家に帰って
あの女の子はいったい誰だったんだろう?
どうして私の事を知っていたんだろう?
…それにしても凄い綺麗だったな。
「有紗、どうしたんだい?ボーっとして。」
「えっ、何でもないよお父さん。」
「そうか、ならいいんだが、なんかあったらすぐお父さんに言うんだぞ。」
「ふふふ。」
「どうしたリア。」
「もう、わかってないの?榛さん。是はきっと恋よ。でしょう?有紗。」
「えっお母さん? …………。」
恋?…おっ女の子に?私、女の子に恋しちゃったのっっ!?
「ふふ。解かるわ。思い出すわね。ライバルを千切っては投げ千切っては投げた、
私が榛さんに恋していた時のことを。
…勿論今も現在進行形だけどね。」
「リア…。」
「榛さん…。」
「…………はぁ。」
「ってそれはまた今夜続きをするとして、有紗相手はどんな奴なんだ。」
夫婦の夜の事情の予告を娘の前でするってどうなんだろう?
っというか女の子とか言ったらどう反応するんだろうか?
天音ちゃんなんかは同意するか反対するかはわからないけれど、
取り敢えずはお父さんたちは反対するだろうし、
っていうか、そもそも、私あの人の事そう言うつもりじゃないし。じゃないし。
「有紗…?」
「……。」
「有紗?言えないような…相手なのか?」
「えっ、いや、そうじゃなくて、お父さんたちが考えているようなことじゃないよ。
男の人に絡まれているのを助けてくれた人の事を思い出していたんだ。」
「それって私と榛さんの時みたい。そしてきっと運命の再開を果たすのね。」
「ってごめんお母さん相手は女の人だよ。」
「あら、残念…でもないのかしら?」
「はーよかった。」
お父さんは思いっきり安心している。顔に出過ぎだよお父さん。
とてもじゃないけど権謀術数渦巻く貴族社会の筆頭華族、姫宮家の頭首にして、
姫宮カンパニー総帥には見えないね。
それに引き替えお母さんはまだ、疑ってるみたい。
女の子同士ってのも想定内なのか、凄いね、色んな意味で。
っていうか両親のなれ初めとか初めて知ったよ。
お父さん、貴方は何処の主人公ですか?
ロマンティックすぎでしょうそのシチュエーション。
…それにしても運命の再開、私にもあるかな…なんて漫画や小説のような話はあるわけないか。
それよりも、
「ねーねーお母さん、さっきのお父さんとのなれ初めのお話聞かせて?」
「いーわよ。」
「ちょっとちょっと恥ずかしいよリア。」
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………凄く、ラブコメでした。
お父さん美化され過ぎだし、お父さんモテすぎだし、お父さん鈍すぎだし、
お母さん肉食過ぎだし、お母さん策謀家だし、お母さん国家権力振るいすぎだし。
何それ、国家規模での包囲網って、お母さん無茶しすぎ。
ってか我が国の陛下もブリタニアの女王様も何で同意しちゃうかなぁ。
…あっ、そろそろこんな時間か。
部屋に戻らなきゃ。邪魔になるし、色々と…。
「じゃあ、私そろそろ寝るね。おやすみなさい。」
「お休み、有紗。」
「有紗ちゃんお休み。」
お母さん凄くいい笑顔。弟が産まれる日は近いなぁ。妹かもしれないけど。
……今日は部屋で音楽を流しながら寝よう。
姫宮家
扶桑の大財閥にして大貴族。
でも性格は庶民的。だけど外だと両親とも違うのだとか。
実は防音処置は完璧。ある意味政治のキーになりかねないので。
だけど夫婦の寝室と有紗の部屋は隣なので音が漏れてきそうな気はする。
姫宮榛
冷静沈着な姫宮家の頭首。
穏やかな顔つきだが表情はいつも固い。
仕事に漏らしは無く、政敵や商敵の失敗については、
見逃しているように見えることは大体敢えて泳がしていることが多い。
政治、戦闘、商売、の3Sには驚異的な才能を誇るが、
性には疎く、4Sにはならず。
そのせいで二国の君主にお膳立てされたストラリアーナ・ペンドラゴンによる包囲網が完成し、
そのあまりの規模に政敵の仕業がと戦々恐々としていたが、残念、政敵ではなく性的でした。
姫宮ストラリアーナ
ペンドラゴンの姫の異名を誇る姫宮家当主の妻にして、
ブリタニアの元第一王女。ライバルを千切っては投げ千切っては投げ、
姫宮榛を正々堂々手に入れた。非常に勝気だと言われているがその様子は家庭では見えない。
姫宮有紗
姫宮家の御嬢さん。凄く庶民的だがその血筋は庶民とは程遠い。
遠く離れた二国の王家の濃い血を受け継いでいる。
天音ちゃん
百合っ娘。日本人形のような清楚系。
フルネームは天廼天音。歌が凄く上手い。