委員会戦争
応接室の前に現れたのはこの学園の生徒会長で俺の上司にあたる女性、神代翆。
栗色のポニーテール、
誰もが見とれるような穏やかながら美しい美貌と顔にあった穏やかな雰囲気が特徴的だ。
「神代・・・・翆・・」
「結城・・・織姫・・」
織姫と翠が睨みあっている。空気がなんか怖い。この空気に耐えられるほど強くない俺は二人が互いに気を取られている間に応接室にあった信也のものらしきエロ本を回収した。
「じゃあ、失礼します」
俺は早々と応接室を後にした。
・・・・・
・・・・
・・・
翌日の放課後。
生徒会の会議に参加する為、俺は生徒会室へと向かった。
コンコン・・
俺はドアをノックする。
「どちらさまだい」
聞き覚えのある穏やかな声が聞こえる。
「龍一です、入りますよ」
「よし、入りな」
俺は許可をもらって生徒会室のドアを開ける。
生徒会室には一人ポツンと座って、暇そうにファッション雑誌を見ている翆がいた。
「翠さん、暇そうですね」
「うん、まあね。なかなか誰も来ないから暇でしょうがなかった」
俺は翆の言葉に疑問を感じた。なぜなら、授業が終わってから数分しか経っていない。どの学年も授業の終わる時間は共通なので、そんなに待ちくたびれるほど待っているはずはないはずなのだが・・ならば、考えられることは一つ。
「翆さん、もしかして、授業サボりました?」
「うん、まあね。何と無くめんど臭かったから。単位も別に取れてるし問題ないと思ってね」
「・・・・」
俺は呆れてしまう。これが生徒会会長のいう言葉なのかと。しかし・・・
「あははっ」
俺は笑ってしまう。
「何が可笑しいんだい、龍一」
「いや、翆さんらしいなあって思って」
俺は思う。この人は生徒会会長である前に、どんな立場だとしても
自分の思うままに行動する女性だったと。
「で、翆さん、役員を集めた理由は?」
「まあ、そう慌てるなって。全員来たら教えるよ」
「じゃあ、コーヒーでも淹れながら待ちますよ」
俺はコーヒー豆を探す。すると・・
「失礼しやーす」
思いきりドアを開けてきた男がいた。彼の名は三国 厚志。赤い髪、死んだような目が特徴だ。一年生で役職は庶務。
ギロッ
「三国、そんな乱暴にドアを開けるんじゃないよ」
「す、すんません」
厚志は翆に睨まれ、ビビりながら謝る。
「後はゆかりだけか・・」
そう俺がつぶやくと・・
開いていた扉からゆかりがこちらに向かっているのが見えた。
だが、扉のすぐ近くにいた厚志がそれに気づかずに扉を閉めてしまった。
バタン
「イタッ」
厚志が扉を閉めた瞬間、ゆかりの声が聞こえた。
もしやと思って俺は扉を開ける。
「う、ううっ・・・痛いぜ」
ゆかりが頭を抑えている。どうやら扉に頭をぶつけたらしい。
「大丈夫か?」
「いや、だいじょばないぜ、ううっ・・」
かなり痛いらしい。それを見兼ねた厚志が謝りにくる。
「すまねえ、神崎・・」
「・・わざとじゃないんだし、気にする事ないぜ」
「本当にすまねえ」
厚志はそう言って気まずそうに生徒会室に再び入っていった。
そして、騒動も収まり会議を始めた生徒会一同。生徒会役員は現在5人。しかし、副会長は休みなので全員集まったことになる。
「じゃあ、本日の会議をはじめるよ。今回は風紀委員会について」
そう言って目安箱の中の紙を数十枚取り出す。
・・・・
風紀委員にボコられました。
・・・・・
風紀委員が私の部活を勝手に廃部にされかけました。
・・・・・
持ち物検査で取られたものが戻って来ません。
・・・・・
それらの紙には風紀委員に対する様々な苦情がかかれていた。
「すごい苦情の量だぜ」
「やべえな、これは」
ゆかりと厚志は苦情の量にただ驚いていた。
「確かに最近の風紀委員会はやりすぎだとは思っていたけど・・これは・・」
俺も2人同様驚いていた。
しかし、そんな中、翆だけは驚いた様子を見せず話を進めた。
「ってことで、わたしは風紀委員会に委員会戦争を仕掛けようと思う」
「「委員会戦争?」」
ゆかり、厚志の2人は翠の言葉に疑問を抱く。
「ああ・・そうだったな。一年の二人はまだ知らないのか。生徒手帳の12ページを開いてみろ」
俺は二人に疑問の解決方法を教えた。二人もそれぞれの生徒手帳を開き必死に見始める。
生徒会に関する項目
112条 委員会戦争
生徒会には他の委員会を取り締まる権利が与えられる。委員会戦争はその一つで生徒会が他の委員会に力づくでいうことを聞かせたい場合に用いられる。これは運動から学問、ゲームなどの手段を用いり、生徒会と他の委員会の代表が勝敗を競うものである。勝ち数の多い方が負けたほうにいうことを聞かせることができる。なお、これを仕掛けることができるのは生徒会のみとする。
「・・・なるほど・・だいたいわかったぜ」
「なんつーか、すげえ権利だな」
ゆかりと厚志は委員会戦争の内容を理解したようだ。
「あっ・・まさか・・・風紀委員会を廃止するつもりですか」
俺は翠の意図を察して俺は翠に真意を確かめる。
「さすがだね、龍一。そのとおりさ」