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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
8 ワイドゥ・イット
139/191

2 (地下倉庫)*(保存方法)

「地下貯蔵ってコーヒーの場合正しいんでしょうか」

「湿気を防ぐ事をが目的として設計されているのでそこは無視して大丈夫です」店の先代はそう言ってました、と衣川店長が付け加える。

「物理の問題みたいなこと言いますね、摩擦力とか」

「細かいことを考えるのは工学的センスの欠如だそうです」衣川店長は工学部の古谷に以前言われたことを思い出す。その台詞自体も、古谷が言われたことであったが。

「工学って雑なんですね」返答にも酷いことを言う烏丸。

「古谷は、大学生が暇と扱われるのが納得行かないそうです」親戚なので、愚痴もそれなりに聞かされたのだろうかと階段を下りつつ思う烏丸。降りきった所にも再び扉があった。

「今日と明日の2日、私はここで作業をするので接客をお願いします」

「……まじっすか」いきなり接客と言われて困った烏丸。

「お客来ないんで大丈夫です」

「店長がそれを言うんですか」

「何かあったら呼んで下さい、多分豆のリストアップだけしてるのでスグ行けます」

「私がメモしたほうが……あ、豆の種類とか分かりませんでしたね……」

 諦めて階段を上り、店の方へ戻っていく。店長が言ったとおり、客足は無いだろうと予想する。

 ……客が居た。

「古谷君結局今日来れないし、引越し業者に預けた家具は来ないし、カプセルホテルは寝心地悪いし……」

 何やら怨嗟めいた事を呟いている。正直接客したくなかった、というより声がかけ辛かった。

「……あ、店の人? コーヒー1杯お願い、暫く粘るから」

 身も蓋も無い事を言い出すが、文句も言えない。既にコーヒーメーカーで淹れていたのを1杯注いで差し出す。

「ご注文のコーヒーです」

「……ありがと」言うなり目が虚ろになる。というか、凄く眠たそうにしている。


再び店には沈黙が流れる。店長が音楽もかけず、TVも今はついていない。無音だけが店の空気に広がっていた。

「……眠いけど、話し相手になってもらえるかしら」

「えっ、あっ、はい」接客商売は初めてなので、やや烏丸は慌てる。

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