独白-(古谷)
「自分の本が書店に並ぶのを想像する」。
僕自身は彼女のようにはあまり考えてはいなかった。初めから本という形になるのを望んではいなかったと思う。書きたいように書きたいものを書く、というのとも少し違うが。
思えばあの時の僕は色々と悩んでいたのだろう。周りにも受け入れられず、自暴自棄な選択を取ろうと思うと周囲に止められた。
グチャグチャな妄想を文章で無理やり形にして書き上がった僕の「小説のようなもの」は多分引き出しにしまって大掃除の時期ぐらいに燃やしてしまうつもりだった。思い返すのも恥ずかしかったし、人に見せられるような字ではなかったから。
何故見つかったのだろう、と思い返す。
「ああ、そうだった」
お酒が入っているときに『黒歴史小説を盾にすればエロ本もバレにくいだろ』って考えて引き出しにロックも掛けずに締まったからだ僕の阿呆。ド阿呆。
しかもちゃっかり姉貴にエロ本は見つかったぞチクチョウ。しばらく合わせる顔もなかったわ。
いやはや。
「本」という形を目指して小説を書く、っていうのも奇抜な人だなと烏丸のことを思った。
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