メタフィクション
「フィクションとノン・フィクション、物語と現実とを阻む壁を一般に『第四の壁』と言います」
「まだ喫茶店に入って数分も経ってないのにいきなり飛ばすね烏丸サン」
「実際に存在していない『キャラ』が現実の『人間』にリアクションを起こすことが『メタフィクション』です」例のごとく店には他の客がいない。
「アンタは何処へ行くんだ、そのまま突っ走ってデッドプールみたいにでも成るのか」依然冷やかなリアクション、古谷。
「メタフィクション的な行動、発言は基本的にギャグ描写に使われることが多く、あるいは真逆に物語そのものに関わる人物として『読者』を物語の中に落とし込んでゆきます」
「ミステリーで、探偵や主人公が犯人だったというのは広義のメタフィクションに入るのか?」
「それは『叙述トリック』の方に入るかと。ヘタに有名タイトルを上げると大変なので伏せますが」
「別段僕は構わないんだけど。多分店長はミステリーものは読まないし」
店長は最近経営の本に手を出している、と古谷は聞いた。自分の店が上手くいかないのが悩みらしい。
「つまるところ、パソコン前かスマフォ前か携帯画面か分かりませんが、この小説を読んでいる『読者や作者』に対してリアクションを取れば『メタフィクション』に成るということです」
「『この小説』って何だよ」ちょっと面倒臭くなった古谷。
「……こんな風に話してみると、なんだか非現実的な感じがしますね」色々と戻ってきた烏丸。
「時止め吸血鬼の『貴様見ているなッ』に通じるものがあるな」
「この間読みましたけど、それって別にメタ発言では無かったと思いますけど?」
「いや格ゲーの方の」ペットショップでボコられた記憶がある古谷。
「格ゲーは苦手なんですが」格ゲーといえばスマブラ、烏丸。




