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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38


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009、裂け目の朝、初めて見る修復

前半筆者後半AI作成

翌朝、久しぶりに良く寝た春奈は、給仕がやってきた音で目が覚める。

給仕「お食事を持ってきました」

ディアー「よう」

春奈「おはようございます」

ディアー「へえ、いいねえ。今日は”みんな揃って”オニオンスープだ。フォルタのもそれにしてあるぞ」

フォルタ「ありがとうございます」

ディアー「もう大丈夫そうだな。んじゃ、俺は他の人の分もあるんで」


朝食を終えると、白雪が春奈の部屋へとやってきた。

白雪「春奈や。急いで支度せい。裂け目の前兆が出てるぞ」

春奈「分かりました」

春奈はマナブースターを右手につけ、夏美を車椅子に乗せる。

フォルタ「状態オールグリーン。いつでも行けます」

フォルタも準備万端だ。

春奈は白雪についていく。


紅孩公国のはずれにある時空のゆがみ。今はまだ静かだが、あたりは不穏に歪んでいる。

白雪「レン嬢。今日は見学者がおるゆえわしも立ち会うぞ」

連狼「ああ、構わないぞ」

ゆがみの前で待機するのは吹雪、くれは、連狼。

それを引いてみるのは白雪。

そこからさらに離れて春奈、夏美、フォルタ。

くれは「どうにも落ち着かないわね、見学されるってのは」

吹雪「気にしたら負け」

それぞれがそれぞれの思いを抱えて。

ゆがみは、裂け目へと変わっていく。


裂け目は、音もなく口を開いた。

空間が紙のように裂けるわけではない。

まず“光の濃度”が変わる。


次に、空気が遅れる。

最後に、世界がわずかに傾ぐ。


フォルタ「歪曲率上昇。三秒後に臨界点到達」


連狼は一歩前に出る。

その背は揺るがない。


連狼「来るぞ」


裂け目が、完全に開いた。


黒ではない。

白でもない。

“あいだ”の色。


吹雪が静かに息を吐く。


吹雪「くれは」


くれはは短く頷き、足を開く。


フェイは既に城側の結界を展開済み。

見えない壁が公国を守っている。


裂け目から現れたのは、歪んだ影。


形を定めきれない存在。

獣のようで、霧のよう。


春奈は思わず息を呑む。

白雪の声が、静かに届く。


白雪「目を逸らすな」


春奈は踏みとどまる。


影が吠えた。

音はない。

だが、心臓が打つ。


くれはが踏み込む。


くれは「――っ!」


一閃。

影が揺らぐ。

だが消えない。

連狼が低く呟く。


連狼「交わりが深いな」


吹雪は裂け目を見る。

敵ではない。

“縫い目”を。


吹雪「レン嬢、縫える」


連狼は既に印を組んでいる。

紅のマナが地を走る。

白雪は動かない。

ただ、観る。

ハウトは腕を組み、珍しく黙っている。

影がくれはを押し返す。

その瞬間。

春奈の手がわずかに震える。

夏美の車椅子を握る力が強まる。


フォルタ「心拍数上昇。許容範囲内」


春奈は一歩、前へ出かける。


白雪「止まれ」


声は強くない。

だが、止まる。


白雪「今日は見る日じゃ」


春奈は、唇を噛む。

連狼が叫ぶ。


連狼「今だ!」


吹雪が動く。

裂け目へと刃を向けるのではない。


“縫う”。


刃が、空間に触れる。

紅と白が交差する。

裂け目が、震える。

影が霧散する。

音はない。

ただ、歪みが戻っていく。


やがて、空はただの空に戻った。

静寂。

くれはが息を吐く。


くれは「……終わり?」

吹雪「うん」


連狼は手を下ろす。

白雪は春奈を見る。


白雪「どうじゃ」


春奈は、少し考えてから答える。


春奈「……怖かったです」


正直な声。

白雪は頷く。


白雪「それでよい」


一拍。


白雪「怖さを知って、なお立つ。それが修復を見るということじゃ」


春奈は、もう裂け目の跡を見ている。

目は逸らしていない。

フォルタが静かに言う。


フォルタ「解析開始は行いません」


春奈は小さく笑う。


春奈「うん。今は、いい」


白雪の瞳がわずかに細まる。

吹雪はそれを横目で見て、何も言わない。

連狼は紅のマナを収める。

今日の修復は終わった。


だが。


春奈の中で、何かが始まっている。


静かに。

確実に。

裂け目は閉じた。


だが、深層はまだ開いたままだった。


裂け目は日常の中の非日常。平穏に過ごしていると隣にいる不穏。

その非日常を受け止め、直す存在。それが修復師。修復は交わりを縫い境界を減らす作業。


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