007、宮廷の厨房は静かに燃えている
AI作成、一部セリフ筆者
宮廷の一室。
磨き上げられた長卓に、白布がかけられている。
給仕が静かに皿を並べる。
給仕「春奈様、こちらがお食事になります」
春奈「ありがとうございます」
湯気が立つ。彩り豊かな料理が並ぶ。
煮込み、焼き物、蒸し物。
どれも品があり、過不足がない。
だが。
その中央に、一つだけ異彩。
素朴な陶器の椀。
春奈「これは?」
給仕はわずかに微笑む。
給仕「ディアーが『あの車椅子の子にはこれでしょ!』と自信満々に乗せていきました。ご不満でしたら、すぐにお取り替えいたしますが?」
春奈は椀を覗く。
白い粥。
その中に、ほぐされた鮭。
香りはやさしい。
春奈「いや、これでいいんだ。そのディアーとやらに、感謝していたと伝えてくれ」
給仕「かしこまりました」
一礼。静かに退出。
扉が閉まる。
フォルタが覗き込む。
フォルタ「鮭粥ですね。鮭もかなり細かくしてあります。現在の夏美でも摂取可能と判断」
夏美は静かに椀を見る。
春奈「ああ、そうだな」
声は少しだけ柔らかい。
フォルタは次に別の皿を見る。
銀の器。
透明な液体。
その中に、微細な粒子。
フォルタ「この私“専用”の料理は何でしょうか?」
春奈「確かに見たことないな。データに載ってないのか?」
フォルタ「スキャン。解析」
一瞬、瞳が淡く光る。
フォルタ「……なるほど」
春奈「分かったのか?」
フォルタ「これは高密度マナ溶液に、極微量の金属粉末と魔力触媒を混合したもの。人体には有害ですが、私の内部回路の安定化には有効です」
春奈が目を見開く。
春奈「そんなものを、料理で?」
フォルタ「味覚機能はありませんが、“配慮”は検知可能です」
そのとき。
廊下の向こうから、やけに明るい声。
ディアー「おい!どうだ!?食ってるか!?」
勢いよく扉が開く。
給仕の制止は間に合わない。
ディアー「粥!いいだろ!?消化良くて栄養あって、しかも味気なくならないギリギリのライン攻めたからな!」
春奈は一瞬呆気にとられ、次に笑う。
春奈「……ありがとう」
ディアーは一瞬、止まる。
「おう!」
すぐにいつもの調子に戻る。
ディアー「あとそっちの機械の嬢ちゃん! あれな、味はないけど“料理”だからな!」
フォルタ「確認。これは料理ですか?」
ディアー「当たり前だろ。食う相手に合わせて作るのが料理だ!」
その言葉は軽い。
だが芯がある。
フォルタ「理解。定義更新。“料理=対象最適化行為”」
ディアー「なんか物騒な定義になってるぞ!?」
春奈が小さく笑う。
夏美が、ほんのわずかに匙を動かす。
鮭粥を一口。
飲み込む。
春奈の指が、震えそうになる。
ディアーはそれを見る。
何も言わない。
ただ、にやっと笑う。
ディアー「ほらな」
その一言は、誇示ではない。
確信だ。
宮廷は静かだ。
だが。
厨房の熱は、確かにここまで届いている。
ディアーさんはやっぱり食事において欠かせない存在ですね。
人を見て一瞬で欲しいものを判断するその心配り。圧巻です。




