表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/10

魔王復活

世界は人自身の手によって滅びようとしていた。

ある名も無き小国が滅びたことを皮切りに、

各地にて『魔人』又は『虫の使徒』と称される存在達が人への暴虐を開始していた。


弱さと死に脅えた青年は変わらぬ姿のまま長き永き時を生き延び先導者となり、

神星教会最高位の巫女である聖女が狂気に染まり、

神童と呼ばれた芸術家が失踪し、裏で糸を引き、

英雄になり損ねた男が八つ当たりを初め、

変態は筋肉で空を飛び、

国に尽くし、国に裏切られた少女は報復を決意し、

迫害に苦しんだ少女は力を得、迫害する陣営に加担した。


この星の生まれでありながらこの星に仇名す強大な禁忌の力を持った彼ら彼女らを人々は魔人と呼んだ。

しかし、この時はまだ、もっとも『魔』に近いと言われたヒトは姿を現してはいなかった。









ブリタニア私設研究所跡


かつて、人の身で魔王に行きついた少女、アリス・ペンドラゴンの姉であり、

伝説の勇者王アーサー・ペンドラゴンにより崩壊させられた研究所である。

今は王宮管理立ち入り禁止区域となり、入るものはいない。




風が吹いていた。

冷たい、冷たい風が吹いていた。


崩落した建物の破片が、微かに動いた。

見間違いだろうか?――いやそうではない。

また、動いた。

先程よりも大きくだ。


また、また動いた。そして――――――――




破片が氷漬けになり、砕け散った。



粉のような凍れる石片の中から現れたのは、

ヒトに在らざる美貌を持ったヒトの少女だった。


儚さを感じさせる細身でありながら、豊満な女性らしさを併せ持ち、

長い足には染み一つない。

無垢な幼さを感じさせつつも大人びた美しさをも兼ね備え持つ。

その美しい顔に掛かる冷たき美しさをたたえた白銀の絹のような長い髪。


その姿は、伝説に語られるヒトの魔王、アリス・ペンドラゴンのようで―――――――

否、アリス・ペンドラゴンそのものだった。


「此処は何処?…いえ、今は何時なのでしょうね?

――――取り敢えずお姉様の所へ行かなくては。」




彼女は探す。姉の足取りを。

その日ブリタニア王宮から至宝である2対の宝剣が無くなった


それから五日後、

アリスは再びブリタニア私設研究所跡にいた。


アリス・ペンドラゴンは知った。

かつて彼女が魔王として勇者となった姉と戦った日々から遥か時が過ぎ去り、

勇者王アーサー・ペンドラゴンはもうこの世には存在しないことを。


「そのような気はしていたのですけれどもね―――――割り切ることは難しいですわ。」




でも、知ることができた。

姉の残り香を。光り輝く奇跡の残滓を。

だから彼女は自ら命を絶ち姉の元に向かうことなくその足を進めようと思った。





そんな彼女の足を止める者がいた。

魔人たちの長、

落ちた聖女、

変態、

不細工カップル

の5名からなる魔人たちの集団だった。

「うーつくしい御嬢さん。どうも初めまして。私はレオナル―――」

「お会いできて光栄です。まさかご自身でご復活為されているとは。」


「ちょっと待ちたまえ、ツイッター公今は私がしゃべ――」

「その名で呼ぶな。―――――もうあの国に僕の爵位は存在しない。」


「…悪かった。」

「いや、僕もカッとなってしまった。」


「あら貴方達、高貴な女性のお客様を前にして男同士での話に夢中になるのは些か失礼じゃないでしょうか?

