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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
9 後方支援/情報複製
161/191

B 当事者集合

 烏丸と辰巳の電話から数日後。古谷と高磯は小説の投稿に来ていた。

「原稿を手書きで書く訓練を高校時代に受けてて良かったです」

「訓練と言っても別に腱鞘炎になったわけではあるまいに」

「合宿で山登った後になりましたよ、筋肉痛で箸より重いもの持てなくなりました」

「文句なら竹内先輩にどうぞ、山登り提案したのはあの人だから」

「文藝部の合宿先が山でしかもそこでサバイバルまがいのことをする羽目になるなんて思いませんでした」

 原稿提出の待合スペース。ここは雑誌発行の事務所にもなっており、受付窓口の向こう側では従業員がせっせと働き、古谷達の側は原稿を持ち込みに来た人たちで相当混み合っていた。元々知り合い同士で応募するという人が少ないのか、話し声などは殆どしない。

 座るスペースをギリギリ確保した2人は、受付開始時刻を待ちつつ雑談をしていた。

「昔は小さい賞だったのに、規模が大きくなりましたね」

「親会社が変わったんだとさ、高校生向けの応募が全年齢向けになったのと広告効果で全国に知れ渡ったのが理由らしい」

「受賞した時のこじんまりした授賞式が懐かしいですね」しみじみと、という表情ではなくむしろ硬い表情で高磯が呟く。

「ああ、一つ質問しても良いか」

 無言で頷く高磯。

「書いた原稿、バックアップはきちんととってるよな」

「……持ち込み式、コピー原稿禁止ってルールだからあんまり意味が無いと思うわ」高磯がスカートのポケットからUSBフラッシュメモリを取り出す。

「転ばぬ先の杖、だ。持ってるなら良い」そういう古谷のほうも、プラスチック製のケースに入ったSDカードを高磯に見せた。

「山登りだけにですか」対して面白く無さそうに高磯が言う。

「座布団を奢ってあげれば良かったんだが」対する古谷の顔は、それと無関係にやや固かった。

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