15 (メール)*(ある種のサボリ)
再び喫茶店に戻り、店番の続くをする。いつの間に古谷が闇鍋の事を知っていたのか、烏丸は疑問に思っていた。確認の為に高磯にメッセージを送る。
『古谷君に女子会の件バレてるんですけど大丈夫かしら?』
『香波ちゃんがフツーに連絡してましたゴメンナサイ』
戻ってきたカウンターに突っ伏す烏丸。
『いやはや、秘密にしておくべきだったか少し迷ったのも事実なんだけど。何処まで向こうに伝わっているのかも良く分からないし……』
『最後に相談した件です、どうして古谷先輩が小説を書くのをやめたのか』
烏丸は一度考えこむ。果たしてこの先のことを伝えて良いものか。古谷のそもそもの書き始めの動機を知ることになれば、なぜ中断したのかについての理由に彼女が理解してしまうかもしれない。それを古谷は望むのだろうか。
古谷の動機が、良い意味合いではないという事もそもそも知らないかもしれない。まるで彼自身が悪霊に取り憑かれていたかのように語っていた。それが解決しているのなら蒸し返すのも望ましく無いだろう。
『話が変わるんだけど、高磯さんが文芸部に入った理由って何だったかしら』
今度のメールの返信は、これまでと比べて少し遅かった。
『古谷先輩に誘われたから、ですかね』