021、好きだからこそ
AI作成、セリフ筆者
潮風がまだ裂け目の余韻を運んでくる。朱雀町の港に立つ和美とイザヨイは、家の扉の奥で燃えた怒りと喪失を背負いながら、海を見つめていた。遠くで波が砕ける音が、静かな港の沈黙を引き裂く。
その時、二人の影が砂浜を滑るように近づいてきた。
「和美ちゃん、イザヨイちゃん。君たちは悪くない」
桂源三郎は穏やかな声で言った。胸に響くように静かだが、確かな説得力があった。
「敬三さんは勇敢に命を落とした。それだけだ」
鍛冶師の月代卯月は、腕を組みながら海風に髪を揺らせた。
「頃合いを見て、また家に戻してあげれば? そうすれば――」
和美はふっと視線を海から離し、決意を帯びた声で答える。
「出ていく」
源三郎は驚き、声を漏らした。
「え?」
卯月も眉をひそめる。
「なんだって?」
和美は海面に反射する光を見つめながら、口を固く結んだ。
「町を出ていく。決めた。でも、この町が嫌いじゃないよ。大好き。だから出ていく」
源三郎はその言葉に静かに息を飲む。
「和美ちゃん……」
イザヨイは和美の肩に手を置き、力強く言った。
「和美。行くなら私も一緒だからね。和美を一人になんかさせない」
卯月はため息をつき、肩をすくめる。
「やれやれ。源三郎さん、ちょっと二人を見といてください」
「うん? ああ、わかった」
十数分後、卯月は大きな荷物を背負い、砂浜に現れた。
「子どもたちだけで旅なんかさせられないわ。私が責任を持って二人を導く」
源三郎は眉を寄せる。
「いいのか? お前だって家族がいるじゃないか」
卯月は微笑みを浮かべ、海風に髪を揺らした。
「いいの。それに、二人には可能性を感じるの。ただ闇雲に遊んでいたんじゃない。この子たちはきっと誰よりも強くなる。それを見届けたい自分がいる」
和美は小さく微笑んだ。
「卯月お姉ちゃん。ありがとう」
イザヨイも頷き、声を重ねる。
「ありがとう」
卯月は荷物を整え、振り返って言った。
「いいのよ。さ、行きましょう。まずは東に行ってみましょうか」
潮風が三人と二人の背中を押す。沈黙の港に、新しい旅立ちの気配が生まれた。
和美は旅に出る決意をする。一緒に行くことを決めるイザヨイ。
それを見守るためについていく卯月。朱雀町は一日で大きく揺れ動いた。




