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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
10 自分たちはどうして
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9 はかりごとの行く末

ホテルの一室。竹内達が訪れた事と夕食以外はこの2日間高磯はこの部屋に閉じこもっている。

再びノック。ドアのレンズで覗き込むと烏丸辰巳がそこにいた。開けるのを躊躇うも、全く動こうとしない彼を見て諦めてドアを開ける。

「どうも」一見すると、辰巳はいつも通りの笑顔に見えた。

「上がって下さい、立ち話出来るわけでは無さそうなので」

 昨日と同じように、高磯はイスに座る。辰巳はというと何処にも座らず立ったままだ。

「私は裏切ったことになるんでしょうね、被害者グループと貴方達の会社の連合両方を」

「言っておくが、別にそのことで責任追及が及んだりする事は無いぞ」

「だとしても、私は事を大きくしすぎた」

 ふう、と溜息を一つついて辰巳が発現する。

「愚痴の一つでも聞いてくれないか」

「私にどうにかできる事でしょうか」

「今回の事件……あいつら加害者に、本気で復讐手伝おうと思ったんだぜ? 肩透かしだろ」

「辰巳さんと私とではそもそも住む県が違うし学校も違うじゃないですか」

「実際にあいつらから直接害を受けたわけじゃないさ」

 じゃあ、何なんですと疑問を飛ばす高磯。

「想像にお任せする。お得意だろう」辰巳の返事は存外突き放すようなものだった。

「お得意、ですか。もう書くのを私も止めてしまおうと思っているのですけどね」

 そりゃまた、と音頭をとる辰巳。続けろという意味合いととり高磯は話す。

「純粋な動機で筆を取ることはもう私には出来ません。あの人達に対する暗い思いが筆を執る理由でしたから、初めから狂っていたんです」

「純粋というが、どういうのが君の思う純粋なんだい」

「私の憧れた先輩たちは、真っ直ぐな思いで筆をとっていました」

「少なくとも古谷君は学校の事件をどうにかしたいと思って書いてたんだろ? それは純粋な動機なのか?」

 高磯も、返事が出てこない。

「結局のところ、どうしたら良いか分からなくて」

「コッチが愚痴を聞く側になってどうするよ。……まあ落ち着いたらコッチに連絡をくれ」

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