3 発見、潜考
烏丸が落ち込んでいる(であろう)原因を探るべく、古谷はまず烏丸の小説のページをノーパソで見る。烏丸はパソコンのことをワープロと呼ぶが、お前は何時代の人間だよと古谷は思い出しツッコミをする。その時気になって調べた結果、1999年にはパソコンの売上が上回るまではワープロ専用機も出回っていたそうな。そういう現状とは全く関係ないことを思い出しながら、烏丸の書いている小説の情報を見る。
『感想:2件(閲覧にはログインが必要です)/ 得点 27/40』
1週間前の状況では、感想1件に点数は25/30だったはず。ちなみに古谷自身は感想なしの8点を入れた。一応知り合いどうし、別段評価しあおうと決めた訳ではないが烏丸も古谷に評価を送っている。これをグレーとみるか黒とみるか、古谷はたまに悩んでいるが。
ともあれ、考えうる状況として強烈な批判に加え最低点(このサイトでは2点から10点の点数がつく)を喰らったのだろう、と古谷は予想した。
「しかしねぇ……」悩むようにハリのない声を出す古谷。
同時に自分の小説に対する評価を見る。平均点数が10点中の8点で、やや烏丸より高いぐらいではあった。ただ、どちらも一般的というには母数が圧倒的に足りない。
「あれ、これって」得点のページを眺めていると、かなりヒドイ感想が1件ほど書かれていた。……名前付きで。もしやと思いその人物のページから感想の一覧を表示させる。
「ドンピシャか」見るに耐えない感想、発言が連ねられていた。昔の自分であれば怒りが湧いてきただろう。感想の送り先に烏丸のハンドルネームがあった。予想からするに、こいつにやられたのだろう。
「…………。」
静かに、パソコンの画面を見つめる古谷。
「対策が見つからない」困ったようにつぶやいた。




