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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
5 小説、中断
54/191

15 小説、再開

「叔父さーん」書店の勝手口から烏丸が戻る。

「話はもう終わったのかい?」ちょっと意外そうな顔をする叔父、時間にしてまだ10分経っていないためだ。

「ええ、このお花を頂いたばっかりですけど」

「……トルコキキョウか」

「知ってるんですか、雷電」

「スキンヘッドにする予定は無いんだけど」ちょいワルを気取る割に、髪は黒く染めただけの叔父。

「民明書房の本とかありませんかね、この書店に」

「トンデモ本の類なら割と溢れていると思うんだけど」と言いつつ、レジ裏の棚から本を取り出す。

烏丸が見ると、それは花の大百科事典のようなものであった。写真付きで、あまり「花」と言わないようなものも写真として掲載している。

「……っと、あったよトルコキキョウ」

古谷が持ってきたカゴの花と、同じ花があった。パステルブルーのトルコキキョウだ。別名はユーストマ、とも書かれている。

「花言葉は……『すがすがしい美しさ』『優美』『よい語らい』『希望』?」

ほほうと叔父が呟き、ニヤリと烏丸に笑いかける。

「ミカちゃん、古谷君の事を大事にしなよ」

「あれは絶対告白とは違ったと思うんですけど」冷静な烏丸。叔父を〆る回数をカウントアップする。

「イヤイヤ、そういう意味とは違ってね」烏丸の表情から何かを感じ取ったのか、やや叔父が慌てる。

「トルコキキョウには別の言葉があってね、『元気』だったか。今ココには書いていないけど」

烏丸は、花束を贈ってきた時の古谷の表情を思い出そうとする。

「良かった良かった、最近ミカちゃん元気なさげだったからさ」

じゃ、後は頼んだよと言い残してレジカウンターを出て行く叔父。

残された図鑑と、カゴの花束をレジ台に置いたまま、すこし烏丸はぼんやりしていた。


――――

その夜、下宿先に帰った烏丸。トルコキキョウのカゴをを書斎机に置き、ワープロを立ち上げた。

「私は、どちらかと言うと『花より団子』だと思うんですけどね」

言葉と反して、花束を見つめる烏丸の顔は不思議とほころんでいた。

彼女は再びワープロのキーを叩き始める。読者と友人のために。

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