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004 敵は王城にも在りです。

4話目です。久々の投稿ですが、宜しくお願い致します。

 どうも、オディール=オウルです。


 本日は、王都の中央にある王城に、お父様と一緒に訪れています。


 オデット姫にお持ち帰りされたのではなく、国王様よりお父様宛に召喚状が届いたのです。特に何かがあったわけではありませんが、受け取った時のお父様の笑顔が、黒かったとだけ言っておきます。


 さて、わたしたちは、今、控室で待機しているところです。


 しかし、空気が良くありません。お父様が緊張でとか、黒い笑みを浮かべているとかではなく。


「よくもまあ戻って来れたね。ロッドベルト」


 厭らしい笑みを浮かべ、ソファに座るお父様を見下す男性が立っていたからです。


 挨拶もなしに入ってきた無礼なこの人物にモヤモヤ、ザワザワと感じます。アレに近い感じがして、嫌なのですが、お父様の知人であるようなので我慢します。


<検索


 嫌悪…不愉快に思う。いやな気持ちで面白くなく思う。


以上>


「…これは、サギエル導師様。ご無沙汰しております」


 いつも着ている黒いローブではなく、学園の教職員が着る金糸で縁取られた紺色のローブを身に纏ったお父様は立ち上がると、とてもわざとらしい言い方で、男性に挨拶をします。


 同じく学園の制服を纏ったわたしは、お父様に倣い立ち上がり、目線を上げずに軽く膝を折るカーテシーを行う。


<検索


サギエル導師…ダズマルク=アイン=サギエル筆頭宮廷魔術師

       現王国の筆頭宮廷魔術師であり、ギルド内の魔法部門の総括


以上>


「なんだい、勝手に行方を眩ませた君は、陛下に謁見すると言うのに、教員の服しかないのかい」


 早速、口を開いた彼から出た言葉は、お父様を貶すもので、またわたしの中にモヤモヤしたものが膨らんでいきます。


「先日より、私が学園で教鞭をとることになった報告と娘が学園に入学したことの報告も兼ねておりますので、今はこの恰好が好ましいと思ったまでです」


 しかし、お父様は表情を変えることなく、淡々と返事を返します。


「…ちっ。ところで、それが愛玩の人形かい」


 その言葉にお父様の目元がピクリと動いたのに気が付いた男性は、矛先をわたしに変更したのか、こうネットリしたスライムに貼りつかれた様な視線を向けてきます。どこかアレとは別の拒絶感が襲ってきます。


<同意


以後、サギュル導師を敵認定しますか?


はい/はい


以上>


 ソフィアからも選択肢のない拒絶の一択が返って来ます。ここ最近、ソフィアの性格と言うか、個性と言うかそいったモノが現れて着たような気がします。


「君も未練がましいね。あの方に似せた人形を作るとは…」


 わたしたちから敵認定されつつあるサギュル導師は、徐にお父様に近づき、肩に手を置くと、小さく呟きます。するとお父様の表情がピクリと反応します。


 彼は、その反応を待っていたかのように再度何かを呟こうとします。


コンコン バタン


「オディールがこちらに…


 「コホン」


…サギエル導師、オウル先生、オディール、ごきげんよう」


 そこへ、扉を勢い良く開け放ち入って来たのは、オデット姫。後ろについて来ていた侍女のアンさんの咳払いで、私たちの他にサギエルがいることに気付き、何事もなかったように誤魔化そうとしています。


「…ふん。お先に失礼させて頂きます。姫様」


 サギエルは、オデット姫の闖入に勢いをそがれたのか彼女に一礼すると、こちらを振り向くことなく部屋から出て行きます。お父様の握り拳は、白い肌をさらに白くさせていました。


 サギエル導師。あの人物はお父様の敵認定です。





 闖入後、しばらくは恥ずかしそうにしていたオデット姫でしたが、父と私が挨拶をすると笑顔でわたしに抱き着いてきましたが、わたしたちを呼びに来た騎士と目が合い固まってしまいました。


 その後、なし崩しにその場は解散され、わたしたちは王様の執務室の前にその身体を並べています。


 わたしたちを呼びに来た騎士の方を見てから、お父様はどこか緊張したような面持ちでした。


「…入れ」


 わたしたちを案内した騎士の方が、執務室に入ってからしばらくして、少し硬い男性の声が、扉の向こうから聞こえてきます。


 そして、先程の騎士の方により扉が開かれ、中に入るように促されます。


 薄暗かった廊下から、執務室に入ります。


 そこには、重厚な木製机とソファセットだけが置かれた部屋です。良く言えば、清楚でよいのでしょうか。城の内装や外観の煌びやかさと比べると…質素なのでしょうか。しかし、どこか落ち着きを持った部屋です。お父様のゴミゴミした部屋とは、真逆ですが、落ち着きます。


 「…」


 わたしが、部屋を珍しく眺めていると、机とは反対側のテラスに人が立っています。そちらに目を遣ると、お父様の頭一つ大きい男性が、開けられたテラス窓の枠に寄りかかりながらこちらを見ていました。


 年の頃は、三十半ばぐらい。その肌は日に焼けて浅黒く、身体はガッシリして鍛えていることが窺えます。部屋もそうですが、この男性もお父様とは真逆の方です。お父様の肌は白くヒョロリとしており、顔は童顔なため、三十前半であるが、未だに二十歳前の青年に見えます。


「陛下。ご無沙汰してしまい。申しk、グ…


 「…どれ程、どれ程、俺たちが心配したと思っている」


…フリッド」


 わたしは、まったく動くことが出来ませんでした。お父様が挨拶をし始めると、男性が窓枠から離れ、お父様の下げた頭を殴り上げたかと思うと、空いた体を力強く抱き締め悔しげに涙を流しています。


「陛下」


 優しげな声がテラス窓の向こうから聞こえて来ます。そこには、愛おしそうにお父様に抱き付く男性を見る女性と、わたしと同じ様にこの状況に着いて来れず目を見開いたまま固まっている男の子が、テラスに設置された椅子に座っていました。



つづく

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