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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
6 街へ行こうよ小説家の2人
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#7 友人として

「面白かったー!」と笑いながらカレーのニオイを漂わせる、3年の竹内。

「カレー、苦手なんですけど」ジト目でにらむ北野。

「何やってるんですか先輩達」事態の推移が分からず、目を剥く仲林。

「有難うございます、SF研には今度差し入れしますんで」中間管理職、古谷。

「いいのよ、あいつら度が過ぎない程度のイタズラが大好きでね」自身もSF研の竹内が何故か自慢気に話す。

「度が過ぎないとは一体……うごご……」無に飲まれそうなことを仲林が呟く。

 高磯は、というとちょこんと椅子に座ったまま何をしたらいいか分からないようになっていた。

「あの、有難うございます」やっとのことで口に出す高磯。

「いいのよ、多分今回の件で久々に私達も集合できたし」にこやかに竹内は言う。

「古谷にちゃんと言ってやりな、俺は呼んだだけだし」北野は素っ気なく、だが古谷と高磯の上履きを洗いながら。

「無事でよかった、ゴメンね」やや俯きがちながら、仲林が答えた。

 一旦古谷君と一緒にしようか、と竹内が他2人を引っ張っていく。昼休みもそろそろ終わりで、多分3人には放課後会えないだろうとふと高磯は思う。

 そうして古谷と高磯だけ残った。


「まあ、お疲れ」少しの静寂のあと、先に仕掛けたのは古谷だった。

「いえ、あの」言う言葉が一瞬見つからず、俯く高磯。

「ごめんなさい」ついて出た言葉は謝罪だった。

 な~んでさ、と購買のパンを頬張る古谷。昼食べてないんだろ、とパンを差し出したので高磯は会釈しつつ頂くことにする。

 再び沈黙、今度はわずかに咀嚼音。

「うん、モシャモシャする音がするのはいかんな」急いで飲み込んで古谷は呟く。

「本のこと、弁償しなきゃと思って」出した案は、どこか先走ってしまう高磯。

「もうアレ読破してるから、大丈夫なんだけどな」手持ち無沙汰なので、古谷は一旦机に寝そべる。

「少し、良いかな」顔を上げて、古谷が尋ねる。無言で高磯は頷いた。

「初めに高磯が酷い目にあってるのを見ておきながら、対処せずに事態をここまで大きくしたのは謝らなきゃならない。先手を打っておけば、わざわざ苦しむ必要なんて無かったのに」

「周りの全ての問題を解決できる人間なんていません、自分の周囲ですら思うようにならないんですから」

 そりゃそうだな、と笑いながら答える古谷。立ち上がり、教室を出ながら声をかける。

「さっき言ったが、僕らが友人ってのは間違いないさ。約束が不安なら契約にでもしておくか」

「クーリングオフは効きませんよ、私友達少ないですから」

「……それだけ言えれば上等よ、教室でカレーの匂いさせてる奴らを笑ってやりな」

 不敵な笑みを浮かべる2人。




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