15 1杯目の用意がまだ
「あごだし、って何の顎を出汁に使ってるんですか?」三菜が高磯に尋ねる。色々と料理について三菜が教えた影響か、早々に仲良くなっていたりする。
「普段あごだし使わないのかしら? いや私も使わないけれど、トビウオの出汁よ」
「普段はやっぱりパックで売ってる出汁をよく使うから、分からないっす」微妙に言葉尻が崩れる三菜。
「私も小説書く時に初めて知ったわ」料理しないため、日常風景を書くのを苦手とする高磯。そもそもそんなに日常風景を書こうとしないのが原因である。
「小説を書く関係で、姉とは知り合ったんですか?」
現在烏丸と仲林は、材料が足りないことに気が付き再び買い出しに出ている。
その為、2人は今ゲームをしていた。相当古い機器だが、一応高磯の世代にドンピシャだった。
「よっしテトリス……あれ、何か凄いおかしな消え方したんだけど」
「これボンブリスよ、爆弾を上手く使わないと消えないわ」
「うごごごご」悔しいのか、三菜は画面を食い入る様に見つめる。
「大爆弾でいっき消し、さてこのせり上がりに耐えれるかしら」
「別のパズルゲームなら勝てるというのに……例えばぱずるだま」
「中二なのに微妙にチョイスがずれてるわねあなた」パズルといえば3つで消える発射系のタイプだと周囲に言いはる高磯。
「ゲームは広く浅く、楽しみを前提にがモットーですから、あっ」上まで積み上がり、敗北。
「……次テトリスのほうが良いかしら」快勝した高磯、何故か無表情ガッツポーズ。
「そっちでお願いします、うぅ」ボロ負けした三菜、カーペットに突っ伏す。