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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38


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003、落ちている

AI作成

港町の潮風が、春奈たちの髪をわずかに揺らす。

船を降りた三人の前に、自警団員の男――エルクが立ちはだかった。


「君たち、入国の目的は?」

低く落ち着いた声。背筋がぴんと伸びる。


春奈は夏美の肩に手を置き、落ち着いた声で答えた。

「裂け目の修復の見学をしたいのです」


エルクは小さく頷くと、ケータイを取り出し誰かに連絡を入れた。

「少し待ってくれ」


春奈は夏美の服の乱れを整えながら、港町の雑踏を見やる。

人々の話す声、波の音、船のきしむ音が入り混じる。静かに待つ。


やがて、エルクの連絡を受けて現れたのは、白銀の髪をした青年――吹雪だった。

その瞳は、いつも通り静かに、しかし確かな鋭さを宿して春奈を捉える。


視線は一度春奈から夏美へ。

そして、微かに表情を変え、一言――


「落ちてるね」


春奈はその意味を読み取ろうと、ゆっくりと吹雪の目を見る。

吹雪も、じっとそれを受け止め、視線を交わす。言葉はない。

港町の喧騒が、まるで遠くへ吸い込まれたかのように静まり返る。


長い沈黙の後、春奈は小さく息を吐き、淡々と口を開く。

「なるほど」


吹雪はわずかに頷いた。

春奈は落ち着いた声で改めて言う。

「裂け目の修復の見学希望です」


吹雪は静かに立ち、指先で歩みを促す。

「……おいで」


港町の風に混じる塩の匂いの中、春奈は夏美の肩に手を添え、静かに吹雪の後を追った。


吹雪は見抜いている。夏美が「落ちて」植物状態になっていることを。

視線を交わし、互いの真意を窺う。そして春奈は納得し、吹雪は春奈の決意を見抜く。

言葉少なだが情報の交換量は莫大だっただろう。

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