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11 帰りの電車で再び
「この間お花を頂いた分、古谷くんにプレゼントを買おうかなと思ったんですよ」
「ほう」取り敢えず頷く古谷。
「結局決まりませんでした」にこやかに言う烏丸。
「うんうん……ん?」
「そういう訳で、また来週にでも待ってて下さい」
「わざわざ言う必要性があったのかと」アンタ何言ってんだという表情をしながら古谷が返答する。
「あ、古谷くん『アンタ何言ってんだ』って思いましたよね」
「うるせーバカたれ、僕は今考え事しているんだ」
烏丸という苗字はあまり聞かないが、ひょっとしたら遠い親戚なのだろうか。そんな事を考えつつ、古谷は昼に辰巳と交わした会話を思い出していた。
「古谷くん、すぐ考え込むからね」ヤレヤレと言わんばかりに烏丸は肩をすくめてみせた。
「誰のせいだと思ってるんだ、誰の」手をヒラヒラさせて面倒臭そうに呟く。
「私のせいですか?」
「……他人の空似、というか。似てはないな、ゴメン」
変なのー、と烏丸は呟いた。