4 買い出し部隊、烏丸家
「それでお姉ちゃん、買ってきて欲しいって頼まれたのは何なの?」
「ちょい待ち、メールに届いてる」完全に忘れていた烏丸。
2人はまだ電車に揺られている途中だが、あんまり長いので三菜の方もつい聞いてしまったのだ。
「…………」メールの文面を見て思い出し、表情が固まる烏丸。
「どしたん?」
「何でもいい、だそうです」
「おっしゃー猪鍋にしようか姉ちゃん」乗り気な妹、しかし肝心な事を烏丸は伝えていない。
「『食べれる用の鍋は用意していますので、自由に買ってください』ってある」
「……えっ?」意味が一瞬飲み込めず、呆然とする妹。この間、烏丸もそんなリアクションをした。
「つまりこの女子会は……闇鍋大会だったんだよ!」
「な、なんだってー!?」ノリを重ねる妹。
「大体『食べれる用』って何ですか、食べれない鍋って何なんですか!」
「フフッ、お姉ちゃんこれはチャンスだよ」不敵に妹が笑い出すのを、烏丸は驚いて見つめていた。
「チャンスって、どういうこと? まさか腹に当たってアタックチャンスとか言わないよね」
「そう、私達の芸人魂を2人に見せつけてそれ以降の会話のアドバンテージを握るチャンスよ!」
「そんなバッドステータスいらないから、私は平穏に食事をしたいだけなんだから」