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5 スリープあんどスイープ
「コレはここに片付けて……うん、次は……」一人暮らしを初めて1年ちょっと、独り言が増えたなと高磯は思う。あまり人を家に上げたりしないので、散らかりがちの部屋を必死に掃除している途中であった。
ひとまず床に落ちている紙類は全て仕舞ったところで一段落がてら、じゅうたんに座り込む。
ふう、とベッドの縁の部分にもたれかかりため息一つ。この調子なら仲林がやってくるまで充分な時間が有る。どうせ休憩するのなら布団で休んだほうがいいだろう。
「おやふみなさい……」
数十秒後、寝息が響く。
――――
シマッタ、寝ていてしまったのかと起きてから気がつく。
時計を確認する。さっき休憩した時間から20分経過していた。ブワッと眠気が飛ぶ。
「マズイ……落ち着こう、一旦落ち着く」
しかし、有ることを高磯は思い出した。
この家には鍋の材料は有る。追加で仲林と烏丸姉妹が材料を持ってくる。だが。
「鍋がない!」
布団を跳ね上げ、財布と携帯をとり慌ててサンダルでホームセンターに走る高磯。