第7限目 ゲーム脳注意、怒・・・。
がちゃ、かた、がちゃがちゃがちゃ・・・・。
「・・・・ちづ姉、朝から何やってるの?」
黒木誠こと俺の声は呆れ成分たっぷりのはずだ。
「・・・・見て分かるでしょ」
かたかたかたかたかた・・・・がちゃがちゃ・・・・。
「いや、わかるけどね」
「ソフトは魔物ハンター 3よ」
「いや、それも分かるけど・・・・朝からP○Pはないわー」
わからない人に分かり易く言うと、携帯型ゲーム機の通称である、PS○。
なかでも爆発的人気を博した魔物ハンター。売上総合本数百八十万本(注:現在も上昇中)。通信モードで4人のハンターとの協力プレイできる事が魅力の一つだ。今作は御供にドッグが雇え、ソロプレイでも十分楽しめるように設計された、良心的な仕上りになっている。
個人的に言わせてもらうと、バグを処理するたびに致命的な欠陥を生む、努力の報われない作品だと思う。
「うっさい」
こわ。
「ごめんなさいねぇ、千鶴さんったら徹夜でげーむをやってたみたいなの」
「はぁ、それはまた・・・・ねぇ」
「ほんとにねぇ」
俺の目の前で給仕をしてくれてる人は“加賀さつき”さん。おおらかな口調で、容姿だけ見ればちづ姉のお姉さんでも通りそうなほどだが、これでもれっきとしたちづ姉のお母さんだ。
この家の大黒柱である“加賀純一”さんは既に出勤済み、それでこそのちづ姉のだらけ具合なのだ。
がちゃがちゃっ!!
納豆をぐりぐり混ぜながらボタン捌きを観察。
結論・・・・最近のゲーム機は丈夫に出来ている、うむ。
「・・・・誠、あんた。朝倉には会ったのよね」
「まぁ、一応」
「かすみっちには?」
「かすみっち・・・・?」
「柳内香澄よ」
「・・・・・・・一応会った」
「そう」
本当は一応どころではないのだが、なにも言うまい。
ちづ姉の顔を見れば・・・・・笑ってやがるのを見れば、事情を察しているのはわかっている。
ちづ姉は手を止めてぼんやりと空中を睨む。視線だけで蚊が墜落しそうだ。
俺は手に持った味噌汁で納豆っぽさを多少緩和・・・・・成功。
食器を運んでくれようとする、さつきさんを手伝い、腰を上げようとすると、
「雨竜陣は?」
「会って・・・・ないと思うけど」
「そう、雨竜は現・生徒会会長よ。あたしの後継者」
「・・・・」
「会って損はない奴よ。あんたが本気を出すなら・・・・・手本にすると良いかもね」
「なんの話だよ」
「別に、これに関してはこれ以上口出しするつもりはないわ」
はぁ、十分口出ししてるだろ。
・・・・・・ま、生徒会長なんざ、最も縁遠い人物だな・・・・・目のまで欠伸してる人は元・生徒会長だし除外しても構わないだろ。
しーらないっと・・・・・。
鞄をもって駅に向う。
とそこで、
『好きだ。大好きだ。ずっと好きだったんだ!!』
『わたし、私は・・・・』
大ボリュームで告白の真っ最中。
朝からご出勤のサラリーマン方や小学生、果ては同じ封麗学園の生徒まで視線を逸らしている。
なんつーか、どいつもこいつも。
『だめ、だめだよ。こんな人がいっぱいいるところじゃ・・・・あん』
『が、我慢できないんだッ!!』
「アホかっ!!印南っ!!朝から駅前でギャルゲーやる奴が何処にいるっ!?」
「おう、誠。ここに居るぞ」
―――ぶちっ
「ぎゃああああああああああああっ!!!まままま、誠!?俺の二十八時間の結晶になんてことしてくれてんだっ!!この花子ちゃんを落すのにドンだけ苦労した事か!?わかってねーだろっ?おまえ!!」
「やかましいっ!!朝っぱらから大音量で、んなもんするな!!常識って物がないのか、おまえは」
「ばっかやろーーー!!常識に囚われてたら花子ちゃん落せねぇだよっ!!もっと考えてから発言、ふごっっっっっ!!?」
「言いたい事はそれだけか?クソ、印南ィ?」
「いえ、ありまぐふっ!?な、なぐるな!?せめて謝らせろ!」
どいつもこいつも朝っぱらからゲームばっかり、ホント・・・・はぁ、周りの視線が痛い。が、ほっとくと迷惑とか関係無しに、こいつはボリュームマックスで濡れ場に突入してたんだろう。ゲームとはいえ痛すぎる。いや、ゲームだからこそ痛い奴だ、印南。
「ちょ、ちょすと、おふっ!?ストップ、ストップッ!!おま、なんか他の恨みを俺にぶつけて無いか!?」
「殺されたいのか!?」
「えええええええええぇっ!!?なんでっ、そうなるのよっ!??」
とりあいず気が済むまで印南の馬鹿を殴っとく。
・・・・・朝倉先輩の事は、また今度考える。今すぐ答えが必要なわけじゃないし、それに、俺なんかが手伝って、どうにかなるもんでも無いだろう。
はぁ、生徒会長かぁ・・・しらん。
がしゃん
電車発進して慣性と言う名の横揺れが発生する。
今日は眠気は無い。
朝の衝撃で腹が痛い所為かもしれないし、ちづ姉の意味深な発言の所為かもしれない。
クソ印南の所為ではない事は確かだ・・・・・そうだとしたらむかつくし。
「ういうい、今日はいつにも増して目つきがやばいぞ?」
「復活してくんな、クソ印南」
「・・・・・めっちゃ機嫌悪いな」
「・・・・・自分の所為だとは考えないのか?」
「たとえそうだとしても、おまえ、その事認めないだろ?」
そのとおりだが、にやけ顔がいらつくぞ、印南よ。
「なんだよ。昨日俺を保健室送りにしただけじゃ、ストレスの発散は足りないってか?」
「あっ」
「な、なんだよ。急に声出して」
「印南、おまえ天才だな」
「お、おう。まぁ・・・」
「人を不快にさせる天才だわ」
「・・・・・あーれ?ふっごっ!!!」
俺には懸案が二つほどある。
一つは遠見さんが誘ってくれた例のデート・・・・・正直言ってどんな顔をして会えば良いのかわからん。
そしてもう一つは―――今まで忘れてたのだが―――昨日剣道部をあとにして、命と合流した後のことだ。
俺は悪夢と出会ったのだ。
くっ、やっと更新できた。すずかぜです。
えーっと、章を分ける事にしました。このお話は結構練って悩んでからいつも書いてるつもりなんですが、ちょっと文章が軽くなってきた感が有って困惑してます。
うまく書けないなぁ、ホント。
まぁ、そんなこんなで、ごゆるりと