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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
6 街へ行こうよ小説家の2人
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#3 2人の新入生

「昼飯は持っているようだから、奢るのは明日にでも」部室への案内をしながら、古谷は声をかける。

「そもそもこの学校には食堂があるんですか」高磯の入学式の時にはそんな話題が無かった。

「売店なら、何故か売り物に地球儀があったりするが」冗談だろうか、と高磯は思う。

 よし到着、と古谷が案内した先の空き教室には「文藝部」とわざわざ難しい方の字が書かれたA4のコピー用紙が張られていた。

「部長、回収完了しました」

「おっつかれい! ……あら、カワイイ娘じゃない」迎えてきたのは、恐らく3年の先輩だということが高磯には何となく感じられた。

「カワイイとか言われても困ります、違いますし」表情は崩さないまま、高磯は答える。

「無表情っ娘ときたか、これは倍率ドン」何故か更に食いつく3年生。

 ま、弁当広げてアイスブレイクでもしましょと言われ、3人は席につく。


「香波ちゃんの弁当は自作なの?」購買で買ったという三色パンを頬張りつつ先輩は尋ねた。

「昨日惣菜コーナーで買った余り物を詰めて持ってきました」とほうれん草のごまあえをつまむ高磯。

 古谷は、というとゼリータイプのエネルギー飲料。

「シュウちゃん、そんなん食べてるとモヤシになるわよ」

「後輩勧誘するからメシ軽いのにしろって言ったの先輩ですが」ジト目で古谷が返す。

 あっ、そうだっけゴメンネと微妙に無感動な返答を返す3年の先輩。やれやれと言わんばかりに古谷は肩をすくめた。

「大丈夫よ後輩君、シュウちゃんは数日お水をあげなくてもちゃんと育つから」

「サボテンみたいに扱わないで下さい、あとシュウちゃんって呼ぶのはやめって言いましたよね」

 

 なんだか、仲がいいな。

 そう高磯は思った。


「さて香波ちゃん、我らが文藝部は週一から参加可能だ、勿論それ以上でもそれ以下でも構わない」

「素直に入って下さいお願いしますって言ったほうがいいですよ」古谷の忠告はスルーされる。

「今なら古谷君のおごりで購買のパン10個の出血大サービス!」

「先輩が8個分払ってくれるのなら考えますが」

「ぐぬぬ」

「お邪魔しまーす!」ガラリと教室のドアの開く音がする。高磯が振り返ると、そこには別の女子がいる。

 高磯が気が付くと、いつの間にか彼女に手を握られていた。

「あなた……『覚悟して来てる人』……ですよね?」握りつつ問いかけてきた。

「いえ別に」高磯はムベもなく返す。

「出合い頭にいきなりパロディで特攻仕掛けるのはお勧めしないぞ、新入生」先輩がツッコミ。

「え、新入生?」部活の雰囲気に慣れ過ぎじゃないか、と高磯は思う。


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