7 芸人魂、不戦敗
ようやく駅に到着し、ホームで伸びをする2人。
「始発で乗る電車がこんなに長いとは思わなんだ……」
「昼鍋、夜も鍋って話なんで早めになったのよゴメンネ」手で拝みつつも、眠気でややふらつく烏丸。うぉとと、と椅子に座る。
「どうしたお姉ちゃん、もう年か」
「よしそこになおれマイシスター、根性叩きなおしてあげる」
「年功序列が成り立つのは高校までだよお姉ちゃん」
ハァ、とため息一つついて時間を確認するために携帯を取り出す烏丸。よく見れば、高磯からメールが来ていた。
『ごめんなさい、家に鍋が無かったので買ってきます ゆっくり材料買っていただければ幸いです』
「三菜、芸人魂は間違いなく高磯さんが上に立ってるよ」
「まだだ……材料選びでワタシは勝つんだ……」謎の闘志を見せる三菜。
「やめて、本当にやめて私胃袋弱いんだから」古谷以上に振り回されかけている烏丸。
「やっぱり年には勝てないか」
「20過ぎたらすぐ婆さん呼ばわりとか、アイドルゲーじゃ無いんだから」
「最近は30代も出てきたからアイドルゲーの年齢枠は広がったよ」
「何でそんな事知ってるのよアンタ」妹のゲーマーっぷりに驚きを隠せない。