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H 遺失物原稿
およそ2時間後。
原稿を既に提出した古谷と高磯は手持ち無沙汰ということで街をぶらついていた。
「スーファミって何バイトでしたっけ、11バイト?」
「せめて偶数で答えようかそこは。あとバイトじゃなくてビット」
「竹内先輩がこの前携帯電話の通信料35ギガビットになって大変だったというメールが来まして」
「あの人は一体携帯で何をしてるんだ、動画を見るだけじゃ全然余るはずなのに」
「通信料で数万行ったとか」
「パケット定額制じゃないのか……」
「そもそもパケットって一体何者なんです、美味しいパンでも配達してくれるんですか」
「それバケット」
全く脈絡のない話をしつつ、向かうあて無く歩く2人。
しかしその時、高磯の携帯に着信。
古谷は電話口を伺うことしか出来ない。
暫くして茫然自失といった顔で高磯が古谷に話しかける。
「私の原稿が、駅の方で見つかったみたいです」
「…………確認しに行こうか」予想していた分、古谷の焦りは少なかった。