独白-(烏丸)
小説を世に出すという時点で、それが評価されて当然であるということは自明です。
多くの人はその小説に力を入れて、自分の思いを込めるはず。
表現技法に凝って伝えたいことを明確に、或いは眼光紙背に徹しなければ読み取れない場所に隠すはず。もしくは沢山の人の目につくよう鋭い言葉に更に研磨を行う人もいます。
最終的な目標は大抵の場合小説を手にとって読んでもらうことだと思います。
ならば誰にも触れられない小説は全く意味を持ち得ないのでしょうか?
私があえてそんな事をするのは、小説書きに対して傲慢ではないだろうか、という疑問が有りました。
小説を書こう、と考え始めた瞬間から長い間抱いていた疑問です。
ずっと抱えていて他の誰にも言い出せない悩みを、何故か古谷くんには吐き出してしまった。何故だろう。
古谷くんとの会話を思い出します。
彼はどんな小説を書くのだろう、と。
二人揃って痛い目を見るのも面白いかもしれないです。「痛いときはひとまず痛いって叫んでしまえ」と兄は言っていました。彼が先月左足の小指をぶつけた時は痛いともすんとも言いませんでしたけど。
まあ。
まじめに考えるべき問題とそうでない問題はありますし、今日は一度忘れてしまいましょう。
二人の出会い、小説を書くと決めたそもそもの出来事は後々書いていけたらな、と。