10 補給、提案
「その友人のコが、批判でへこたれちゃってるって訳ね」
「多分そうだと思う」情況証拠だけだったので、古谷も正確には言えない。ただ体調面には問題無さそうだが。
「趣味でやっているんでしょ、部外者から何かが出来るわけじゃなく本人次第よ」
「……まあ、たしかに編集する人にとっては仕事だもんな」
「書きなさいって机に着かせるのであれば話は別だけど」違うでしょ、とオレンジジュースを飲み込み卯島は言った。
「苦いもの、飲めないクチだったっけか」
「趣味じゃあないだけ、付き合いなら普通に飲むわよ」
「甘いコーヒーでも頼もうか?」店長が振り向き、発言を修正する。
「元々甘いのではなく、砂糖を十分に加えたコーヒーです。ブラジルなどの外国ではそちらのほうが普通だと」
「会社でコーヒーに砂糖入れるといっつも不思議な目で見られるのよねぇ……」愚痴のように呟く卯島。じゃあそれで、と注文すると衣川店長は砂糖が無いので買ってきますと言ってのけた。素早く外出する店長。
「…………。」あまりの事態に沈黙する卯島、咳払いをして話題を戻す。
「彼女のやる気を出させてあげたいんでしょ」
「……なんで女子だと思ったんだ」
「かかったな、アホ」
古谷の目が見開く。流石に表情がヤバイと思ったのか、即座に謝った。
「ごめんって、さっきからかった分とお返しで」
「アレは別にコッチの問題じゃあないんだが」
「彼女を元気づける方法、教えてあげようか?」
「別れそうなカップルの仲を取り持つみたいに言わないで欲しいんですけど」
「まあまあそう言わずに!」
言うなり卯島はメモを取り出し素早くペンで書き込む。