貴女もそう思われますでしょう?お姫様。」



「今となってはお姉様以外はどうでもいいのですけれど、それもそうですわね。それで―――――何の要件で?」

「それに関しては私達の長がお話になります。」


「あら?、てっきりわたくしには貴女が長なのかと。」

「よく言われます。」


「では、手短に済ませていただきますか?」

「はい。私はアンリ・ファーボル・ツイッターと申します。女王陛下。」


「女王陛下?わたくしは敗北した身。女王陛下はわたくしの姉ですわ。」

「いえ、私たちは貴女様に女王となってもらい私達を率いていただきたいのです。」


「……数日ほど見回っては見たのですけれど、今この時代のこの国に、

に騒乱を引き起こす必要があるほどの問題は無いように見受けられるのですが。」


「私は現状の平和を望んでいるわけではありません。我々の目的は―――――」



そう言ったとき、ファーボルの頬に何かが一閃した。

「くっ…。」

「なっ…。」

「これが…。」

人類最高位たる聖女と変態でさえもそれに反応する事さえできず驚愕の声を上げる事しかできなかった。

ファーボルの頬にはいつの間にか切り傷ができ、その傷は凍りついていた。

それを為したのは、ファーボルに向けられているアリスが手に持つ得物。





『深淵なる海異』


ブリタニアの至宝の片割れである。

「『平和』が……必要ない?そういうことなのでしょうか?

