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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
後書きに添えて
188/191

それぞれのあとがき 1

 仲林と高磯は事件後初めて高磯の部屋で会うことにした。

「本当にごめんなさい」仲林が謝る。しかし高磯の方はというとピンと来て居なかった。

「何かやらかしましたっけ」首をひねる高磯。それを何か勘違いして更に畏まる仲林。

「パソコンの原稿、北野先輩に協力して」ハッキングの件だったらしい事に気が付き、高磯はため息を漏らした。

「あの件については私のほうが悪かったの、ごめんなさいを言うのは私」

 そう言って互いに気まずそうに黙ってしまう。

「烏丸さん……あっ、辰巳さんと竹内先輩から話は聞いてて」歯切れの悪い仲林の発言。

 もう一度部屋の中は沈黙に包まれる。

「香波ちゃん、もう書くのは止めてしまうの?」切実な声で仲林は漏らした。

「古谷先輩は書くのを続けるかと、私は」高磯は一旦目を逸らす。そこで一度言葉が途切れてしまった。

「悔しかったからだったっけ、書き始めた理由」仲林が繋ぐように語る。そうだね、と頷く高磯だったが本心から同意することが出来なかった。

「書いてる途中ずっと悔しかった? 怒ってばっかりだった?」どうだろうかと高磯は伏目がちにして考えこむ。

「どうだったかしら、ね」ふう、と軽く息を吐いて高磯が呟く。

「私は今書いて無いから。……なんで書くのかハッキリしないまま終わってしまった」文藝部であった仲林は卒業後執筆を止めている。

「今でも書き続けてる古谷先輩や香波ちゃんの事を尊敬してる。私じゃ出来ないことをしてる香波ちゃんの事をすごいと思ってる、香波ちゃんの小説を読みたいって思ってる」

 スウ、と息をすって仲林が続ける。

「だからって言う訳じゃないけど。どんな思いでもいいから書き続けていて欲しいの」

 高磯を見据えて言う。その眼差しにたじろぎそうになる高磯、しかしすんでの所で耐える。

 原稿の書き換えに協力しておいてオカシイかもしれないけど、と仲林は付け加える。

「鬱屈した思いでも、良いっていうの」問いかけは確認のように。

「良いと思う、私は」高磯の悩みを吹っ切るように仲林は頷いた。

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