7月21日 後
それから、俺と彼女は恋人になった。
しかし、恋人とはいうものの世間で言う『恋人』とはちょっとずれているのかもしれない。
デートはしたことない。キスもたったの一回だけ。俺はそれで満足だった。今までどおり、図書館で彼女にオススメの本を教えてもらったり、ちょっとしたことで笑ったりすることができるだけでよかった。
彼女がそれをどう思っていたかは知らなかったが。
「え…」
三年のクリスマスのことだった。
滅多にデートをしない俺たちだったが、その日は彼女の希望で一日中外を回った。回るといっても大したことなかった。本を買うために、少し大きめの書店へ行ったりしたり、彼女の買い物に付き合ったくらいだ。昼だってファミレスで済ませてしまったくらいだ。
それでもせめてクリスマスらしくしようと、夕食にとある店を予約していた。
店の雰囲気は高校生にとっては大人すぎるところであったが、値段はそこまで高くなく、彼女は喜んで了承してくれた。しかし、彼女はその場所で俺にあることを告白した。
彼女は病気を抱えていること、年明けには入院すること、大学には行くつもりはないこと。
あんなに楽しそうにしている彼女が病気?初めはそんな風に冗談だと思っていた。たまにあるのだ。小説によくあるような話を使って俺を楽しそうに騙すことが。
しかし、彼女の顔はいつもみたいな楽しそうな顔じゃなかった。全く違う。真剣な目をして俺の目を見ていた。こんなしっかりと彼女の目を見たことはなかったかもしれない。目の先に涙が見えた。
「わかった」
その言葉しかいえなかった。
俺はなんて子供なんだろう。
それから、彼女のいない図書館に毎日行くもののカウンターを見てすぐに帰る日々だった。大学には無事合格することができたが、考えるのは彼女のことばかり。入院後、何回か面会には行ったが、毎日行くわけにも行かなかった。
そして、彼女は死んだ。あまりにも呆気なかった。何の病気かすら知らなかった俺は、電話でそれを聞いただけで、病院へ行こうなんて思わなかった。あの笑顔の彼女の青白い顔など想像がつかないからだ。
葬式には一応出た。その時も俺は彼女の死に顔は見なかった。
結局今でも思うのだ。
俺は本当に彼女のことが好きであったのかと。
「□□□」
俺の名前を呼ぶ声がした。
目を開けるとそこには赤いワンピースの女が立っていた。赤いワンピースというと、少し怖いイメージがつきそうだが、そうは感じなかった。むしろ、明るくて元気に見える。
「はい」
女は俺に近づくと、俺の手のひらに四角い箱を置いた。綺麗にリボンでラッピングされた箱だ。
俺はそれを開けた。
「チョコレート…」
中に入っていたのはハート型のチョコレートだった。
今まで2回もらった彼女のバレンタインチョコは、彼女が入院していたので今回はなかった。
「…あの」
俺は女に話しかけようと箱から目を離したが、そこには女の姿はなかった。
「ん…」
夢を見た。
赤いワンピースの女は彼女の霊か何かであったのか。そんなことはどうだっていい。赤いワンピースの女は俺が最後に見たときに、笑ったのだ。
彼女と同じような笑顔で。
end.
ふぅ…
本当にこんなんでいいのか、三題噺ってwww
組み立てつくらず、ノリでどんどん書いちゃったので、読みずらかったことでしょうねー…(苦笑
とりあえず、一つ完成できてよかったです。
次はもうちょっと短く簡潔にしたいです^^
よんで下さってありがとうございましたっ!!