第4限目 催眠術か!?
「粗茶だけど、どうぞ」
「は、はぁ・・・ありがとうございます」
ソファに座らされ、お茶を淹れてもらう。
ずっずずず・・・。
横一列に座り、対面に一人座る女の人。白衣を脱いだ時に確かめた事なのだが、この人3年生だ。
「・・・それで、今日はどんな用件で来たのかな?」
ちらりと隣に座る命達を見ると、なぜかみんな俺を見てるし!!
仕方なく口を開く、
「あー、ここって『超・超能力部』ですよね?一応見学のつもりで来たんですけど・・・」
口にするのが恥かしいクラブ名だ。
「ん、私は柳内香澄。『超・超能力部』の部長という事になってるわ。うん、それで部長命令なんだけど、あなた達入部しなさい」
眼鏡に手をかけながら、にこやかにおっしゃる柳内先輩。堂々かつ唐突に無茶苦茶な事を言うので反応が遅れた。
「はぁ!?」
って、ここで疑問を覚えたの俺だけ?双海さんと遠見さん頷いてるし!?
「・・・なぜこの部に入部しなければいけないんですか?」
おお!流石、命!!
「私が部長だからよ」
「分かりました」
答えになってな・・・・・あれ?命さん、なんで頷いちゃってるんですか!?
「・・・・いや、ちょっと待ってくださいよ」
「なにかしら?黒木誠君?」
「あのですね、・・・・・・僕、名前言いましたっけ?」
「・・・千鶴先輩」
ああ・・・・なるほど。
内心泣きながら理解する。ここにもちづ姉の負の遺産が在ったのか、と。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆
「おいこら、命。なにおまえ頷いちゃってるんだよ。前言撤回だよ、駄目だ命だよ」
「むっ、なんというか、すまん。気押されてしまってな・・・・だが、誠もあの後頷いてしまっていたではないか」
「うっ、いやさ、掛け持ちオーケーらしいし、そんなに活動もしないみたいだからさ・・・・それより!!双海さんと遠見さんもなんで頷いちゃったんだよ」
二人を見るとどこか目がうつろだ。
慌てて揺さぶり聞きなおす。
「へっ?そりゃ、部長命令だし」
部員じゃなかったんだから関係ないだろ!!
「く、黒木君と一緒...ぽっ」
遠見さんが壊れてる!?
恐るべし!!『超・超能力部』!!
超能力なんて信じてなかったけど、超・超能力なら・・・・・って、だ、騙されないぞ!?
全然そんなつもりがなかったのに署名させられ、籍を置く事になってしまった・・・活動内容すら知らない!!
こうなったら、他の部活に入って、その部活の忙しさを理由に少しでも距離を置くようにしなければ!!
なんとなく、モチベーションが上がってきた俺はみんなを急かし、他の部活を回る事にした。
◆◇◆ ◇◆◇ ◆◇◆
お次は『漫画研究部』
「お!遠見さんに双海さん、みこっちゃんに・・・・誠かよ」
「みんな、次行こう、次」
「ちょい待った!!この印南章二を無視して行こうたぁ。いい度胸だな?」
「印南、やるなら何時でも受けて立つぞ」
「すいません!!ミコトさん、自分が調子くれてました!!」
土下座って、よわ。
「印南君は“漫研”に入るつもりなの?」
「いや~、クラブ冊子の扉絵を書いたやつがここにいるって聞いたもんでね。ちょっと、偵察に行って来たんですよ。梨花ちゃん達はなんで誠と一緒にいるんでっか?へ、へへへへ」
キモイぞ、印南
「うふふふ~。ミミちゃんが黒木君・・・達と回りたいって言っ、もごもご」
「・・・・・ふ、双海さん!!そ、それは言わない約束~~!!??」
すごい慌ててる・・・・なんというか、和むな。
「むっきー!!誠、ちょっとこい。ミコトはそのままフリーズ、オケ?」
「了解だ」
首を引っつかまれずるずると・・・・・・・・どこまで行くつもりだ。
「誠、貴様!何時の間にミミちゃんにフラグ立てしたんだコラッ!?」
ミミちゃんて・・・。
「遠見深雪の真ん中とって、ミミちゃんだコラッ!?文句あるか?ファンクラブも結成中だよコラッ!?」
「・・・・おまえってこんなキャラだっけ」
「違いますー、遠見さん達とやけに仲が良いからー、錯乱してるだけですー、メダパニ?メダパニ!?」
「精神科行け」
錯乱魔法にかかった印南を殴り飛ばし、戦闘不能にしてから引きずって戻る。
「ど、どうしたの、それ?」
遠見さんは優しいな~、こんなやつの心配をするなんて。
「大丈夫。メダパニ解除の衝撃で気絶してるだけだから」
「く、黒木君が大丈夫って言うなら、し、信用します!!」
そんな大げさな・・・。
「ふむ、印南は俺が預っとこう。保健室に連れて行くのは俺の仕事だからな」
「いや、そこまでしなくても大丈夫でしょ」
「・・・・さすがに気絶した人を放置するのはまずいと思うんだけど」
双海さんまで・・・。
「また後で合流しよう」
そう言い残すと颯爽と去っていく命。
広い背中にはうめき声を上げる印南が乗ってる。
「ミミた~ん」
・・・・聞かなかったことにしよう。
「さて、お次はどこを回りますか?もっと普通のとこを回った方が良いと思うんだけど・・・・」
「ああっ!!そういえば、この後、私用事があるんだったー。つーわけで、アディオス!!」
“がんばれよ~ミミ”
「ふぇ!?」
棒読みだろそれ。さては双海さん、命を手伝いに行ったな?遠見さんに何を言ったのかが気になるとこだけど、いきなり二人っきりですか・・・・。
「あー・・・・・次、どこ回ろうか?」
「え?え?えぇ~~~~~!!!?」
あーあ。あんなに顔真っ赤にして、嫌がってるよ遠見さん。
致命的なミス修正。できてなかったので・・・・再び修正。