わたくしとお姉様が作り上げたブリタニアの平和が気に入らない。そういうことなのですね?」


「そういうことは――――」

「かもしれませんね。貴女はいっそ全てを殺しつくすべきでしたのです。お姫様。」

「っっ!!女王陛下を怒らせるなっ。」

「ケイラー女史っ。」


「あら、我らが長、結局は理念に協力していただけないなら敵対する羽目になるのでしょう?ならば―――」

「止めろ。」

「貴男も私を止めたいのですかレオナルド殿。素が、でてますよ。」

「ふむ。しかし是には流石にふざけるわけにもいくまい。」

「…存在自体がふざけているくせに…。」


「あら、ケイラーさん。わたくしは別にいいのですよ?平和の礎の為にも、

お姉様の敵が自分からやってきてくれるのなら――――――――手間が省けるというものですから。」

そういって笑うアリス・ペンドラゴンの笑みは何処までも儚く美しく、―――そして恐ろしい。


「っっ格が違いますね。此処は逃げさせていただきましょうか。

長、レオナルド殿、いいですね。」

「しーげきするよりはいーんじゃないかな?」

「…ですねぇ。女王陛下、我々はきっと理解しあえるはずです。」

そう言いながら3名は逃げ出そうとしていた。





「一人くらい残る気概はないのですね。…滅びなさい。」

そういって深淵なる海異により生み出されたアリスの周りを渦巻く水を凍らせながらアリスは追撃の構えを取る。


だから、堕ちた聖女ヘル・ケイラーは殿を置いた。さっきから全く会話に参加させてもらっていない二人だ。

「チマー・チョゴラー。少し足止めしなさい。」


「そんなっ俺たちも一緒にっ。」

「わだじだちを”おいでいぐなんでずるい。じゃざいどばいじょうを”ぜいぎゅうずるうぅぅ~。」


「聞こえなかったようですね。『足止めしなさい』。」


「ハイワカリマシタ。」

「ハァイワッカリマシター。」


「洗脳、ですか。便利そうですね。先程からわたくしに無意味な精神干渉をしているようでしたが、

下民にはうまく通用したようでよかったですわね。」



「アイウォンチュー。」

チマーが飛び掛かって来た。ヒトの脚力では到底考えられない速度で。

しかしアリスにあと2mで届くというところで突如下から生えてきた氷柱で串刺しになった。

串刺しになった身体は内部から始まり全身を凍結させた。


「下民にしてはやりますわね。――――――――あくまで下民にしては。」


「タスケロタスケローーォォ。」

チョゴラーに関してはその場で足が地面に氷で張りつけられており、動くこともできない。


「―――――で?あなたは何をするのでしょうか?何もしない?がっかりですわ。」

そして何もできないまま徐々に足元から全身が氷漬けになっていった。






「お終い…ですわね。」

アリス・ペンドラゴンは気まぐれな所もあるが有象無象の為に時間を使うことは好きではない。

だから、彼女が本来足を進める筈であった場所へ行くことにしたのだ。

彼女は旅客機のチケットを見る。そのチケットにはアリスが向かう先が書いてあった。





「行先は扶桑…ですか。お姉様の大切なものはわたくしが護って差し上げますわ。

待っていてくださいね。姫宮有紗さん。」

使徒筆頭 アンリ・ファーボル・ツイッター

魔人たちの長。身体能力と戦闘技術に優れる。

性格は引きこもりであった時の影響がやや残っている。

信奉する力の象徴たる彼の崇める神に近づくことが彼の望みである。

永き時を変わらぬ姿で存在している。


堕ちた聖女 ヘル・ケイラー


盲目の聖女。汚染領域の力を振るう人の身では最高位の裏星巫術の使い手。

既に幾つかの国を崩壊させている。

術式に優れている。


元は世界中の平和と平等を謳っていたが、

世界は太古の微生物の時代から食事として他者を餌とし、

自身の細胞を増やすという奪い合いの本能を推奨してきた。

闘争こそが真理だと気が付く。


平和とは、一方が無限に相手の略奪の要求に屈し続け、

領土を奪われても我慢し、食事を奪われても我慢し、

自身の尊厳を奪われても我慢することで解決する。

平等な世界平和を目指したければ世界全てを支配し、

平等にその価値を否定してやらねばならないことに気が付いた。

嫌いなものは平和と平等。

男性には気を持たさるような喋り方はするくせに下の名前では呼ばない。

虫の使徒の一匹(ひとり)


天災 レオナルド・ダイピンチ

天才にして天災にして変態。

腕を振り回してダブルラリアットの回転速度を上げることによって、

ヘリコプターのように飛んだりできる規格外。

見た目はダンディーな癖に若さを兼ね備えたおっさん。モテる見た目だが、

彼は男でもイケるクチ。というか行くというよりは行かせる側。アーッ。

唯一ヘル・ケイラーに名前で呼ばれている。


ザコその1 チマー

虫の使徒の底辺格。もともとエラインダー衆国のCMCHの為、

CMC特有の力とほんの少しだけのクマムシのモンスターの力を秘めている。

性別は男。人工的に虫の使徒となった実験台。

(CMCH モンスターCMC(チャレンジャーメクラチビゴミムシの略)と融合したH(ヒューマン)の略。

ようは半人半化生の社会通念上人類に入っている生物。)


ザコその2 チョゴラー

虫の使徒の底辺格。もともとエラインダー衆国のZCMCHの為、

ZCMC特有の力とほんの少しだけのゴキブリのモンスターの力を秘めている。

性別は女。人工的に虫の使徒となった実験台。

(ZCMCH モンスターZCMC(ザ・ニッチ・チャレンジャーメクラチビゴミムシの略)と融合したH(ヒューマン)の略。

ようは半人半化生の社会通念上人類に入っている生物。)








人の魔王 アリス・ペンドラゴン

嘗て魔王を演じ切り、勇者である姉、アーサー・ペンドラゴンと争った姫。

両方の先に刃が着いた『深淵なる海異』を振るい『希望の星剣』を振るう姉と大陸中を巻き込んだ戦争を始めた。

炎を振るう姉とは対極に冷気を使う。『羽化』後の戦闘能力は凄まじかったという。

美少女であれば何でもいい扶桑の変態文化は別として、海外からは虐殺者としての名前が有名。

しかし、国内の一部の有識者には今のブリタニアの繁栄と平和は彼女の『悪』あってのことだとの評価もある。

少し歪んでこそいるが純粋に姉と平和を愛している。


再来の勇者 アーサー・ペンドラゴン

アリス・ペンドラゴンの実の姉。故人。

美しい金髪と意志の強い目を持っていた。

国中のものに惜しまれながら息を引き取ったと伝わっている。


姫宮有紗

アーサー・ペンドラゴンの血を最も濃く残す少女。

ブリタニアの王女である母親が扶桑の貴族男性の所へ降嫁した際産まれた。

つい最近ブリタニアの次期後継者達が病死したりしたため、

継承権が繰り上がって現在継承権一位。

但し、扶桑帝国民の血が半分流れているため純潔のブリタニア国民ではなく、

彼女を扶桑からブリタニアに呼び戻すかどうか議論が進んでいる。

容姿は明るい黒髪にしたアーサー。母は姫宮ストラリアーナ。父は姫宮榛。


『深淵なる海異(デュカリシア)

水を作り出すブリタニアの至宝。深き海に住まっていたとされる魔王種の翅により造られている。


『希望の星剣(エクスカリバー)』』

魔科学の結晶である、光を作りだし希望を掴み取るとされるブリタニアの至宝。

コアが超古代の魔法使いにより造られているもので再現は不可能。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