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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
10 自分たちはどうして
180/191

4 女子数週間会わざれば刮目して目潰し

辰巳達の計画がある意味ご破産になったものの、烏丸としてはどうにか高磯と連絡をとりたい。彼女が居そうな場所を知っている人物を考えた所、一人だけ思い当たる人物がいる。携帯を取り出してアドレス帳から番号を呼び出す。

「……はい、仲林です」ゴトゴト、という音が通話の向こう側から聞こえる。取り込み中だったのだろうか。

「急にごめんねー智美ちゃん」

「烏丸さんでしたか! 私も事情の一部分を竹内先輩から聞いててですね」

「文藝部の先輩かしら、お兄ちゃんの同僚ね」事件の寸前に介入して辰巳が激怒していたのを思い出す。敵対的人物なのかどうか、烏丸にとっては分からないでいた。

「それなんですけど、烏丸さん今何処に居ますか?」

「えっ、例の出版社の所なんだけど」突如としてやってきた質問の、意図が一瞬理解できなかった。

「そうなんですか! ……今代わります!」ゴトゴトと再び音を立てて通話が一旦中断される。


「初めまして、と言っても二回目かな!」代わった人物の声には、その一言だけで分かるほど底抜けた明るさがあった。

「私が返事したのは初めてなんですけどね。兄がお世話になります」

「大丈夫よこき使ってるのは私の方だから!」いきなりの上下関係宣告で烏丸は少し笑ってしまった。

「そうですか、あの兄生存能力だけは有るんで多分何処でも生きて行けます」

「アスファルトに生えるヨモギみたいに例えるね、今からバイクでそっちに行くから!」

 そして切れる通話。仲林と竹内が一緒にいるとしたら、バイクには乗れないのではと考えこむ。だがその時、背後に有るビル街の交差点裏からドココココと駆動音が響く。交通量が少ないからまさか、と少し思った烏丸が見たのはバイクに乗った女性と背後に乗っている仲林。

 だが烏丸が凝視してしまったのはその2人ではない。なんと2人が乗っているバイク、サイドカー付。そこの部分だけ空席である。

「妹さん! ソコの席に乗りな!」何故かノリノリな竹内。

「サイドカーとかいつの時代ですか、大体何処へ行くんですか!」駆け寄りながらも質問をぶつける烏丸。

「香波ちゃんの居場所が分かったんです、3人で行きましょう!」そう答えた仲林はというと、バイクの後ろの席から動こうとはしない。烏丸はとうとう覚悟を決めた。

「……わかりましたよソコで良いんでしょうソコで!」飛び乗るようにして着席、シートベルトは無し。ヘルメットを竹内から借り着用する。

「オッケイ、レッツゴー!」グンと背後に引っ張られる烏丸と仲林。バイクはあっという間に法定速度プラス10kmを叩きだして進行していった。

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