14 同じ鍋の汁を啜る
見た目上は、高磯の部屋は綺麗に整頓されていた。1Kに6畳の、比較的新しいアパートの一室が彼女の部屋である。
「お部屋綺麗にしてるんですね、私片付けられないんです」自室がゲームカセットで埋まっている系女子、三菜。
「……うん、流石に片付けしないと生活に支障が出るかなって」普段の生活が色々危ない系女子、高磯。
「さて、何処の押入れに沢山の紙や畳んでいない衣服が詰まってるのかしら」ジト目系ツッコミ女子、仲林。
「あ、キッチン借りて良いですか? 材料捌くので」マイペース腹ペコ女子、烏丸。
「姉ーちゃん早速捌くとかがっつき過ぎ、ここはしばらくアイスクラッシュでしょ」
「アイスブレイクよ妹ちゃん。ひとまず冷蔵庫借りるよ香波」
狭いながらも、四者四様の動きを始めることになる。
手早く包丁で野菜を一口大に切ってゆく烏丸。年の功とは妹談。
鍋にスープを早々に入れ、ぐつぐつ煮立ってゆく様を眺めている三菜。
高磯の冷蔵庫にあった謎の粉「イースト菌」を見つけ、何故買ったのだろうと疑問に思う仲林。
リビングのテーブルに置いたガスコンロの、ガス交換方法が分からず手間取る高磯。
「待って高磯さん、もしかしてガスコンロ使うの初めて?」調理の手を止め、高磯の方へ助け舟を出す烏丸。
「……実は家で料理しないんですよ」テーブルに頭を突っ伏して答える高磯。
「一人暮らしになったら自炊するって言ってなかったっけ」仲林、容赦無く口元を引っ張る。
「一人分の料理作るのは大変ですからねー」といいつつ、毎日一家の料理作っている三菜。
材料が足りていないことに気がつく調理勢2人の烏丸と仲林。
高磯家にあるゲーム機を早速取り出し始めている遊戯勢2人の高磯と三菜。
既に行動がずれ始めているパーティ4人であった。