「小説の書き方」にしましょう
「長いようで案外短かったな、一作書くのに」手元の紙をめくりながら、古谷は呟く。
「作家の方の平均が年に3冊と何処かに書いていたので、少し早いぐらいですね」昨日までタイピングしていた分、喫茶店でグッタリしているのは烏丸。
「校正作業が結構かかりそうだけど」烏丸の小説に多くのミスを見つけたようだ。
「そんなにミスしてましたか」烏丸、ショックを受ける。
「僕もすぐに新しいの書くわけじゃないから、多少は手伝う」一旦めくる手をとめて、古谷は返答する。
「でもひとまずは、お互いお疲れ様でした」
「お疲れ様でした、本当に」やや苦笑いと共に烏丸は返す。
「校正作業が終わったら、新しくまた小説を書いたりする予定はあるか?」
やや考えこむ烏丸。うん、と頷き口を開く。
「一つ、今度は文学ジャンルにでも挑戦しようかと思いまして」
ふむ、と古谷が相槌を打つ。
「なんのノウハウも無い状態から、古谷さんと協力したりで一応小説を書き上げることが出来たので。今度はそれを題材にして小説でも書こうかと」
「……タイトルは?」古谷は怪訝な顔で尋ねる。
「……タイトルは、『小説の書き方』とでもしましょうか」
「それ作家の人に怒られると思うぞ」古谷に苦笑いが感染った。
登場人物
古谷修二:小説家で大学3年。PNは河辺。一度小説を書いたことがある、と烏丸に伝えている。ジャンルはミステリ。
烏丸水果:書店員で大学4年。書店でのタグ付けが有名。祖父の小説を見たことで、小説を書こうと志す。ジャンルはSF、現代異能。