いわゆるチートもの
「チートっていう単語を、私達の小説サイトでも目にしますが」既に烏丸の紅茶が真っ赤になってしまった。
「元々の意味合いとだいぶかけ離れたけどね」紅茶に気づいているけど、何となく言い出しにくいなと古谷は思った。
「ゲームのチートコードからが一番馴染み深いですね、レア社のチートコードは訳分かりませんでした」
「チートするためにチートをするとはこれいかに」
「小説の方のチートはどういった意味合いなんでしょうか」
「殺人事件の推理の最中にドラエもんがやってきてタイムマシンでネタバレみたいな」
「それって色々と台無し感がスゴイんですけど」
「周りの人間に無くて凄く役立つ能力を主人公が持っていたり、そういう人物と仲間だとチートと言われることが多いかも」
「チートって言われるキャラを物語の事件に当てたら、スグに解決するんじゃないですか?」
「解決する」
「えっ」
「解決するよ、その物語構成」
「意外性も何も無いんじゃないですか」ようやく紅茶に気付き、口をつける烏丸。渋さに顔をしかめた。
「そりゃダイヤ10:0の格闘ゲームなんて流行しないからね」
「……え、相手もチートにするんですか」
「アメコミって結構そういう所あるし、逆に相手がめちゃくちゃ強くてチートっていうのもあまり無いかも」
「デモナータとかですか、チート相手の能力をきっちり構成しすぎて、自分で倒す方法が思いつかなくなったり」
「なんで僕の黒歴史を知ってるんですかね……」古谷は頭を抱えている。
「逆になんでそんなの書いてるんですか、古谷さんの小説ってミステリーですよね」烏丸、動揺。




