揃ってゲーム充。
「闇鍋大会だ、中部地方へ遠征へゆくので毒味にくるがよいぞ」
『2回改造を完了したのは何人ですか……?』
「1人、私は単艦ケッコン派ですわ」
『その台詞はノーマルをちゃんとクリアしてから言って欲しかったな』烏丸一家、姉妹揃ってシューター。
ただし弾幕縦シュー派と横シュー派の溝は狭くて、それなりに深かった。
「チョンよけのやり方ちゃんと教えて下さいよ」
『だから十字キーをチョンチョンと』烏丸妹はオノマトペを多用するタイプだった。
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机の上には二枚の名刺。
『高磯香波』と、『烏丸辰巳』。
古谷の脳裏に残っていたのは、竹内先輩が既に行動を始めているということ。
あの人は常に全力だった。遊びも、小説も、イタズラも。底が見えないという言葉は彼女にお似合いだ。
誰かの敵に回るタイプの人では無いと思っていたが。敵を作らないのではなく、勢いで巻き込むタイプ。
「…………。」
古谷は本棚を見つめる。高磯に昔貸していた本も、その中に入っていた。
「動機があるっていうのは、多分良いことなんだろう」呟く、納得させるように。
烏丸辰巳の名刺のメールアドレスを、携帯に打ち込み始めた。




