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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
A 喫茶店にて二人は語る
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3 注文の無い喫茶店

「お望みであれば可能な限りの注文をお聞きします」と喫茶店の店長は烏丸に言う。

「本当になんでもやってくれるよ、常識はずれの事以外なら」と古谷が注文を促すように重ねた。コーヒー抜きウインナコーヒーを常識の内に入れる事に烏丸は納得が行かなかったが、取り敢えずの注文をすることに決めた。

「バウムクーヘンは有りますか?」テーブルにおいていたメニュー表にはない注文。さてどう出るかと烏丸は様子を伺った。

「かしこまりました、では古谷さんよろしくお願いします」とレジスターに戻り幾らかの小銭を手に取る店長。古谷ははいはい、という風に手をヒラヒラと振った。エプロンをカウンターに掛け、素早く店から出て行く店長。烏丸はその最中2人のやりとりをぽかんと眺めることしか出来なかった。

「えっと、店長は何処に行ったんですか?」

「多分スーパーにバウムクーヘン買いに行ったよ」

 盛大にずっこける烏丸。まさかこんな変人の知り合いが古谷にいたとはと、2人に尊敬すら抱く烏丸。

――

 カランカランとドアの鈴の音を鳴らしながら店長が戻ってくる。まさか買ってくるとは思いませんでしたすいませんと駆け寄りながら謝る烏丸、その光景をなんともないように眺める古谷。

「いえ、これもこの店の主義ですから」レシートを確認しつつ120円ですと烏丸の注文票に付け加える。スーパーのバウムクーヘンの値段と全く同じだったので烏丸も割高でいいですからと注文票に200円を書く。

「そういう変なことをしてるから客足が遠のくんだって」と古谷も呆れた顔で店長にむけ呟く。店長は既にカウンターのエプロンを着ていた。

「お客様の要望をお聞きするのが主義ですので」表情を変えずに店長が返答する。

まだ少しこわい印象を拭えていない烏丸であった。

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