δ 物書き古谷と烏丸妹
「悪いが僕は烏丸家の兄になった記憶はない」
「じゃあ義理の兄ですか?」
「変なことを言うな、アンタの姉貴の顔を見てみろ」と古谷が妹を促す。
「いえ、普通ですよ」
「妹が振り返る一瞬前まで般若の形相だったぞ」未だ無言の烏丸に対して古谷はツッコミ。
「それはそれは、般若心経を書かないといけないですね」
「英語を勉強してからにしてください」と溜息がちに烏丸は言う。
「元々はそのために書店の方に来てもらったんですから」
机の上には英語の教科書、参考書が置いてある。
「烏丸に教えてもらうほど英語が出来ないのか烏丸妹よ」
「どういう意味かきちんと説明してもらいたいところですが。まあ許しましょう」と妹が解いたらしいテスト用紙を取り出す烏丸。その一片を古谷は読んだ。
『次の英語を和訳して下さい。
Do not worry.
回答:探さないで下さい。
教師:あっはっはっは、どこへ行こうというのかね!
質問に英語で答えなさい。
What is your favorite rice ball ?
回答:I like Isobe Yaki.
先生:それは らいすけーき です』
「先生も大概だぞコレ」と烏丸。
「ですよねぇ」と烏丸妹。
「アンタがとやかく言える立場ではない」と古谷。




