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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
A 喫茶店にて二人は語る
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5 無意味なんてことはない

「さっきの話の続きになるんだけどさ」烏丸が落ち着いたであろうタイミングで古谷が切り出す。

「……なんの話でしたっけ? あんまり大変なことが多すぎて思い出せなくなりました」いつもはいじられ慣れていないのか、先程までの話をすっかり忘れてしまった烏丸。

「評価されるかが焦点、の話」と古谷が言い、烏丸もようやく思い出す。

「『方程式もの』に関しては前提になる背景があるから、より多くの人の目につきやすいし評価は、失礼なことを言ってしまえば作品が良いならば拡散しうる」慎重な物言いをする古谷に、無言で頷く烏丸。

「それならば、評価されない残りの『方程式もの』はいわゆる駄作にあたるのか?」

 問いに烏丸も、もちろん店長も答えない。

「否、だと僕は思う。それはもちろん他の作品に関してもだ。評価と作品の出来は必ずしも一致しないはず」

 ならば、と烏丸は問いかけたかった。

 なぜ、彼は慎重な物言いを崩さないのかと。

 だけれども問うことは出来なかった、古谷の顔にわずかに動揺があったのを烏丸は敢えて見逃す。

「……別段さ、作品の評価にこだわらなくてもいいんじゃないか、って話だよ」古谷はなんとか完結させる。

 そうですね、としばらく黙った後に返すのが烏丸にはやっとであった。

「いいじゃん、ここの店だって客足はそんなに無いけどいい店でしょ?」唐突に店に対してひどいことを言い始める古谷。烏丸が思わず店長の顔をみると、やはり無表情。いや、この無表情は多分怒っている人が冷静さを装うときの無表情だと烏丸は思う。

「確かに良い店だとは思いますよ!」なんとかフォローを入れる。すこし表情が柔らかくなったか。

「コーヒーそんなに美味しくないけどね」火に油注いでんじゃないよと蹴りを入れたくなった烏丸。

「どうして古谷さんの発言は若干辛辣なんですか……」

 おう、と応じながら古谷が答える。

「ウチの親戚だからな」

「なんで敬語で会話してたりするんですか!」ややこしいですよ、と烏丸は怒る。

「公私を、きちんと分けたいので」衣川店長の声。

「喫茶店に公私もへったくれもないよ公務員かよ!」普段ツッコミを入れ慣れていないが故、大きく声を張り上げてしまう烏丸であった。

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