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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
9 後方支援/情報複製
172/191

M 実行者及びその目的について

「急にどうしたんです古谷先輩」動揺を隠そうとするのか、無表情のまま高磯は疑問を投げかける。

「……高磯さんや、今回の小説は誰かの話を参考にしたりしたのか」再び質問。

「質問を質問で返すのは、って言ってる余裕は無さそうですね」

「作者である高磯自身が思っている以上に作品の存在自体は何人かに知られていた。情報の出元はとある学区の5学年間に絞られていた。それは高磯自身が高校に在籍していた学年の上下2年。小学生の時期も含めてしまえば更に広い学年区間に広がっていた可能性もあったがそこまで調べはつかなかった」

「随分と広い連絡網をお持ちですね」つい皮肉るかのような言い方をしてしまう高磯。

「僕のじゃない、竹内先輩の方が良く知っていた」言い訳のように言ってしまう自分を、どこか憎らしく思う古谷。

「初めて辰巳さんに会った時は驚きました。私の小説はそんなの多くの人に読まれることを想定していませんでしたし」

「だとすれば、それは高磯の想定があんまりにも甘すぎる」思わず怒気の篭った声になる古谷。高磯の表情は崩れない。

「あるいはあの学校自体がもはや歪んでいたのかもな、卒業してまでいじめグループが残るんだから」

「……答え合わせをしましょうか」

「高磯が書いてた小説の中に登場する人物はあるモデルが存在する。叙述モノ、いわゆる犯人視点からの殺人事件を描いているがその被害者と加害者は現実のモデルと反対だ」

目を瞑る。古谷自身もあまり言いたくなかった。

「事件の被害者はいじめグループ、事件の加害者はいじめられていた人物達。この小説を出版社内に居る人物に読ませることで有るメッセージを伝えたかった」

「『私は忘れていない』」後を継ぐように高磯が吐き捨てる。表情は俯いていて古谷から確かめられない。

 しばらく、2人は黙ったまま歩みを続ける。


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