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13 意思、電信
「おんなじものをこの間友人に勧めたんだけど、『グロいし、みんな変人だし面白く無い』なんて言われちゃって」叔父は苦笑いを浮かべながら言った。
「そこがいい、と私は思うんですけどね」
「作品の好みなんてそんなものさ、食べ物の嗜好だって合わないんだから」
烏丸は、古谷のウインナーコーヒーを思い出す。
「そういえば、普段ミカちゃんは漫画なんて読まなかったけど、それは食わず嫌いだったのかい」
「私が好きなのは『小説』だったので」と烏丸は言う。
「案外漫画も面白いものですね、週刊誌を買えるほどお金に余裕ができれば買いましょう」
「生活困ってるの、毎月給料出てるじゃない……」
「先月の分は何処に行ったんですか」
――――
叔父を〆てから、烏丸は書店の休憩所(兼叔父の家の居間)でワープロを開く。
先のネタも何も思い付かないが、どうしようかと考えている最中、携帯の音がなりだす。
携帯にメールが届いていた。古谷からだ。
「明日、会えるか」文面はかなり短い。
「大丈夫ですよ」返す言葉も、短く。




