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タイトルは「小説の書き方」  作者: ドライパイン
7 女四会、そんでもって女死会
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31 一度部屋から出まして

1人目、高磯。

事前の発言では出汁を用意するとの事だったが、最終調理を担当する仲林としては一体何を入れているのか不安であった。食材も元から家の中に有ったものだから、一旦外に出て確認させてもらうことも出来なかった。ある意味、それらしいといえば正しいのだが。

 烏丸はどちらかと言えば、鍋よりも今後の会話の方を考え込んでいた。身内が、仮にも潜伏取材とやらで同年代の子をつけていたのが既に驚くべき事であったし、その人物に対し今後の執筆に関わる何かを抱えているとは思ってもいなかった。生憎と兄はこれ以上話せないと言いなさる。メールも電話もなかなか通じないもので、結局今日まで確認が取れなかったのだ。どうしたものか、と再び携帯を眺めて考える。

 一方三菜は、次に投入する材料について考えて頭が一杯であった。調理経験では、高磯は難しいだろうから仲林に頼もうかと考える。自分でもなかなか普段食べたりしない肉なので、実際に煮てみてどんな味がするかは運任せである。偶然スーパーでこんな肉が売ってあるとは思ってもいなかったのだ。

「終わったわよ」玄関の戸から高磯が出てくる。

2人目、三菜。

 そういえば、と烏丸は三菜の材料について思考がスライドする。今朝寄ったスーパーは比較的大型のスーパーマーケットで、一般的な豚牛鶏肉の他にも何故か鹿肉なんてのも売っていた。冗談でシシ肉なんて買ったりはしてないだろうか、と心配する。アウトドア知識が妹より無くとも、猪の臭みは残りやすいという事は烏丸も理解している。だが、その分はっちゃけて変なもの買ってないよなと疑心暗鬼を生ずことに。

 材料を入れてしまった高磯はというと、最後の仕上げを楽しみにしていた。今回投入したのは材料もだが、色々な「出汁」を用意している。最後に爆発的な結果を産もうと、辰巳の事をカラりと忘れている

 仲林の方は、高磯と烏丸の繋がりは一体どこから生じたのだろうと不可思議に思っていた。古谷の友人であれば少ないとも言えず、多いとも言えないはず。元々密接に連絡を取り合うタイプの人では無かったが、何かがあったのだろうかと、一瞬鍋のことを忘れかけていた。

「……高磯さん、何入れました?」怪しむような目をして三菜が戻ってきた。

「臭いか何かで分かったかしら」何故か得意げな高磯。既に仲林の胃はこれからの悲劇を予測して痛む。

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